Q1. 脂漏性皮膚炎は治りますか
塗り薬でよくなりますが、やめると戻ることが多い病気です。脂漏性皮膚炎は、体質と皮脂の量と、皮膚にいるマラセチアという常在菌のつり合いで起こります。このつり合いそのものを治療で変えることはできないため、治すというより抑え続けるという考え方をします。炎症が強いあいだだけしっかり塗り、落ち着いたら抗真菌薬だけを続けることで、多くの方が気にならない状態を保てます。
脂漏性皮膚炎
脂漏性皮膚炎は、皮脂の分泌が多い頭皮や顔に、赤みと細かい皮むけが出る慢性の皮膚炎です。皮膚に誰にでもいるマラセチアという常在菌が関わっており、不潔にしているから起こる病気ではありません。抗真菌薬とステロイドの塗り薬を使い分け、保険診療で治療します。
脂漏性湿疹と呼ばれることもありますが、同じ病気です。脂漏とは皮脂の分泌が多い状態のことで、皮脂腺が集まっている場所に一致して症状が出るため、この名前がついています。世界の成人を対象にした集計では有病率は5.64パーセント、全年齢では4.38パーセントで、皮膚科では日常的にみる病気です。
いずれも皮脂腺が多い場所です。逆にいえば、手のひらや足の裏、すねなど皮脂の少ない場所には出ません。
脂漏性皮膚炎は、男性にやや多い病気です。皮脂の分泌が男性ホルモンの影響を受けるためと考えられています。年齢では生後3か月ごろまでと思春期以降の2つの時期に多く、40代以降にもう一度増えます。中高年では14パーセントという報告もあり、年齢とともにありふれた病気になっていきます。
脂漏性角化症は、加齢と紫外線によってできる良性のできもので、老人性イボとも呼ばれます。名前が似ているだけで、脂漏性皮膚炎とはまったく別の病気です。盛り上がったできものが気になる場合は、脂漏性角化症のページをご覧ください。
脂漏性皮膚炎の症状は、出る場所によって見え方が変わります。頭皮では脂っぽいフケとして、顔では赤みと細かい皮むけとして現れます。同じ病気でも、ご本人の困りごとが場所ごとにまったく違うのが特徴です。
| 出やすい場所 | 見え方 | 間違われやすい病気 |
|---|---|---|
| 頭皮 | 脂っぽく黄色みのあるフケ。かゆみを伴う | フケ症、頭皮の乾癬、頭部白癬 |
| 眉毛と眉のあいだ | 赤みと、細かく粉をふいたような皮むけ | 酒さ、かぶれ |
| 小鼻のわきと口もとの溝 | 境目のぼんやりした赤みと皮むけ | 酒さ、ニキビ |
| 耳の後ろと外耳道 | ひび割れ、じくじく、かさぶた | かぶれ、外耳炎 |
| 前胸部と背中の中央 | 楕円形の赤みに薄い鱗屑 | 癜風、ニキビ |
| 腋の下と足のつけ根 | 境目のはっきりしない赤み | カンジダ症、あせも |
頭皮ではかゆみが主な訴えになることが多く、1日のうちでは夕方や入浴後に強まります。一方で顔や胸では、かゆみをほとんど感じず、赤みと皮むけだけが気になるという方も少なくありません。かゆくないから脂漏性皮膚炎ではない、ということにはなりません。
顔の赤みが主な悩みの場合は、酒さや毛細血管の広がりが重なっていることもあります。顔の赤みの見分けは酒さのページに、自費のレーザー治療はあかみ・赤ら顔のページにまとめています。
フケは出るけれど頭皮に赤みもかゆみもない、という状態はフケ症と呼ばれ、脂漏性皮膚炎の軽い形と位置づけられています。この2つは連続していて、はっきり線を引けるものではありません。
目安としては、髪を分けて見たときに地肌が赤い、かゆみがある、フケが脂っぽく大きなかたまりになる、という場合です。ここまで来ていれば、シャンプーを変えるより塗り薬を使ったほうが早く落ち着きます。
胸や背中、額に、ニキビによく似た小さなぶつぶつが混ざることがあります。同じマラセチアが毛穴の中で増えて起こるマラセチア毛包炎で、脂漏性皮膚炎と一緒にみられることがあります。
