2026年6月20日

足の親指が痛くて整形外科を受診したところ、爪の治療は皮膚科へと案内された——診察室でこういったお話を聞くことは、珍しくありません。巻き爪は複数の診療科が関係するため、どこに行けばいいか迷いやすい疾患のひとつです。
この記事では、船橋・北習志野で皮膚科を専門とする院長が、巻き爪を診てもらえる診療科の違い、症状の段階ごとの受診先の選び方、そしてもっと早く来ていればと感じる場面について、正直にお伝えします。
この記事でわかること
- 巻き爪を診てもらえる診療科(皮膚科・形成外科・整形外科)の違い
- 症状の段階別・最適な受診先の選び方
- 整形外科で断られる理由と、その後どこに行けばよいか
- 放置すると起こる過剰肉芽とは何か
- 矯正で対応できる場合と、外科的処置が必要な場合の見分け方
巻き爪を診てもらえる診療科
巻き爪(陥入爪)は、皮膚科・形成外科・整形外科のいずれでも対応している場合がありますが、各科の得意領域は異なります。
皮膚科
皮膚科は、皮膚だけでなく爪や毛を含む体表全般を専門とする診療科です。巻き爪・陥入爪はもともと皮膚科が主に対応してきた疾患のひとつで、軽症から中等症まで幅広く診察できます。矯正による保存療法から、局所麻酔を使った外科的処置(楔状切除など)まで対応しています。
受診先に迷ったときは、皮膚科が最初の窓口として適切です。
形成外科
形成外科は、皮膚・皮下組織・爪など体表の組織を外科的に治療することを専門とする診療科です。巻き爪・陥入爪の治療に積極的に取り組んでいる形成外科クリニックも多く、重症例や外科的処置が必要な段階では特に頼りになる選択肢のひとつです。ただし形成外科医の絶対数が少ないため、地域によってはクリニックを探しにくい場合があります。
整形外科
整形外科は、骨・筋肉・関節・靭帯など、運動器官を専門とする診療科です。股関節・膝関節・足関節などの大きな関節や骨折を主に扱います。
足の疾患というイメージから整形外科を受診される方も多く、陥入爪・巻き爪の治療に積極的に取り組んでいる整形外科クリニックも存在します。一方で、爪の治療には対応していないとして皮膚科を案内される施設も多く、整形外科を受診した後に皮膚科に回られて来院される方が一定数いらっしゃいます。受診前に、その施設が巻き爪・陥入爪に対応しているかどうかを確認しておくと安心です。
| 診療科 | 得意領域 | 巻き爪への対応 |
|---|---|---|
| 皮膚科 | 皮膚・爪・毛 | ◎ 軽症〜中等症。最初の窓口として最適 |
| 形成外科 | 体表外科(皮膚・皮下組織) | ○ 軽症から重症まで積極的に対応している施設も多い |
| 整形外科 | 骨・筋肉・関節 | △ 施設によって差が大きい。事前確認を推奨 |
症状の段階別・受診先の選び方
巻き爪の受診先は、症状の重さによって判断が変わります。目安として3つの段階に分けて説明します。
段階①:爪が丸まってきた・気になる程度(炎症なし)
痛みが軽く、皮膚への食い込みも少ない段階です。炎症が起きていなければ、矯正だけで対応できる場合がほとんどです。
この段階では、矯正を専門とするサロン(看護師や専門スタッフが在籍している施設)でのケアが選択肢に入ります。医療機関での受診が必要かどうか判断に迷う場合は、まずサロンに相談するのもひとつの方法です。
→ 巻き爪メディカルサロンF(船橋・北習志野)の無料相談はこちら
段階②:食い込んで痛い・赤みや腫れがある(軽度〜中等度の炎症)
爪が皮膚に食い込み、歩くたびに痛みがある状態です。軽度の炎症であれば、矯正で対応できる場合もあります。ただし、炎症の程度は見た目だけでは判断しにくいため、皮膚科での診察を受けることをお勧めします。
クリニックで炎症の程度を確認したうえで、矯正で対応できるのか、外科的な処置が必要なのかを判断します。
段階③:化膿している・歩けないほど痛い(重症・過剰肉芽)
放置した巻き爪が悪化すると、爪の周囲に過剰肉芽と呼ばれるコブのような組織が出現することがあります。肉芽が大きくなると爪が肉に埋もれていき、激しい疼痛を引き起こします。この状態になると矯正だけでは対応できず、薬剤や外科的処置が必要になる場合があります。
痛いけれどそのうち治るだろうと放置していた方が、この段階になって初めて来院されることが少なくありません。過剰肉芽が出現してからでは治療の選択肢が狭まります。赤みや腫れが続く場合は早めに皮膚科を受診してください。
⚠ 院長からのひとこと
