ジェントルマックスプロ(医療レーザー脱毛機)
ジェントルマックスプロ(医療レーザー脱毛機)

ジェントルマックスプロは、日本国内で薬事承認を受けた医療用レーザー脱毛機です。承認番号は 23000BZX00128000、販売名は 長期減毛・皮膚疾患用レーザー装置 GentleMax Pro、クラス分類は高度管理医療機器のクラス4です。承認上の使用目的は、長期的な減毛と定められています。
755nm のアレキサンドライトレーザーと、1064nm のネオジミウム・ヤグレーザー。性質の異なる2つの波長を1台に搭載しているのがこの機器の特徴です。肌の色と毛の太さに合わせて波長を切り替えられるため、色白の方から日焼けした方まで、細い毛から太い毛まで、条件の違う部位を1台で照射できます。
承認の内容は次のとおりです。数値と文言は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構が公開している添付文書のとおりに記載しています。
| 項目 | 添付文書の記載 |
|---|---|
| 販売名 | 長期減毛・皮膚疾患用レーザー装置 GentleMax Pro |
| 承認番号 | 23000BZX00128000 |
| 一般的名称 | 機械器具31 医療用焼灼器 |
| クラス分類 | 高度管理医療機器 クラス4 |
| 製造販売業者 | シネロン・キャンデラ株式会社 |
| 使用目的または効果 | 本品は、レーザの選択的熱作用により、長期的な減毛を目的とした装置である。アレキサンドライトレーザは表在性の皮膚良性色素性疾患の治療にも使用する。ネオジミウム・ヤグ(Nd:YAG)レーザは皮膚良性血管病変における表在性毛細血管拡張症状の改善のための治療にも使用する。 |
承認上は、脱毛のほかに、シミにあたる表在性の皮膚良性色素性疾患と、赤みにあたる表在性毛細血管拡張症状にも使えるとされています。ただし当院では、この機器を脱毛に用いています。シミや赤みの治療には、それぞれに適した別の機器を使い分けています。
医療脱毛の料金、部位ごとの回数の目安、施術の流れは 船橋の医療脱毛のページ にまとめています。本ページは、そこで使っている機器そのものについて説明します。
波長が違うと、メラニンに吸収される強さと、光が届く深さが変わります。当院はこの2つを、肌の色と毛の太さで使い分けています。
レーザー脱毛は、毛の黒い色素であるメラニンに光が吸収され、熱に変わることで成り立っています。したがって、波長を選ぶということは、どれだけメラニンに吸収させるかを選ぶということです。
| アレキサンドライトレーザー 755nm | ネオジミウム・ヤグレーザー 1064nm | |
|---|---|---|
| メラニンへの吸収 | 強い | 弱い |
| 光が届く深さ | 浅い | 深い |
| 向いている肌の色 | 色白から標準的な肌 | 日焼けした肌、色の濃い肌 |
| 向いている毛 | 細めの毛、浅いところにある毛 | 太く深いところにある毛。ひげやVIO |
| 痛みの感じ方 | 比較的おだやか | 出力を上げるぶん強く感じやすい |
当院では、1回の施術のなかでも波長を切り替えます。毛の太さと肌の色だけでなく、その日の肌の状態に応じて使い分けることがあります。同じ部位でも、前回と同じ波長になるとはかぎりません。1台に2つの波長があるため、日をあらためて別の機器で照射していただく必要がありません。
メラニンの少ない毛は、どちらの波長でも反応しにくくなります。産毛はメラニンが少なく、白髪にはメラニンがありません。白髪には、どちらの波長も反応しません。産毛については、2つのうちではメラニンへの吸収が強い 755nm のほうが反応しやすくなります。
効果を感じにくいときに何が起きているのかは、このページの別のセクション でくわしく説明しています。
この機器の性能は、添付文書に数値で示されています。当院はこの範囲のなかで照射条件を設定しています。
| 項目 | 添付文書の記載 |
|---|---|
| 波長 | アレキサンドライトレーザ 755±5nm / ネオジミウム・ヤグレーザ 1064±3nm |
