Q1. 乾癬は人にうつりますか
うつりません。乾癬は感染症ではなく、免疫のはたらきが過剰になって皮膚に炎症が起こる病気です。触れても、同じタオルを使っても、同じお風呂に入っても、人から人へうつることはありません。ご家族やまわりの方にも、そのままお伝えいただいて大丈夫です。
乾癬
乾癬は、通常およそ4週間かけて入れ替わる皮膚が、4〜7日にまで速くなってしまう慢性の病気です。境界のはっきりした赤い発疹の上に、銀白色のかさぶたのような鱗屑が重なります。人にうつることはありません。日本の有病率は0.34%、およそ1,000人に3人にあたり、推定で約43万人の患者さんがいます。当院は皮膚科専門医が保険診療で塗り薬による治療を行い、範囲が限られた乾癬にはエキシマライトによる光線療法も用います。それで足りない場合の飲み薬と、連携先への紹介までご案内します。

疾患のイメージ図 AI生成
乾癬は、免疫のはたらきが過剰になって皮膚に炎症が続く病気です。感染症ではないため、触れても、同じお風呂に入っても、人から人へうつることはありません。ここは最初にはっきりお伝えしておきます。
健康な皮膚では、表皮の細胞は生まれてからおよそ4週間かけて表面に達し、垢となって剥がれ落ちます。乾癬ではこの周期が4〜7日にまで短くなります。未熟なままの細胞が次々と表面に押し上げられるため、白くて厚い鱗屑となって積み重なります。フケのように見えるのはこのためです。
全国の診療報酬データを用いた推計では、日本の乾癬の有病率は0.34%でした。およそ1,000人に3人、推定で約43万人にあたります。男女比はおおよそ1.44対1で、やや男性に多い病気です。決してまれな病気ではありません。
乾癬は、再発しないという意味での完治は今のところ難しい病気です。一方で、この20年で治療は大きく変わりました。塗り薬と光線療法に加え、飲み薬と注射薬の選択肢が増え、皮疹がほとんど分からない状態を年単位で保つことが現実的になっています。
大切なのは、良くなったからといって自己判断でやめないことです。乾癬は良くなったり悪くなったりを繰り返しますので、その波に合わせて治療を調整していきます。
乾癬の発疹は、周囲の皮膚との境目がはっきりしていて、赤く盛り上がり、その上に銀白色の鱗屑がのっているのが特徴です。左右対称に出ることが多く、こすれる場所に出やすい傾向があります。
乾癬では、傷や日焼け、強くこすった場所に、あとから発疹が出ることがあります。ケブネル現象と呼ばれます。肘や膝、腰に出やすいのは、日常の動作で繰り返し刺激を受けているためです。ナイロンタオルで体を洗う習慣がある方は、それだけで悪化していることがあります。
乾癬はかゆくないと言われることがありますが、実際にはかゆみを伴う方も少なくありません。かゆくないから乾癬ではない、とは言えません。
足の裏の乾癬は、水虫・白癬とよく似た見た目になります。顕微鏡で真菌を確認すれば区別できます。水虫の薬を塗り続けても良くならない場合は、一度ご相談ください。逆に、乾癬と思っていたものが白癬だったということもあります。
乾癬のなかで患者さんの生活をいちばん妨げるのは、面積の広さではなく、出る場所です。陰部と頭皮と爪は、面積が小さくても不快感が強く、しかも受診の場で切り出しにくい場所です。
当院の医師は、この3か所の乾癬に対する飲み薬の効果を104週にわたって追跡した前向き研究に加わり、米国皮膚科学会誌に報告しました。日常の診療で、この3か所を必ずお尋ねしているのはそのためです。研究業績はこちらをご覧ください。
陰部や鼠径部は湿り気があるため、乾癬の特徴である銀白色の鱗屑がはがれ落ちてしまい、つるんとした赤みだけに見えます。そのためカンジダ症やあせも、湿疹と間違われやすく、抗真菌薬やステロイドを漫然と使われていることがあります。
ご自分から言い出しにくい場所でもあります。当院では、こちらからお尋ねします。診察は必要な範囲に限って行います。
頭皮の乾癬は、フケが増えたという形で気づかれることがほとんどです。見分けの目安を挙げます。