ふつうのニキビと違って、毛穴に角質と皮脂が詰まった面皰ができません。大きさがそろった小さなぶつぶつが、まとまって出るのが特徴です。ニキビの薬では良くならず、抗真菌薬で治療します。ニキビとの見分けはニキビのページもご覧ください。
空気が乾いて気温が下がると悪化しやすく、夏に日光を浴びると軽くなる傾向があります。毎年同じ時期に悪くなるという方は珍しくありません。悪くなってから治療を始めるのではなく、悪くなる季節の前から維持の塗り薬を続けるほうが、結果として使う薬は少なくて済みます。
脂漏性皮膚炎は、新生児期から乳児期に出るものと、思春期以降に出るものに分かれます。乳児のものは生後4か月から6か月ごろまでに自然に軽くなることがほとんどですが、成人のものは良くなったり悪くなったりを繰り返します。
| 項目 | 乳児脂漏性皮膚炎 | 成人期の脂漏性皮膚炎 |
|---|---|---|
| 出る時期 | 生後2週ごろから | 思春期以降。40代以降にもう一度増える |
| 見た目 | 頭に黄色いかさぶた状の厚い付着。眉やほほにも | 脂っぽいフケと赤み。細かい皮むけ |
| かゆみ | 強くないことが多い | 頭皮では強いことが多い |
| 経過 | 生後4か月から6か月ごろまでに自然に軽くなることがほとんど | 良くなったり悪くなったりを繰り返す |
| 治療 | やさしい洗浄と保湿が中心。炎症が強ければ弱いステロイドを短期間 | 抗真菌薬とステロイドの使い分け |
生後2週ごろから、頭に黄色く厚いかさぶたのようなものが付くことがあります。これが乳児脂漏性皮膚炎です。生後4か月から6か月ごろまでに自然に軽くなることがほとんどで、あわてて強い治療をする必要はありません。
当院では、やさしく洗って保湿することを中心にご案内し、炎症が強い場合にだけ弱いステロイドを短期間お使いいただきます。油分でふやかしてから洗う方法が紹介されることもありますが、当院では必ずしも必要とはお伝えしていません。
ただし、かさぶたが厚く広がってきた場合、体にも湿疹が広がってきた場合、かゆがってかき壊す場合は、別の病気が混ざっていることがあります。アトピー性皮膚炎との見分けが必要になることもありますので、ご相談ください。
皮脂の分泌は思春期に増えます。脂漏性皮膚炎が生後3か月ごろまでと、思春期以降の2つの時期に多いのは、どちらも皮脂の分泌が高まる時期にあたるためです。40代以降にもう一度増えることも知られています。
脂漏性皮膚炎は、皮膚にいるマラセチアという常在菌が皮脂を分解し、そのときにできる物質が皮膚を刺激することで起こります。菌そのものが悪さをするというより、菌と皮脂と体質のつり合いが崩れた状態です。
脂漏性皮膚炎は、洗い方が足りないから起こるのではありません。マラセチアは誰の皮膚にもいる常在菌で、洗ってなくなるものでもありません。むしろ、かゆいからと1日に何度も洗ったり、爪を立ててこすったりすると、皮膚のバリアが壊れて悪くなります。洗いすぎは、当院でいちばん多くみる悪化のきっかけです。
疲れているとき、睡眠が足りないとき、忙しい時期に悪くなるという方は少なくありません。ただし、これらが原因だと言い切れるだけの根拠は、まだありません。関わりが指摘されている、という段階です。
生活を整えることは大切ですが、生活が乱れているせいだと、ご自分を責める必要はありません。体質と皮脂の量という、努力では変えられない部分のほうが大きい病気です。
もともと自分の皮膚にいる菌に対する反応ですので、人から人へうつることはありません。タオルや枕を分ける必要はありませんし、プールや温泉に入っても差し支えありません。
フケが増えたときに切り分けるべきなのは、脂漏性皮膚炎と頭皮の乾癬と頭部白癬の3つです。ただし、はじめのうちは見分けがつかないことがあります。教科書に載っている違いは、実際の診察ではそこまではっきり出てくれないためです。