過剰肉芽が出現し爪が埋もれた状態になってから来院される方を多く診てきました。こうなると外科的な治療が必要になることもあり、痛みのある期間も長くなります。少し巻いてきたかなと感じた段階での相談が、結果的に治療を短くします。
外科的処置について知っておくべきこと
重症の巻き爪や陥入爪に対して行われる外科的処置について、正直にお伝えしておきたいことがあります。
楔状切除(部分抜爪)の適応
化膿や強い炎症がある場合、局所麻酔をして食い込んでいる爪の端を切除する楔状切除(部分抜爪)が行われることがあります。即効性があり、その場の強い痛みを改善するのに有効な処置です。軽度の段階での楔状切除は適切な治療選択肢のひとつです。
フェノール法などの根治手術は慎重に
一方、爪の根元(爪母)にフェノールなどの薬剤を塗布して爪が生えてこないようにする処置(フェノール法)は、再発を防ぐことを目的としています。
ただし、爪母まで処理すると将来的に爪を支える部分が失われることがあり、爪が巻いたり反ったりする後遺症が残ることがあります。こうした処置は他の方法で対処できない場合の最終手段と考えるべきで、軽症・中等症の段階では選択しないことが多いです。
受診先を選ぶ際は、どのような治療方針を採用しているクリニックか、事前に確認されることをお勧めします。
ふじもと皮フ科クリニックで受けられる巻き爪治療
当院では、巻き爪・陥入爪の診察・治療を行っています。炎症の有無と程度を診察で確認したうえで、適切な治療方針をご提案します。
- 炎症なし・軽度:矯正(サロン連携)または保存療法
- 軽度〜中等度の炎症:抗炎症処置+矯正の検討
- 化膿・過剰肉芽:薬剤処置または外科的処置(楔状切除)
なお、爪矯正(プレート矯正)については、当院と連携している巻き爪メディカルサロンF(北習志野)でも対応しています。看護師が在籍しており、炎症がなく矯正のみで対応できる段階であれば、サロンでのケアが負担の少ない選択肢になります。医療的な処置が必要かどうか判断に迷う場合は、当院の診察をご利用ください。
よくある質問
巻き爪は整形外科で診てもらえますか?
整形外科でも陥入爪・巻き爪の治療に積極的に取り組んでいる施設はあります。一方で、骨・筋肉・関節が専門領域のため爪の治療には対応していない施設も多く、皮膚科を案内されるケースも珍しくありません。受診前にその施設が対応しているか確認するか、まず皮膚科を受診するのがスムーズです。
皮膚科と形成外科、どちらがいいですか?
形成外科でも巻き爪・陥入爪の治療に積極的に取り組んでいる施設は多くあります。皮膚科と同様に幅広い症状に対応できるため、近くに形成外科クリニックがある場合はよい選択肢になります。一方で形成外科医の絶対数が少なく、地域によってはクリニックを探しにくいことがあります。受診先に迷う場合は、まず皮膚科に相談するのがスムーズです。
痛みがない巻き爪でも受診・相談すべきですか?
炎症が起きていない段階が、最も治療の選択肢が広い状態です。痛みが出てからでは矯正だけでは対応できないケースも増えます。少し気になる程度の段階で相談することが、結果的に早期解決につながります。
矯正と外科的処置、何が違うの?
矯正は、器具(プレートやワイヤーなど)を爪に装着して爪のカーブを徐々に矯正する方法です。炎症がなく爪が残っている状態であれば、最も侵襲の少ない治療法です。外科的処置(楔状切除など)は、局所麻酔をして爪の一部を切除するもので、化膿や強い炎症がある場合に適応されます。
子供の巻き爪は何科に行けばいいですか?
お子さんの巻き爪も、基本的には皮膚科が最初の受診先として適切です。小さいうちは爪がやわらかいため、矯正で比較的改善しやすいケースもあります。痛みや腫れがある場合は早めに受診してください。
陥入爪と巻き爪は同じですか?
似た状態ですが厳密には異なります。巻き爪は爪全体が内側に丸まった状態を指し、陥入爪は爪の端が皮膚に食い込んで炎症を起こしている状態を指します。ただし、臨床的には両者が混在していることが多く、受診先の判断としては同じ皮膚科で対応できます。
記事監修者

ふじもと皮フ科クリニック 院長
藤本 栄大(ふじもと えいた)
医学博士
防衛医科大学校卒業後、自衛隊病院・防衛医科大学校附属病院での勤務を経て日本皮膚科学会認定専門医を取得。同大学院在籍中に米国UC Davis(皮膚科学教室)へ留学し医学博士を取得。海上幕僚監部衛生企画室勤務、南極観測船「しらせ」医務長(第54次)、Pacific Partnership参加等を経て、2015年にふじもと皮フ科クリニックを開院。日本医科大学千葉北総病院との共同研究を継続的に実施。
院長プロフィール・研究業績はこちら →