| 項目 | 頭皮の乾癬 | 脂漏性皮膚炎 |
|---|---|---|
| 鱗屑 | 厚く、銀白色で、乾いている | 薄く、黄色みがあり、脂っぽい |
| 境目 | はっきりしている | ぼんやりしている |
| 広がり方 | 生え際を越えて額や耳の後ろへ出る | 生え際の内側にとどまることが多い |
| 他の部位 | 肘・膝・爪にも出ていることがある | 眉間や鼻のわきに出る |
脂漏性皮膚炎そのものについては、脂漏性皮膚炎のページにくわしく書きました。フケが増えたときの見分け方を、脂漏性皮膚炎の側からまとめています。
爪の乾癬では、次のような変化が出ます。
厚くもろくなった爪は爪白癬とよく似ています。抗真菌薬を長く飲んでも良くならない爪は、乾癬を疑う価値があります。
そして爪の乾癬は、関節の症状と関係することが知られています。爪に変化がある方には、関節の痛みや腫れがないかを必ずお尋ねしています。理由は、乾癬性関節炎の項でくわしく書きました。
乾癬は1つの病気ではなく、いくつかの病型に分かれます。大多数を占めるのが尋常性乾癬で、当院を受診される方のほとんどがこの型です。
| 病型 | 主な出方 | 当院での対応 |
|---|---|---|
| 尋常性乾癬 | 肘・膝・頭皮・腰に慢性に続く | 塗り薬・光線療法・飲み薬まで当院で |
| 滴状乾癬 | 小さな発疹が一度に多数 | 当院で。のどの感染がある場合はその治療も |
| 汎発性膿疱性乾癬 | 発熱を伴い全身に膿疱 | 高度医療機関へ紹介 |
| 乾癬性紅皮症 | 全身が赤くなる | 高度医療機関へ紹介 |
| 乾癬性関節炎 | 関節の痛みや腫れを伴う | 関節の症状を伺い、高度医療機関へ紹介 |
全身に及ぶ汎発型の膿疱性乾癬は、指定難病37に指定されています。重症度分類で中等症以上と判定されると、医療費の助成を受けられます。発熱や倦怠感を伴って急に膿疱が広がる場合は、入院できる施設での治療が必要です。当院では速やかに連携先へお繋ぎします。
手のひらと足の裏に膿疱を繰り返す掌蹠膿疱症は、日本では乾癬とは別の病気として扱うのが一般的です。有病率は0.12%、推定で約13万6千人と、こちらも決して少なくありません。名前が似ているため混同されやすいのですが、治療の考え方も異なります。
乾癬は、生まれ持った体質と、免疫のはたらきの偏りと、生活のなかの引き金が重なったときに起こります。どれか1つだけでは発症しません。
インターロイキン23がインターロイキン17を出す細胞を活性化し、その先で皮膚の炎症と増殖が進むという流れが分かってきました。近年の飲み薬や注射薬は、この流れのどこかを狙って止める設計になっています。原因が分かってきたからこそ、治療が変わったということです。
体質は受け継がれますが、それだけで発症するわけではありません。日本の調査では、乾癬性関節炎の患者さんのうち乾癬の家族歴がある方は6.6%でした。欧米で報告される割合よりかなり低く、日本では家族歴のない方のほうが圧倒的に多いということになります。
不摂生をしたから乾癬になった、清潔にしていなかったから乾癬になった、ということはありません。ご自分を責める必要はありません。一方で、喫煙や肥満は経過に影響することが分かっていますので、そこは治療と並行して取り組む価値があります。
乾癬を悪化させる要因のうち、ご自身で減らせるものと、減らせないものがあります。減らせるものから手をつけると、治療の効きが変わります。
| 要因 | 分かっていること | 減らせるか |
|---|---|---|
| 喫煙 | 現在喫煙している方は、乾癬のオッズ比が1.78。中等症から重症では1.72 | 減らせます |
| 肥満 | 肥満のオッズ比は全体で1.66、重症例では2.23 | 減らせます |
| 皮膚への刺激 | こすった場所に新しい発疹が出るケブネル現象 | 減らせます |
| のどの溶連菌感染 | 滴状乾癬の引き金になることが知られています | 早めに治療できます |