| 項目 | 脂漏性皮膚炎 | 頭皮の乾癬 | 頭部白癬 | アトピー性皮膚炎 |
|---|---|---|---|---|
| 鱗屑 | 薄く、黄色みがあり、脂っぽい | 厚く、銀白色で、乾いている | かさぶた状。毛が途中で折れて黒い点に見える | 乾いて細かい |
| 境目 | ぼんやりしている | はっきりしている | 円形に抜けることがある | ぼんやりしている |
| 広がり方 | 生え際の内側にとどまることが多い | 生え際を越えて額や耳の後ろへ出る | 広がりながら脱毛を伴う | 首や耳のつけ根にも出る |
| ほかの部位 | 眉のあいだ、小鼻のわき、前胸部 | 肘、膝、爪 | 足の白癬を伴うことがある | 肘の内側、膝の裏 |
| 確かめ方 | 出ている場所と経過 | 肘と膝と爪もあわせて診る | 顕微鏡で真菌を確認する | かゆみと分布 |
この表は目安として役に立ちますが、実際の診察では、はじめのうちは区別が難しいことがあります。脂漏性皮膚炎と考えて治療を始めた方が、経過を追ううちに乾癬だと分かることもあります。
これは、はじめの診断が間違っていたということではありません。皮膚の病気は、時間をかけて姿を現すものだからです。当院で診断名が変わることがあるのは、経過という新しい情報が加わったためです。
だからこそ、当院では次の2つを大切にしています。1つは、初診で頭皮だけを見て終わりにしないこと。肘と膝と爪、そして足も確認します。乾癬であれば、頭皮以外にも手がかりが残っていることが多いためです。もう1つは、治療の効き方を診断の材料に使うこと。塗ってどう変わったかは、次の判断のための情報になります。
頭皮の乾癬については乾癬のページに、乾癬側から見た見分け方をまとめています。
脂漏性皮膚炎の診断のために、必ず顕微鏡の検査をするわけではありません。鱗屑を少量とって顕微鏡で真菌を確認する検査は、頭部白癬が疑われる場合に行います。髪が途中で折れて黒い点のように見える、円く抜けている、という所見があるときです。
頭部白癬は成人ではまれですが、見落とすと抗真菌薬の内服が必要な状態を放置することになります。白癬についてはみずむしのページもご覧ください。
なお、アレルギーの検査は、脂漏性皮膚炎の原因を調べるものではないため通常は行いません。
脂漏性皮膚炎の治療は、マラセチアを減らす抗真菌薬と、炎症を抑えるステロイドの2本立てです。どちらも保険診療で行います。炎症が強いあいだはステロイドを併せ、落ち着いたら抗真菌薬を中心にしていきます。
ケトコナゾールは、脂漏性皮膚炎に対して保険適用のある抗真菌薬です。添付文書では、白癬や皮膚カンジダ症や癜風には1日1回とされている一方、脂漏性皮膚炎に対してだけ1日2回と定められています。この違いを知らずに1日1回で使っていると、効きが足りないことがあります。
| 薬の種類 | 一般名 | 商品名 | 剤形 | 主に使う部位 | 使い方 |
|---|---|---|---|---|---|
| 抗真菌薬 | ケトコナゾール | ニゾラール®ほか | クリーム | 顔、体 | 1日2回 |
| 抗真菌薬 | ケトコナゾール | ニゾラール®ほか | ローション | 頭皮 | 1日2回 |
| 抗真菌薬 | ケトコナゾール | — | ポンプスプレー | 頭皮 | 1日2回 |
| ステロイド | 下の表をご覧ください | — | 軟膏、クリーム、ローション | 炎症の強い部位 | 1日1回から数回 |
当院では、クリームとローションを処方しています。ポンプスプレー剤も保険で処方できる剤形です。頭皮に使う場合は、髪があってもなじませやすいローションかポンプスプレーを選びます。
ステロイドの塗り薬には強さのランクがあり、部位と炎症の強さで使い分けます。頭皮は皮膚が厚く、髪に覆われていて薬が届きにくいため、症状に応じてミディアムからストロンゲストまでを使います。一方、顔と首は皮膚が薄く吸収されやすいため、頭皮より弱いランクを選びます。
