ディスカバリーピコプラス(シミ・あざのピコ秒レーザー)
ディスカバリーピコプラス(シミ・あざのピコ秒レーザー)

ディスカバリーピコプラスは、イタリアの Quanta System 社が製造する色素治療用のレーザー装置です。船橋市の当院に1台導入しています。
532nm、694nm、1064nmの3つの波長と、ピコ秒とナノ秒の2つのパルス幅を切り替えて使い分けられることが特徴です。シミ、そばかす、あざ、肝斑、毛穴、ニキビ跡と、目的の異なる照射を1台で行えます。
ディスカバリー ピコ プラスは、日本国内で厚生労働大臣の承認を受けた医療機器です。承認番号は 30200BZI00018000、承認された使用目的は 刺青及び色素性病変の蒸散及び除去に使用する です。
当院での使用の範囲と、国の指針が求めているご説明は、当院で使用している機器の承認状況にまとめました。
ピコ秒レーザーとQスイッチレーザーの違いは、光を当てている時間の長さです。当院の機器は、同じ1064nmの波長で 450ピコ秒 と 6ナノ秒 を切り替えられます。時間が短いほど熱が広がりにくく、長いほど熱で確実に壊せます。どちらが優れているという関係ではありません。
ピコ秒は1兆分の1秒、ナノ秒は10億分の1秒です。Qスイッチレーザーのパルス幅がナノ秒の単位であるのに対し、ピコ秒レーザーはその1000分の1の時間で照射します。
当院のディスカバリーピコプラスの実際の値は、1064nmが 450ピコ秒 と 6ナノ秒、532nmが 370ピコ秒 と 6ナノ秒 です。694nmのルビーはナノ秒のみで、ピコ秒の発振を持ちません。
照射時間が非常に短いと、メラニンが吸収したエネルギーが熱として周囲へ逃げる前に、急激な体積の変化が起こります。これが衝撃波となって色素を細かく砕きます。光音響効果と呼ばれる作用です。
照射時間が長いと、吸収されたエネルギーは熱として働きます。色素とその周囲がまとめて壊れ、かさぶたになって剥がれ落ちます。光熱作用と呼ばれる作用です。
| 項目 | ピコ秒 | Qスイッチ ナノ秒 |
|---|---|---|
| 当院の機器のパルス幅 | 1064nm 450ピコ秒/532nm 370ピコ秒 | 1064nm・532nm ともに 6ナノ秒。694nmもナノ秒 |
| 主に働く仕組み | 光音響効果。衝撃波で色素を砕く | 光熱作用。熱で色素と周囲を壊す |
| 向いているもの | 薄いシミ、広い範囲、肝斑、肌質の改善 | 輪郭のはっきりした濃いシミ、あざ |
| 使える波長 | 532nm・1064nm | 532nm・694nm・1064nm |
かさぶたができるかどうかは、この表に入れていません。パルス幅ではなく、出力によって決まるためです。同じピコ秒でも出力を上げればかさぶたができ、Qスイッチでも出力を下げればできません。
ピコ秒が新しく、Qスイッチが古い、という理解は正確ではありません。輪郭がはっきりした濃い老人性色素斑では、熱でしっかり壊してかさぶたにするQスイッチのほうが、1回での変化が大きいことがあります。一方で、広い範囲に薄く散らばったシミや、刺激で濃くなりやすい肝斑では、熱を広げにくいピコ秒が向きます。
当院が両方を1台に持っているのは、この使い分けを診察のたびに選び直すためです。どちらを使うかは、シミの種類、濃さ、深さ、肌の色、これまでの治療歴を見て決めます。
ピコ秒だから炎症後色素沈着が起こらない、ということもありません。出力を上げれば、ピコ秒でも同じように起こります。照射のあとに色が濃くなるかどうかを決めているのは、パルス幅よりも出力です。当院が診察のたびに設定を決め直しているのは、この出力を、その方の肌とシミに合うところに置くためです。
532nmは浅いシミに、694nmのルビーは真皮まで届く色素に、1064nmは最も深いところに届きます。メラニンへの吸収は波長が短いほど高く、届く深さは波長が長いほど深くなります。この2つは反対の関係にあり、どれか1つがすべてに優れているということはありません。
| 波長 | メラニンへの吸収 | 届く深さ | 主に狙う対象 |
|---|---|---|---|
| 532nm YAGの第2高調波 | 3つのなかで最も高い | 最も浅い | 表皮にとどまるシミ。老人性色素斑、そばかす |