| ベータ遮断薬 | 6年以上の長期使用でハザード比1.39 | 主治医と相談が必要 |
| ストレス | 再発した方の39%が、再発の1か月前にストレスの出来事を経験 | 完全には避けられません |
| 乾燥 | 冬に悪化する方が多くみられます | 保湿で和らげられます |
血圧の薬をはじめ、飲み薬のなかには乾癬を悪化させたり、乾癬のような発疹を起こしたりするものがあります。ただし、自己判断で中止しないでください。特に副腎皮質ステロイドの飲み薬を急にやめると、かえって悪化することがあります。処方した医師と相談したうえで判断します。
のどの溶連菌感染のあとに、小さな発疹が一度に多数出る滴状乾癬が起こることがあります。感染そのものは治療すべきです。ただし、扁桃を摘出すれば乾癬が良くなるかどうかについては、国際的な系統的レビューが、有効性も安全性も確かとは言えないと結論しています。当院から扁桃摘出をおすすめすることはありません。
乾癬の患者さんのおよそ10%に、関節の痛みや腫れを伴う乾癬性関節炎が起こります。関節の破壊はいったん進むと元に戻らないため、早く見つけることがすべてです。
なお、以前は関節症性乾癬と呼ばれていましたが、令和5年12月22日の厚生労働省の通知により、正式な名称は乾癬性関節炎になりました。当ページでは乾癬性関節炎と表記します。
| 調査 | 合併率 |
|---|---|
| 厚生労働科学研究 平成27年度 | 約10% |
| 国内3施設 3,021例の調査 2015年 | 14.3%。東京13.7%、大阪20.4%、千葉8.8% |
| 日本リウマチ財団 | 8〜13%程度 |
関節の症状が皮膚より先に出る方は5〜10%にとどまり、残りは皮疹が先行します。日本の1,641例の調査では、皮疹が出た平均年齢が39.2歳、関節の症状が出た平均年齢が47.9歳でした。平均しておよそ8.7年の間隔があります。
つまり、乾癬と診断されてから10年近く経ってから関節の症状が出ることが珍しくありません。皮膚が落ち着いているからもう大丈夫、とは言えないということです。
日本の調査では、関節の出方は少関節型が29.9%、指先の関節に出る型が27.2%、多関節型が18.6%、背骨や骨盤に出る型が6.6%でした。
診察のたびに、関節の症状の有無をお尋ねします。爪に変化のある方には特に念入りに伺います。乾癬性関節炎が疑われる場合は、診断と治療を高度医療機関にお願いしています。当院で様子を見て時間を失うことのないよう、疑った時点でお繋ぎします。
乾癬は全身に慢性の炎症が続く病気であり、高血圧、脂質異常症、糖尿病といった生活習慣病を合併しやすいことが分かっています。皮膚の治療と並行して、全身の状態も見ていく必要があります。
日本乾癬学会が全国132施設から集めた登録データです。
| 合併している病気 | 日本の乾癬患者さんでの割合 |
|---|---|
| 高血圧 | 42.0% |
| 脂質異常症 | 30.0% |
| 糖尿病 | 23.7% |
| 高尿酸血症 | 15.1% |
| 心血管疾患 | 6.0% |
| 脳血管障害 | 6.0% |
およそ半数の方が、何らかの既往や合併症をお持ちでした。
日本国内の113,065人を対象とした病院ベースの解析では、尋常性乾癬は冠動脈疾患と独立して関連しており、調整後のオッズ比は1.27でした。海外の系統的レビューでは、メタボリックシンドロームのオッズ比が2.14、肥満のオッズ比が1.66と報告されています。
見た目の変化と、繰り返す経過そのものが負担になります。うつのオッズ比は1.57、抑うつ症状を伴う方は28%と報告されています。人と会うのが億劫になった、温泉やプールを避けるようになった、というお話は診察室でよく伺います。遠慮なくお話しください。
年に一度は健康診断を受け、血圧、血糖、脂質、体重を確認してください。乾癬の治療を続けながら、これらを整えることが、皮膚にとっても心臓にとっても意味があります。健診の結果はお持ちいただければ拝見します。