| ランク | 代表的な一般名 | 主に使う部位 |
|---|---|---|
| ストロンゲスト | クロベタゾールプロピオン酸エステルなど | 頭皮。炎症が強いとき |
| ベリーストロング | ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステルなど | 頭皮 |
| ストロング | ベタメタゾン吉草酸エステルなど | 頭皮、体 |
| ミディアム | ヒドロコルチゾン酪酸エステルなど | 顔、首 |
ステロイドを使う期間は、症状によって変わります。炎症が落ち着いたら抗真菌薬に切り替えていくのが基本ですが、ステロイドを中心に続けたほうが安定する方もいます。どちらにするかは、症状を見ながら決めます。くわしくは、急性期と維持期の使い分けの項に書きました。
頭皮のかゆみが強く、眠れない、かき壊してしまうという場合は、抗ヒスタミン薬の飲み薬を併せて処方します。かき壊しは、それ自体が新しい炎症をつくり、治りを遅らせます。
ビタミンB2とビタミンB6の内服薬には、ビタミンの欠乏や代謝の障害が関わっていると考えられる場合の効能として、脂漏性湿疹が含まれています。ただし当院では、基本的にビタミン剤を処方していません。ご本人がご希望される場合にお出ししていますが、サプリメントのように補うことよりも、食事から幅広く摂っていただくことのほうが大切だとお伝えしています。くわしくは、ご自身でできることの項に書きました。
脂漏性皮膚炎は、良くなったり悪くなったりを繰り返す慢性の病気です。塗るのをすべてやめると戻ることが多いため、治すというより抑え続けるという考え方をします。
赤みが強い、かゆみで眠れない、かき壊しているという時期は、抗真菌薬だけでは追いつきません。この時期はステロイドを併せて使い、炎症を短期間で抑えます。弱い薬を長く塗り続けるより、適切な強さで短く抑えるほうが、結果として使う量は少なくて済みます。
赤みが引いてかゆみが治まったら、ステロイドを減らし、ケトコナゾールの塗り薬を1日1回から2回、症状に応じて続けます。これが維持の使い方です。
この段階でよくあるのが、良くなったからと全部やめてしまうことです。マラセチアも皮脂も、治療でなくなるものではありません。やめれば数週間から数か月でまた増え、同じところに同じ症状が出ます。
空気が乾いて気温が下がる時期は悪化しやすく、夏は落ち着く方が多くみられます。1年を通して同じ回数で塗り続けるのではなく、悪くなる季節の手前で回数を戻すという使い方ができます。
毎年11月ごろから悪くなるという方であれば、10月のうちから維持の塗り薬を1日1回に戻しておく、という具合です。悪くなってから受診し直すより、使う薬の総量は少なくなります。
週に何回まで減らせるか、季節によって変えられるかは、皮脂の量や生活によって変わります。まったく塗らない期間をつくれる方もいれば、少量を続けたほうが安定する方もいます。また、抗真菌薬よりもステロイドを中心に続けたほうが落ち着く方もいます。どれが良い悪いではなく、その方に合うところを探していきます。
やめどきは、ご自身で判断せず、診察で一緒に決めましょう。悪くなってから受診し直すより、減らし方を相談しながら進めるほうが、使う薬の総量は少なくなります。
薬用シャンプーは、症状が軽い方には役に立ちます。ただし医薬部外品であり、脂漏性皮膚炎そのものの治療薬ではありません。赤みや皮むけが続く場合は、処方の塗り薬が必要になります。
| 区分 | 代表例 | 主な有効成分 | できること | 医師の処方 |
|---|---|---|---|---|
| 医薬部外品の薬用シャンプー | コラージュフルフルなど | ミコナゾール硝酸塩、ピロクトンオラミン | フケとかゆみを防ぐ | 不要 |