| 694nm ルビー | 高い | 532nmより深い | 真皮の浅い層までのメラニン。薄いシミ、くすみ |
| 1064nm YAG | 3つのなかで最も低い | 最も深い | 真皮の色素、刺青。弱い出力を重ねる肝斑のトーニング |
吸収が高い波長は、少ないエネルギーで表面の色素に働きますが、その分だけ浅いところで吸収されてしまい、深いところまで届きません。吸収が低い波長は、深いところまで届きますが、同じ効果を得るためにより大きなエネルギーが必要になります。シミの深さによって波長を選ぶのは、このためです。
シミの治療に使われるレーザーの多くは、532nmと1064nmの2波長です。694nmのルビーは、メラニンへの吸収が高いまま、532nmより深いところまで届きます。真皮にメラニンがある病変や、532nmでは届かず1064nmでは吸収が足りない、その中間の深さの色素に対して働きます。
当院がルビースポットとルビーフラクショナルを行えるのは、この波長を備えているからです。
色素性のあざのうち、次のものは保険診療の対象になります。診断がついたうえでの照射になりますので、まず皮膚科を受診してください。
シミ、そばかす、肝斑、くすみ、毛穴、ニキビ跡を目的とした照射は、すべて自費診療です。
照射のしかたは4つに分かれます。1か所ずつ狙って当てるスポット治療、顔全体に弱い出力を重ねるトーニング、点状に当てて色を薄くするルビーフラクショナル、点状に当てて肌質を変えるピコフラクショナルです。同じ機器でも、目的が違えば当て方が変わります。
| モード | 波長とパルス幅 | 主な対象 | 1回の料金 税込 | 診療区分 |
|---|---|---|---|---|
| ピコスポット | 532nm・1064nm ピコ秒 | 輪郭のはっきりしたシミ。かさぶたを作りたくない場合 | 1cm以下 22,000円 | 自費 |
| Qスイッチスポット・ルビースポット | 532nm・694nm・1064nm ナノ秒 | 濃い老人性色素斑、あざ | 1cm以下 22,000円。あざは保険の場合があります | 自費または保険 |
| トーニング ピコ・Qスイッチ | 1064nm 弱い出力を重ねます | 肝斑、顔全体の色ムラ | 顔全体 19,800円 | 自費 |
| ルビーフラクショナル | 694nm ナノ秒を点状に | 薄いシミ、くすみ、色調の均一化 | 顔全体 33,000円 | 自費 |
| ピコフラクショナル | 1064nm ピコ秒を点状に | 毛穴の開き、ニキビ跡の凹凸、小じわ | 顔全体 33,000円 | 自費 |
スポット治療は 2cm以下 38,500円、3cm以下 55,000円です。コース料金は料金案内をご覧ください。
輪郭のはっきりしたシミへのスポット治療は、1回で改善することがあります。一方で、顔全体の色調を整える治療は、回数を重ねる前提の治療です。肝斑のトーニングは4週間おきに5回から10回、ルビーフラクショナルとピコフラクショナルは3回から5回が目安になります。
回数は肌の状態によって変わります。あらかじめ決めた回数を消化する治療ではなく、経過を見ながら次を決めていきます。
名前は似ていますが、目的が違います。ルビーフラクショナルは色を薄くする治療、ピコフラクショナルは肌質を変える治療です。どちらも点状に照射しますが、狙っているものが別のものです。
| 項目 | ルビーフラクショナル | ピコフラクショナル |
|---|---|---|
| 波長とパルス幅 | 694nm ナノ秒 | 1064nm ピコ秒 |
| 狙っているもの | 皮膚のなかのメラニン | 真皮のコラーゲンとエラスチンの産生 |
| 主な対象 | 薄いシミ、くすみ、色ムラ | 毛穴の開き、ニキビ跡の凹凸、小じわ |
| 変わるもの | 肌の色 | 肌の質感と凹凸 |
| 施術後 | 細かいかさぶたが点状にでき、数日で剥がれます | 赤みが2日から3日。かさぶたはできにくい |
| 1回の料金 税込 | 顔全体 33,000円 | 顔全体 33,000円 |
| 承認された使用目的との関係 | 色素性病変への照射にあたり、範囲内と考えています | 範囲外にあたると考えています |