乾癬の重症度は、皮疹の面積と、皮疹そのものの強さと、生活への支障という3つの物差しで測ります。治療をどこまで強めるかは、この3つで決めます。
手のひら、足の裏、顔、頭皮、爪、陰部は、面積としては小さくても生活への支障が大きい場所です。BSAが数パーセントでも、DLQIが高ければ治療を強める判断をします。面積だけで決めない、というのがこの物差しを3つ使う理由です。
診察のときは、痛みやかゆみだけでなく、仕事や家事、人との付き合いにどれだけ影響が出ているかもお聞かせください。そこが治療方針を分ける材料になります。
乾癬の治療は塗り薬から始めます。当院ではステロイド外用薬と活性型ビタミンD3外用薬、その2つを組み合わせた配合外用薬、そして非ステロイドの新しい外用薬まで、いずれも保険診療でご用意しています。
| 種類 | はたらき | 使い方の目安 |
|---|---|---|
| ステロイド外用薬 | 炎症を素早く抑える | 国内では強さが5段階に分かれ、部位と症状で使い分けます |
| 活性型ビタミンD3外用薬 | 速くなりすぎた表皮の入れ替わりを整える | 効果が出るまで数週間かかりますが、長く使えます |
| 配合外用薬 | 上記2剤を1本に | 1日1回。塗る回数が減り、続けやすくなります |
| タピナロフクリーム | ステロイドではない新しい仕組みの外用薬 | 1日1回。2024年6月に国内で承認されました |
商品名は診察のときにお伝えします。
活性型ビタミンD3外用薬は、たくさん塗れば早く治るという薬ではありません。血液中のカルシウムが上がることがあるため、添付文書で使用量の上限が定められています。カルシポトリオールを含む製剤は1週間に90グラムまで、マキサカルシトールを含む製剤は1日10グラムまでです。当院ではこの範囲で処方します。
配合外用薬は使用開始からおよそ4週間、タピナロフは12週間を目安に、効果を確認して続けるかどうかを判断します。漫然と同じ薬を出し続けることはしません。効かない薬を続けるより、次の手に進んだほうが早いからです。次の手が、光線療法と飲み薬です。
光線療法は、決まった波長の紫外線を皮膚に当てて炎症を抑える治療です。塗り薬だけでは足りないとき、飲み薬に進む前の選択肢になります。当院では、範囲が限られた乾癬に対してエキシマライトで対応しています。
皮膚の炎症を起こしている免疫細胞にはたらきかけ、速くなりすぎた表皮の入れ替わりを整えます。日焼けサロンや屋外の日光浴とは違い、治療に有効な波長だけを選んで、必要な量だけ当てるのが医療の光線療法です。ご自分で日焼けをして治そうとするのは、かえって悪化のもとになりますのでおやめください。
| 項目 | 全身型のナローバンドUVB | ターゲット型のエキシマライト |
|---|---|---|
| 波長 | 311ナノメートル前後 | 308ナノメートル |
| 当て方 | 装置の中に入り、全身に照射する | 患部だけに当てる |
| 向いている方 | 皮疹が体の広い範囲に及んでいる | 治りにくい場所が限られている |
| 健康な皮膚への影響 | 皮疹のない部分にも紫外線が当たる | 皮疹のない部分に当てずに済む |
| 当院 | ありません | あります |
当院にあるのは患部だけに当てるタイプで、全身への照射はできません。次のような方に向いています。
皮疹が体の広い範囲に及んでいる方には、全身型の装置がある施設をご紹介します。当院で無理に部分照射を重ねるより、そのほうが早く良くなります。
尋常性乾癬は保険適応の対象です。診療報酬上は中波紫外線療法にあたり、3割負担で1回あたり千円程度、1日につき1回の算定となります。
同じ装置は、円形脱毛症の治療にも使えます。円形脱毛症の紫外線療法は令和2年度の診療報酬改定で保険適用になりました。くわしくは円形脱毛症のページをご覧ください。