| 市販の塗り薬 | ドラッグストアのかゆみ止めなど | 弱いステロイド、かゆみ止め成分 | かゆみと炎症を一時的に抑える | 不要 |
| 処方の塗り薬 | ニゾラール®ほか、ステロイド外用薬 | ケトコナゾール、ステロイド | 脂漏性皮膚炎そのものの治療 | 必要 |
当院でも、ミコナゾール硝酸塩を含むコラージュフルフルなどの薬用シャンプーをご案内しています。ただしこれらは医薬部外品で、承認されている効能はフケとかゆみを防ぐことです。治療という言葉は使えません。
使い方としては、炎症が落ち着いたあとの維持に向いています。赤みが強い時期にシャンプーだけで乗り切ろうとすると、かえって長引きます。
薬用シャンプーは、髪を洗う道具ではなく頭皮に成分を届けるためのものです。先によく泡立ててから頭皮にのせ、指の腹でなじませ、すぐには流さずに少し置いてから、時間をかけてすすいでください。
合わないと感じたときは、無理に続けないでください。洗浄力が強すぎて乾燥し、かえってフケが増えることがあります。どの製品が向くかは頭皮の状態によって変わりますので、診察でご相談ください。
ドラッグストアで買えるステロイドを、顔の赤みに自己判断で塗り続けると、酒さによく似た赤みが出る酒さ様皮膚炎という別の状態を招くことがあります。脂漏性皮膚炎の顔の赤みは、この経過をたどりやすい典型的な場面です。
すでに長く使ってしまっているという方は、急に自分でやめないでください。やめ方を含めてご相談ください。くわしくは酒さのページに書いています。
市販薬を試すこと自体は否定しません。ただし2週間使って変わらない場合、その先も同じものを続けて良くなることはあまりありません。試している期間が、そのまま診断の遅れになることもあります。
脂漏性皮膚炎でいちばん多い悪化のきっかけは、洗いすぎと熱いお湯です。良かれと思ってしていることが、症状を長引かせていることが少なくありません。優先度の高い順に挙げます。
フケやかゆみが気になると、1日に何度も洗いたくなります。ですが洗いすぎは皮膚のバリアを壊し、かえって皮脂の分泌を増やします。当院では1日1回をおすすめしています。
熱いお湯は、必要な皮脂まで奪って刺激になります。洗髪も洗顔も、湯温は32℃から34℃を目安にしてください。かゆみが強いときほど熱い湯が気持ちよく感じますが、そのあと必ず悪くなります。顔の洗い方についてはニキビのページにもまとめています。
シャンプーはよく泡立ててから頭皮にのせ、指の腹で泡を置くように動かします。爪を立ててこすると、その傷がまた炎症の元になります。ブラシで強くとかすのも同じです。
生え際と耳の後ろは、すすぎ残しが最も多い場所です。そしてどちらも脂漏性皮膚炎が出やすい場所と重なります。洗う時間より、すすぐ時間を長くとってください。
整髪料は毛の中ほどから毛先に使い、頭皮につけないでください。使った日は、その日のうちに洗い流してください。
空気が乾いて気温が下がると悪化しやすくなります。毎年同じ時期に悪くなる方は、悪くなってから受診するのではなく、その手前から維持の塗り薬を続けるほうが、使う薬は少なくて済みます。
濡れたまま長く置くと頭皮が蒸れ、マラセチアの増えやすい環境になります。タオルで押さえて水気を取り、ドライヤーで根元から乾かしてください。ただし熱風を長く当てると乾燥して、かえってかゆみが出ます。温風を動かしながら当ててください。
脂漏性皮膚炎で食べてはいけない食品はありません。ビタミンB群と皮膚の状態との関わりが指摘されることはありますが、当院では、サプリメントで補うことよりも、食事から幅広く摂っていただくことのほうが大切だとお伝えしています。飲酒や脂っこい食事で悪化すると感じる方は、ご自身の傾向として診察でお聞かせください。