| パルス幅 | 0.25ms〜100ms |
| スポット径 | アレキサンドライトレーザ 6〜24mm / ネオジミウム・ヤグレーザ 1.5〜24mm |
| 冷却装置の寒剤 | 1,1,1,2-テトラフルオロエタン 又は 1,3,3,3-テトラフルオロプロペン |
パルス幅は、1回の照射で光を出している時間です。0.25ミリ秒から100ミリ秒まで、400倍の幅で設定できます。太い毛ほど熱がさめるまでに時間がかかるため長めに、細い毛には短めにするという考え方にもとづいて、部位ごとに決めます。同じ出力でもパルス幅が変われば皮膚への伝わり方が変わるため、痛みと安全性の両方に関わる設定です。
スポット径は、1ショットで光が当たる円の直径です。大きいほど1回で広い面積を照射でき、同じ出力でも光が深いところまで届きやすくなります。24mm は500円硬貨より大きく、背中や脚のような広い部位を短時間で照射できます。一方 1.5mm は、鼻の下や指のような狭い部位のためのものです。
照射の直前に寒剤を吹きつけて、皮膚の表面だけを冷やす仕組みが備わっています。ダイナミッククーリングデバイスと呼ばれるものです。吹きつける時間と、吹きつけてから照射するまでの時間を、それぞれミリ秒単位で設定します。毛に熱を届けながら、表面の熱の負担を抑えるためのものです。
痛みの感じ方や軽減のしかたは 医療脱毛の痛みについてのコラム でくわしく説明しています。
日焼けした肌に照射できるのは、1064nm のネオジミウム・ヤグレーザーがあるからです。ただし、日焼けはしていないほうがよく、日焼けしていても照射できるとはかぎりません。
レーザー脱毛は、毛のメラニンに光が吸収されて熱に変わる仕組みです。日焼けした肌や色の濃い肌では、皮膚の表面にもメラニンが多くあります。メラニンへの吸収が強い 755nm では、光が毛に届く前に表面のメラニンにも吸収され、熱傷や色素沈着の原因になることがあります。従来、日焼けした肌の脱毛をお断りするクリニックが多かったのは、この理由によります。
1064nm は、メラニンへの吸収が 755nm より弱い波長です。表面のメラニンに光を奪われにくいため、色の濃い肌でも毛まで届けやすくなります。この波長を持っていることが、日焼けした肌に照射できる理由です。
日焼けによる炎症が続いているあいだは照射しません。次の状態が目安です。
これらは皮膚がやけどをしている状態です。そこへ熱を加えると、熱傷や色素沈着につながります。落ち着いてから照射します。何日空ければよいかは日焼けの程度によって変わるため、期間ではなく皮膚の状態で判断します。診察でお伝えします。
日焼けと脱毛の関係、日焼けを避けるための過ごし方は 日焼けした肌の医療脱毛についてのコラム にまとめています。
ジェントルマックスプロは熱破壊式です。ショット式とも呼ばれます。
医療用の脱毛レーザーは、光の当てかたによって熱破壊式と蓄熱式に分かれます。違いは次のとおりです。
| 熱破壊式 ショット式 | 蓄熱式 | |
|---|---|---|
| 光の当てかた | 高い出力を短時間で、1ショットずつ | 低い出力を、動かしながら連続的に |
| 主にねらう場所 | 毛根と、毛をつくる毛母細胞やバルジ領域 | 毛包の周辺 |
| 毛の減りかた | 照射から数日から2週間ほどで抜け落ちる | 徐々に細く目立たなくなる |
| 痛みの感じ方 | 強く感じやすい | 比較的おだやか |
どちらが優れているとは言えません。目的と毛の状態によって向き不向きが変わります。太い毛を短い回数で減らしたい場合は熱破壊式が、痛みを抑えたい場合や産毛が中心の場合は蓄熱式が選ばれることが多い、という傾向があるだけです。
当院はこの機器で照射しているため、熱破壊式です。痛みについては、冷却装置と麻酔クリームで対応します。
効果を感じにくいとき、その理由は機器の側ではなく、毛の側にあることがほとんどです。
照射したのに毛が減った気がしない、というご相談は少なくありません。何が起きているのかを、順に説明します。