光線過敏症のある方、紫外線で悪化する病気をお持ちの方、皮膚がんの既往がある方は照射できないことがあります。妊娠中の方、光に敏感になる薬を飲んでいる方も、事前にお申し出ください。
塗り薬と光線療法で十分に良くならない場合、飲み薬に進みます。当院ではアプレミラストという飲み薬を、保険診療で開始し継続できます。
アプレミラストは、細胞のなかで炎症の信号を伝える酵素のはたらきを抑える飲み薬です。局所の治療で効果が不十分な尋常性乾癬と乾癬性関節炎に保険適用があります。
シクロスポリンとエトレチナートは、以前は当院でも使用していました。アプレミラストや分子標的薬が登場した現在は、これらを新たに開始することはしていません。メトトレキサートも当院では扱っていません。これらが必要と判断した場合は、連携先へご紹介します。
デュークラバシチニブは、既存の治療で効果が不十分な尋常性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、乾癬性関節炎に使われる飲み薬です。1日1回の内服で、皮疹に対する効果が高い薬です。
当院では現在、この薬を取り扱っておりません。ご希望の方には、紹介先をご案内します。処方を受けながら、皮膚の経過を当院で拝見することもできます。
なお、当院の医師はこの薬の実際の使用成績を追跡した研究に加わっています。2年間飲み続けた方の経過については、ソーティクツ2年間の実臨床データのコラムにまとめました。
生物学的製剤は、炎症を進める特定の物質だけを狙って抑える注射薬です。当院では現在、生物学的製剤の取り扱いを行っておりません。必要と判断した場合は、連携先へご紹介します。
| 狙う物質 | 一般名 | 商品名 |
|---|---|---|
| 腫瘍壊死因子アルファ | インフリキシマブ | レミケード |
| アダリムマブ | ヒュミラ | |
| セルトリズマブ ペゴル | シムジア | |
| インターロイキン12と23 | ウステキヌマブ | ステラーラ |
| インターロイキン17 | セクキヌマブ | コセンティクス |
| イキセキズマブ | トルツ | |
| ブロダルマブ | ルミセフ | |
| ビメキズマブ | ビンゼレックス | |
| インターロイキン23 | グセルクマブ | トレムフィア |
| リサンキズマブ | スキリージ | |
| チルドラキズマブ | イルミア | |
| インターロイキン36受容体 | スペソリマブ | スペビゴ |
スペソリマブは、汎発性膿疱性乾癬の急な悪化に対して使う薬です。
実績から、日本医科大学千葉北総病院皮膚科をおすすめしています。当院の医師はこの施設の皮膚科と共同で研究を行っており、経過を共有しやすい関係にあります。
あわせて、船橋市立医療センター、順天堂大学医学部附属浦安病院へご紹介することもあります。通院のしやすさやご事情に応じて、他の施設をご希望される場合もご相談ください。いずれも学会の承認施設の一覧に掲載されている施設です。
生物学的製剤を始める前には、結核とB型肝炎の有無を調べます。問診に加え、胸部エックス線と血液検査を行い、必要に応じて胸部CTを撮ります。免疫のはたらきを抑える薬であるため、感染症が隠れていないかを確かめてから始めるという手順です。
生物学的製剤の薬剤費は高額です。3割負担で年間十数万円から数十万円と、使う薬によって大きく幅があります。ただし高額療養費制度があり、1か月の自己負担には所得に応じた上限が定められています。2026年8月からは、1年間の自己負担にも上限が設けられました。実際の負担額は、加入されている保険とご所得によって変わります。紹介先で具体的にご説明を受けてください。
乾癬は生活の乱れが原因で起こる病気ではありませんが、経過に影響することが数字で確かめられている習慣がいくつかあります。減量と禁煙の2つは、治療の効きそのものを変えます。
肥満を伴う乾癬の方を対象にした7件の比較試験、合計878人をまとめた解析では、生活習慣による減量に取り組んだ群は、そうでない群に比べてPASIが平均2.49点下がり、PASIが75%改善した方の割合は2.92倍でした。
