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ウパダシチニブは3年間使い続けても効果が持続するのか 全身治療歴のある患者とない患者の比較

ウパダシチニブは3年間使い続けても効果が持続するのか 全身治療歴のある患者とない患者の比較|船橋・習志野・八千代エリアで皮膚科をお探しなら|ふじもと皮フ科クリニック

2026年6月24日

ウパダシチニブは3年間使い続けても効果が持続するのか 全身治療歴のある患者とない患者の比較

ふじもと皮フ科クリニック院長藤本です。今回ご紹介するのは、私(藤本栄大)が共著者として参加した研究です。本記事は、2026年にJournal of the American Academy of Dermatology(米国皮膚科学会誌)に掲載された研究をもとに解説しています。

アトピー性皮膚炎についてはこちらのアトピー性皮膚炎診療ページもあわせてご覧ください。

この研究は何を調べたのか

ウパダシチニブ(商品名:リンヴォック)は、アトピー性皮膚炎の治療に使われるJAK阻害薬(炎症に関わる酵素の働きを抑えるお薬)です。

臨床試験では効果が確認されていますが、実際の外来診療で3年間使い続けたときに効果は持続するのか、というデータはほとんどありませんでした。そこで本研究では、日本の中等症〜重症アトピー性皮膚炎患者334名(15mg群253名、30mg群81名)を対象に、144週間(約3年間)にわたってウパダシチニブの治療効果を追いかけました。また、過去に全身療法を受けたことがない未経験患者と、すでに受けたことがある経験患者に分けてそれぞれの成績を比較しました。

なぜこの研究が重要なのか

アトピー性皮膚炎は、治ったり悪化したりを繰り返す慢性疾患です。新しい治療薬を使うときに患者さんから最も多く聞かれる質問のひとつが、ずっと使い続けても大丈夫ですか、効果は続きますか、というものです。短期(16〜52週)の試験データは多くありますが、3年というスパンで実際の外来患者を追った研究は国内外でも非常に珍しく、今回の報告は皮膚科医と患者さんの双方にとって大きな意義があります。

研究でわかったこと

3年間を通じて高い有効性が持続した

15mg・30mgのどちらのグループでも、治療開始4週目という早い時期からEASI(湿疹の面積と重症度を数値化した指標)とPP-NRS(かゆみの強さを数値化した指標)が大きく改善し、その改善は144週間を通じておおむね維持されました。12週目に皮膚症状が75%以上改善またはかゆみスコアが改善した患者さんは、その後も144週目まで概ね良好な状態を保ち続けました。最初に効いた人は、長く使い続けても効果が続きやすいことが示された形です。

全身療法未経験の患者さんでは特に安定した効果

15mg群で比較すると、全身療法未経験の患者さんではEASIとかゆみスコアの改善が144週を通じて安定して維持されました。一方、全身療法経験患者さん(主にデュピルマブという生物学的製剤からの切り替えが多かった)では、36週目以降からEASIとかゆみスコアがわずかに増加する傾向が見られ、特に頭や首の皮膚症状の上昇が目立ちました。30mg群の全身療法経験患者さん(主にウパダシチニブ15mgからの用量増量者が多かった)では、このような傾向は認められませんでした。

好酸球数が治療効果のバイオマーカーになりうる

血液中の好酸球(アレルギーや炎症に関わる白血球の一種)の数は、治療開始から4〜12週という早い段階で急速に低下し、その低い状態が144週にわたって持続しました。この結果から、好酸球数はウパダシチニブの治療反応性を3年間追いかける際のバイオマーカー(目安の数値)として活用できる可能性が示されました。血液検査で経過をモニタリングすることの有用性を裏付ける知見です。

皮膚科診療にどう活かされるのか

この研究からわかった重要なポイントをまとめると、ウパダシチニブは適切に使い続けることで3年間という長期にわたって高い有効性を維持できること、全身療法経験患者さんで15mgを使用中に頭や首の症状が再燃してきたときは30mgへの増量が有効な選択肢となりうること、12週時点での反応が良好であれば長期的な継続治療に自信を持って取り組みやすいこと、などが挙げられます。

当院では、ウパダシチニブ(リンヴォック)の処方を行っています。まずは一般皮膚科外来でご相談ください。なお、より高度な管理が必要と判断した場合は、当院から日本医科大学千葉北総病院へご紹介することも可能です。

当院からのメッセージ

本研究は、萩野哲平医師(日本医科大学千葉北総病院 皮膚科)をはじめとする共同研究者と当院が力を合わせて取り組んだ成果です。

この薬は自分に合っているのか、いつまで使い続ければいいのかという不安を抱えている方は多いと思います。本研究のように実際の外来患者さんの3年間のデータを積み重ねることは、そういった疑問への一つの答えになると信じています。治療についてご不明な点やご不安がある方は、どうぞお気軽に外来でご相談ください。

記事監修者

藤本栄大 院長

ふじもと皮フ科クリニック 院長

藤本 栄大(ふじもと えいた)

医学博士

日本皮膚科学会認定専門医・医学博士

防衛医科大学校卒業後、自衛隊病院・防衛医科大学校附属病院での勤務を経て日本皮膚科学会認定専門医を取得。同大学院在籍中に米国UC Davis(皮膚科学教室)へ留学し医学博士を取得。海上幕僚監部衛生企画室勤務、南極観測船「しらせ」医務長(第54次)、Pacific Partnership参加等を経て、2015年にふじもと皮フ科クリニックを開院。日本医科大学千葉北総病院との共同研究を継続的に実施。

院長プロフィール・研究業績はこちら →

原著論文

著者: Hagino T, Saeki H, Fujimoto E, Kanda N
タイトル: Three-year real-world outcomes of upadacitinib treatment for atopic dermatitis: Systemic therapy-naïve versus -experienced patients
掲載誌: Journal of the American Academy of Dermatology
年: 2026
DOI: https://doi.org/10.1016/j.jaad.2026.06.007

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