効果の出かたと回数の考え方は 医療脱毛の効果についてのコラム で、部位ごとの回数の目安は 医療脱毛のページ でまとめています。ひげの回数については メンズ脱毛のセクション をご覧ください。
照射の間隔は、2〜3か月おきが目安です。
間隔を空けるのは、前回の照射で反応しなかった毛が成長期に入るのを待つためです。レーザーは成長期の毛にしか反応しないため、まだ休止期にある毛に照射しても効果は上乗せされません。早く通えば早く終わる、という関係にはなっていません。
反対に、間隔が長く空きすぎると、通い終えるまでの期間が延びます。2〜3か月というのは、この2つのあいだをとった目安です。
毛周期の長さは部位によって違います。顔やうなじは短く、腕や脚は長い傾向があります。実際の間隔は、毛の生えかたを診たうえでお伝えします。
必要な回数は、部位と、どこまで減らしたいかによって変わります。ひとつの数字でお示しできるものではありません。部位ごとの目安は 医療脱毛のページ の部位別の表にまとめています。
ひげについては、5回で満足される方も、しっかり減らすために10回近く続けられる方もいらっしゃいます。目指す状態によって幅が大きい部位です。
薬事承認を受けた機器であっても、照射にはリスクがあります。添付文書には、起こりうる有害事象が挙げられています。
当院は、これらを事前にお伝えしたうえで照射します。多くは軽いもので、時間とともにおさまります。
| 添付文書の記載 | どういう状態か |
|---|---|
| 紅斑 | 照射した部分の赤み。多くは数時間から数日でおさまります |
| 浮腫 | 毛穴のまわりが少し盛り上がるむくみ。数時間から1日ほどでひきます |
| 掻痒感 | かゆみ |
| 毛孔一致性の炎症 | 毛穴に沿って出る小さな赤みやぶつぶつ |
| 毛嚢炎 | 毛穴に細菌が入って起きる、にきびに似たできもの |
| 添付文書の記載 | どういう状態か |
|---|---|
| 熱傷、水疱形成、痂皮形成 | やけどと、それにともなう水ぶくれやかさぶた |
| 冷却剤による凍傷 | 冷却に使う寒剤による、低温のやけど |
| 色素沈着、色素脱失 | 照射した部分が濃くなる、または白く抜ける |
| 瘢痕形成 | 傷あととして残るもの |
| 紫斑 | 内出血によるあざ |
添付文書には、照射部位及び照射周囲部の多毛化や硬毛化 が有害事象として挙げられています。照射したあとに毛が一時的に太くなったり、まわりの毛が増えたように見えたりするものです。産毛の多い部位で起こりやすいとされています。
なぜ起こるのかは、まだ分かっていません。当院では、出力や波長を変える、照射の間隔を調整するといった対応をとります。気づかれたら、そのままにせずご相談ください。
当院は皮膚科です。毛嚢炎や熱傷、色素沈着が出た場合、あらためて他院を受診していただく必要はありません。同じ場所で診察し、外用薬を処方します。保険診療の対象になるものは保険で診ます。
アトピー性皮膚炎やニキビをお持ちの方の脱毛も、皮膚の状態を診ながら進めます。詳しくは アトピー性皮膚炎、ニキビ の各ページと、肌トラブルがある方の医療脱毛についてのコラム をご覧ください。
添付文書では、次の部位や状態への使用が禁忌・禁止とされています。
刺青は、色素に光が強く吸収されるため熱傷につながります。タトゥーシールやアートメイクの入った部分も同じです。位置によっては、周囲を避けて照射できる場合がありますので、診察でご相談ください。
この機器は、医師の知識と経験を前提とした機器です。添付文書には、警告として次のように記載されています。
本品の適応に関連する十分な知識・経験を有する医師が、関連学会と連携した講習を受ける等、本品の使用に関する技能や合併症等に関する知識を得た上で使用すること。
照射の前後で守っていただきたいことは、はっきり決まっています。ここを外すと、効果が落ちるか、肌のトラブルにつながります。
本ページは、日本皮膚科学会皮膚科専門医・医学博士 藤本栄大が監修しています。
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