急激に落とす必要はありません。まず今の体重の5%を、3か月から6か月かけて減らすことを目標にしてください。
現在喫煙している方の乾癬のオッズ比は1.78、中等症から重症に限ると1.72と報告されています。過去に吸っていた方でも1.62です。やめた効果はすぐには出ませんが、続く炎症を減らす方向にはたらきます。禁煙外来の情報が必要でしたらお伝えします。
保湿は鱗屑をやわらかくし、塗り薬を届きやすくします。かゆみも減ります。乾燥する季節は1日2回を目安にしてください。入浴後はタオルで押さえるように水気を取り、5分以内に塗ってください。
のどの溶連菌感染は、小さな発疹が一度に多数出る滴状乾癬の引き金になることがあります。強い喉の痛みと発熱があるときは、早めに受診してください。
血圧の薬をはじめ、飲み薬のなかには乾癬に影響することがあるものがあります。お薬手帳をお持ちください。ただし、ご自分の判断で薬をやめないでください。
乾癬は高血圧、脂質異常症、糖尿病を合併しやすい病気です。血圧、血糖、脂質、体重を年に一度は確認してください。
皮膚の赤みと厚いフケのような鱗屑が3週間以上続いている場合は、一度ご相談ください。乾癬の診断は診察でつくことがほとんどで、保険診療で行います。
いずれも入院できる施設での治療が必要になることがあります。当院を受診いただければ、速やかに連携先へお繋ぎします。
| 項目 | 当院 | 高度医療機関 |
|---|---|---|
| 診察による診断と経過の評価 | できます | — |
| 皮膚生検 | — | お願いします |
| 塗り薬による治療 | できます | — |
| 部分的な光線療法 | できます | 全身への照射はお願いします |
| アプレミラストの飲み薬 | 開始も継続もできます | — |
| デュークラバシチニブと生物学的製剤 | — | お願いします |
| 乾癬性関節炎の診断と治療 | 関節の症状を伺います | お願いします |
| 汎発性膿疱性乾癬・乾癬性紅皮症 | — | お願いします |
乾癬の診療は保険診療です。当院はウェブからご予約いただけます。頭皮や陰部など、口に出しにくい部位のことも、こちらからお尋ねしますのでご安心ください。
うつりません。乾癬は感染症ではなく、免疫のはたらきが過剰になって皮膚に炎症が起こる病気です。触れても、同じタオルを使っても、同じお風呂に入っても、人から人へうつることはありません。ご家族やまわりの方にも、そのままお伝えいただいて大丈夫です。
再発しないという意味での完治は、今のところ難しい病気です。一方で、皮疹がほとんど分からない状態を年単位で保つことは現実的になりました。良くなったからといって自己判断で治療をやめると、多くの場合また出てきます。やめどきは診察で一緒に決めましょう。
なりやすい体質は受け継がれますが、1つの遺伝子で決まる病気ではなく、必ず発症するわけではありません。日本の調査では、乾癬性関節炎の患者さんのうち乾癬の家族歴がある方は6.6%でした。欧米の報告よりかなり低く、日本では家族歴のない方のほうが圧倒的に多いということです。
頭皮の乾癬は、フケが増えたという形で気づかれることがよくあります。乾癬の鱗屑は厚く乾いていて、境目がはっきりしており、生え際を越えて額や耳の後ろまで広がるのが特徴です。脂漏性皮膚炎は薄く黄色みがあり、境目がぼんやりしています。肘や膝、爪もあわせて診察すれば区別がつきます。
出ます。陰部や鼠径部は湿り気があるため、乾癬の特徴である銀白色の鱗屑がはがれ落ち、つるんとした赤みだけに見えます。そのためカンジダ症やあせも、湿疹と間違われやすい場所です。言い出しにくい場所ですので、当院ではこちらからお尋ねしています。診察は必要な範囲に限って行います。