鏡を見て気になっているのが色なのか、質感なのかで分かれます。顔全体がくすんで見える、薄い色が散らばっている、という方はルビーフラクショナルです。毛穴が目立つ、ニキビの跡がでこぼこしている、小じわが気になる、という方はピコフラクショナルです。
凹凸のはっきりしたニキビ跡には、CO2REによる炭酸ガスフラクショナルという選択肢もあります。ピコフラクショナルより変化は大きく、そのぶんダウンタイムも長くなります。ニキビ跡の治療のページで、両者を比べています。
初めての方は、診察の日と照射の日で2回ご来院いただきます。ダウンタイムはモードによって大きく違い、テープでの保護が1週間必要なものと、その日のうちにメイクができるものがあります。
照射のたびに院長が診察し、波長、パルス幅、出力を決めます。あらかじめ決めた設定を繰り返すのではなく、前回の反応を見て毎回調整します。照射そのものは、モードにより医師または看護師が行います。
| モード | 照射後の見た目 | テープ保護 | メイク |
|---|---|---|---|
| スポット治療 ピコ・Qスイッチ・ルビー | かさぶたができます | 1週間ほど必要になることがあります | テープの上から可能です |
| トーニング | ほとんど変わりません | 不要です | 当日から可能です |
| ルビーフラクショナル | 点状の細かいかさぶたが数日 | 不要です | 翌日から可能です |
| ピコフラクショナル | 赤みが2日から3日 | 不要です | 数日後から可能です |
痛みは、輪ゴムで軽く弾かれた程度と感じる方が多いです。ルビーフラクショナルとピコフラクショナルでは、事前に麻酔のクリームを塗ります。
照射後に一時的に色が濃くなったように見えることがあります。多くは炎症後色素沈着で、数か月かけて薄くなります。気になるときは、次のご予約を待たずにご相談ください。
ダウンタイムの短い治療ですが、副作用がないわけではありません。添付文書が禁忌としている方は照射を行いません。とくに、難治性のニキビに使うレチノイドの内服を終えてから6か月以内の方は、添付文書上、照射できないことになっています。
ディスカバリー ピコ プラスの添付文書は、次の方への使用を禁忌・禁止としています。
また添付文書は、治療室にいる全員が適切な保護メガネを装着すること、目の近傍、とくに目頭と目尻の近くには使用しないことを、警告として求めています。当院では、照射中に保護用のアイシールドをお付けいただきます。
添付文書は、レチノイドの使用後6か月以内を禁忌としています。難治性のニキビに使うイソトレチノインを内服された方は、飲み終えてから6か月をあけることを基本とします。理由は、浮腫、色素沈着、瘢痕の形成が起こるおそれがあるためです。
肌の状態を診察したうえで、ご本人のご希望とご了承があれば、柔軟に対応することもあります。まず、飲み終えた時期をお知らせください。イソトレチノインについてはニキビ跡・ニキビの美容皮膚科治療のページに詳しく書いています。
肝斑がある部位には、強い出力での照射を行いません。添付文書が有害事象として肝斑の増強を挙げており、強い刺激でかえって濃くなることがあるためです。肝斑に対しては、弱い出力を重ねるトーニングを用います。
診察のときに、内服中のお薬、既往症、日焼けの有無をおうかがいします。お薬手帳をお持ちいただくと確認がすみやかです。
ディスカバリー ピコ プラスは、国内で厚生労働大臣の承認を受けた医療機器です。承認された使用目的は 刺青及び色素性病変の蒸散及び除去 で、シミ、そばかす、あざ、肝斑への照射はこの範囲内と考えています。一方、毛穴の開き、ニキビ跡の凹凸、小じわを目的としたピコフラクショナルは、範囲外にあたると考えています。以下は、承認された用途と異なる目的で使用する場合に、国の指針が求めている4つの項目に沿ったご説明です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 当院での呼び方 | ディスカバリーピコプラス、ピコレーザー、Qスイッチルビーレーザー、QスイッチYAGレーザー |
| 販売名 | ディスカバリー ピコ プラス |
| 一般的名称 | ネオジミウム・ヤグレーザ |
| 区分 | 高度管理医療機器。特定保守管理医療機器、設置管理医療機器。厚生労働大臣の承認です |
| 承認番号 | 30200BZI00018000 |
| 製造販売業者 | リサ株式会社。外国製造業者は Quanta System SpA イタリア |
| 承認された使用目的 | 刺青及び色素性病変の蒸散及び除去に使用する。 |
| 添付文書の版 | 第2版 2021年6月 |
当院が導入しているディスカバリー ピコ プラスは、上の表のとおり、承認番号 30200BZI00018000 の承認を受けた機器です。
承認された使用目的に挙げられているのは、刺青と色素性病変の2つだけです。
| このページの治療 | 当院の判断 |
|---|---|
| シミ、そばかす、あざへのスポット治療 | 色素性病変の除去にあたります。範囲内 |
| 肝斑へのトーニング | 肝斑は色素性病変にあたります。範囲内 |
| ルビーフラクショナル | 薄いシミへの照射は色素性病変にあたります。範囲内 |
| ピコフラクショナル 毛穴、ニキビ跡の凹凸、小じわ | 色素性病変ではありません。範囲外にあたると考えています |
| くすみ、色調の均一化、肌質の改善という目的 | 病変の名前ではありません。範囲外にあたると考えています |
ピコフラクショナルが狙っているのは、色素ではありません。点状に照射して真皮に微細な変化を起こし、コラーゲンとエラスチンの産生を促すことで、毛穴の開きや凹凸を変えていく治療です。色素性病変の蒸散および除去という使用目的には、この作用が含まれていません。そのため当院は、範囲外にあたると考えています。
範囲外にあたることと、効果がないこととは別のことです。当院は、毛穴の開き、ニキビ跡の凹凸、小じわ、そして肌の色調を整えることに対して、これらの照射を有効な治療と考えており、医師の責任のもとで行っています。承認された使用目的は、その機器を国内で販売するために定められた範囲であって、その範囲の外で効果がないことを意味するものではありません。米国では、しわとざ瘡瘢痕がこの機器の適応に含まれています。4番の項をご覧ください。
国内で承認を受けた医療機器であり、国内の製造販売業者を通じて購入したものです。医師の個人輸入によるものではありません。添付文書上の製造販売業者はリサ株式会社です。
米国では、本機を含む Discovery Pico Family が、食品医薬品局の510k、すなわち既存の機器との実質的同等性の認定を受けています。K191842、2019年9月17日付です。以下は米国での適応であり、国内で承認された使用目的とは異なります。
510kは承認ではなく、既存の機器との実質的同等性を示して販売を許可される手続きで、日本の承認とは制度が異なります。また、米国の適応に肝斑は含まれていません。
報告されている不具合と有害事象は、添付文書の記載によります。色素沈着過剰と色素脱失、治療時の痛み、紅斑と浮腫、かさぶた、熱傷と水疱、一時的な色素と肌質の変化、瘢痕、紫斑と毛細血管拡張、あざ、しびれ、持続する熱感、出血性の水疱、肝斑の増強、腫れ、表在血栓症、血栓性静脈炎、寒冷蕁麻疹、点状出血、萎縮、白癬、奇異性多毛症、免疫反応、アレルギー反応、赤色刺青色素の暗色化、不十分な治療反応が挙げられています。禁忌としている方と、ご相談のうえ判断する方は、主なリスクと副作用、受けられない方にまとめています。
美容医療で用いる機器は、承認または認証された用途と、実際に行う施術の目的が一致しないことがあります。承認または認証された用途と異なる目的で使用することは医師の裁量として認められており、当院は医師の責任のもとで行っています。
承認と認証は、日本国内で医療機器を販売するために設けられた制度上の手続きです。用途が一致しないことや、承認や認証を受けていないことが、機器の性能や安全性が劣ることを意味するものではありません。使用にあたっては、医師が診察のうえ、機器ごとの特性とリスクをご説明します。
このページの治療は、保険の対象となるあざを除き、すべて自費診療で、公的医療保険は適用されません。1回の料金は4つの照射モードと、病変ごとの選び方に、コース料金は料金案内に掲載しています。
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