あります。爪の表面の小さなくぼみ、爪先の浮き上がり、爪の下に透ける油のしみのような斑が特徴です。厚くもろくなった爪は爪白癬とよく似ているため、抗真菌薬を長く飲んでも良くならない爪は乾癬を疑う価値があります。爪の乾癬は関節の症状とも関係するため、関節の痛みや腫れもあわせて確認します。
関係している可能性があります。日本の乾癬患者さんのおよそ10%に乾癬性関節炎が起こり、調査によって8〜20%と幅があります。皮疹が先に出る方が約9割で、皮疹から関節の症状までは平均しておよそ8.7年の間隔があります。関節の破壊は元に戻らないため、早く見つけることが大切です。当院では、疑わしい場合は高度医療機関へご紹介します。
当院では現在、生物学的製剤の取り扱いを行っておりません。必要と判断した場合は、日本医科大学千葉北総病院皮膚科をはじめとする連携先へご紹介します。船橋市立医療センターや順天堂大学医学部附属浦安病院へご紹介することもあり、通院のしやすさに応じてご相談いただけます。
まず塗り薬から始めます。ステロイド外用薬と活性型ビタミンD3外用薬、その2つを組み合わせた配合外用薬を、部位と症状に合わせて使い分けます。4週間ほどで効果を確認し、一部だけが治りにくい場合は部分的な光線療法を併用することがあります。それでも十分でない場合はアプレミラストの飲み薬に進み、さらに強い治療が必要と判断した場合は連携先の施設へご紹介します。
受けられます。当院には308ナノメートルの紫外線を患部に当てるエキシマライトがあります。ただし対応できるのは範囲が限られた乾癬です。患部だけに当てるタイプのため全身への照射はできず、皮疹が体の広い範囲に及んでいる方には全身型の装置がある施設をご紹介します。塗り薬と併用し、週2回以上の照射が必要とされています。保険が使え、3割負担で1回あたり千円程度です。
入って構いません。乾癬は人にうつらないため、他の方に配慮が必要な病気ではありません。プールの塩素で乾燥が進むことがありますので、上がったあとは早めに保湿してください。体を洗うときは、ナイロンタオルでこすらないようにしてください。
食べてはいけないものが決まっているわけではありません。特定の食品を除く食事療法が乾癬に効くという確かな根拠はありません。一方で、体重を減らすことには根拠があります。肥満を伴う乾癬の方を対象にした解析では、減量に取り組んだ群でPASIが平均2.49点下がり、75%以上改善した方の割合が2.92倍でした。極端な制限ではなく、まず今の体重の5%を目標にしてください。
たばこは、やめる根拠がはっきりしています。現在喫煙している方の乾癬のオッズ比は1.78、中等症から重症に限ると1.72です。お酒については、飲酒量と症状の重さに関連があるという報告はあるものの、原因といえるだけの根拠はまだ十分ではありません。まずは禁煙から取り組んでいただくのが現実的です。
妊娠中や授乳中でも使える塗り薬があります。ただし薬によって扱いが大きく異なり、なかには妊娠中は使えないもの、中止後も一定期間避妊が必要なものがあります。妊娠を希望されている段階でお伝えいただければ、それに合わせて治療を組み立てます。ご自分で判断して中止する前に、まずご相談ください。
乾癬の診断と治療は保険診療です。塗り薬も、部分的な光線療法も、アプレミラストの飲み薬も、いずれも保険が使えます。アプレミラストは3割負担で月におよそ1万円から2万円が目安です。生物学的製剤はさらに高額になりますが、高額療養費制度により1か月と1年間の自己負担に上限が設けられています。
当院の医師は、乾癬の実際の診療のなかで得られたデータを、査読のある医学雑誌に報告しています。このページに書いた内容の一部は、その経験に基づいています。
2026年
このページの内容は、ふじもと皮フ科クリニック院長で日本皮膚科学会皮膚科専門医・医学博士の藤本栄大が監修しています。院長プロフィール・研究業績はこちら
Column
当院の医師が監修した、乾癬に関するコラムをご紹介します。
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