治療を続けても治らないと感じるとき、当院はまず診断そのものを見直します。薬を強くする前に、そもそも脂漏性皮膚炎で合っているのかを確かめるほうが、遠回りに見えて近道です。
最も多いのが、経過を追ううちに乾癬だと分かる場合です。医師の視点の項に書いたとおり、はじめのうちは区別が難しいことがあります。ほかに、頭部白癬、接触皮膚炎、そして顔にステロイドを長く使ったことによる酒さ様皮膚炎が隠れていることもあります。
ケトコナゾールは、脂漏性皮膚炎に対しては1日2回と定められています。1日1回で使っていて効きが足りないというのは、実際によくあることです。また、髪の生えている部分にクリームを使っていて塗りきれていない、量が足りていないということもあります。
フケやかゆみが気になるほど洗う回数が増え、それが悪化を招き、また洗うという循環に入っている方がいます。治療を変える前に、洗い方を見直すだけで落ち着くことがあります。
まれではありますが、神経の病気や免疫の状態が背景にあると、脂漏性皮膚炎が出やすく、治りにくくなることが知られています。急に強くなった、これまでの治療がまったく効かないという場合には、皮膚だけでなく全身の状態も含めて考えます。脂漏性皮膚炎があるからその病気だ、という意味ではありませんので、ご心配なさらないでください。
次のいずれかに当てはまる場合は、一度ご相談ください。
脂漏性皮膚炎の治療は保険診療です。一般皮膚科の枠でご予約ください。顔の赤みに対する自費のレーザー治療をご希望の場合も、まずは一般皮膚科でお取りください。診察のうえで、保険と自費のどちらになるかをお伝えします。
そのうえで、頭皮だけでなく肘と膝と爪、そして足も確認します。乾癬や白癬が隠れていないかを見るためです。初診で頭皮だけを見て終わりにしないのは、このためです。
とくにこれまでに使った薬は、診断の手がかりになります。効かなかった薬の情報も、同じくらい役に立ちます。
塗り薬でよくなりますが、やめると戻ることが多い病気です。脂漏性皮膚炎は、体質と皮脂の量と、皮膚にいるマラセチアという常在菌のつり合いで起こります。このつり合いそのものを治療で変えることはできないため、治すというより抑え続けるという考え方をします。炎症が強いあいだだけしっかり塗り、落ち着いたら抗真菌薬だけを続けることで、多くの方が気にならない状態を保てます。
うつりません。原因に関わるマラセチアは、誰の皮膚にもいる常在菌です。外から感染するものではなく、もともといる菌に皮膚が反応して炎症が起きている状態です。タオルや枕を分ける必要はありませんので、ご家族にもそのままお伝えいただいて大丈夫です。
脂っぽく黄色みのあるフケで、頭皮に赤みとかゆみを伴うなら、脂漏性皮膚炎の可能性があります。ただしフケが増える病気はほかにもあります。厚く乾いた銀白色の鱗屑が生え際を越えて広がる場合は頭皮の乾癬を、髪が途中で折れて黒い点のように見える場合は頭部白癬を考えます。見分けは診察でしか確認できませんので、続くようであれば一度ご相談ください。
どちらも、脂漏性皮膚炎の診断のために必ず行う検査ではありません。顕微鏡で真菌を確認する検査は、頭部白癬が疑われる場合に行います。アレルギーの検査は、脂漏性皮膚炎の原因を調べるものではないため、通常は行いません。診断は、症状の出ている場所と見た目、これまでの経過を合わせて行います。
症状が軽ければ市販薬で落ち着くこともありますが、赤みが続く場合は処方薬が必要です。治療の中心になるケトコナゾールという抗真菌薬は、医師の処方が必要です。また、市販のステロイドを顔に長く塗り続けると、酒さ様皮膚炎という別の状態を招くことがあります。2週間使って変わらないときは受診してください。
症状が軽い方では、薬用シャンプーだけで落ち着くことがあります。当院でも、ミコナゾール硝酸塩を含むコラージュフルフルなどの薬用シャンプーをご案内しています。ただしこれらは医薬部外品で、承認されている効能はフケとかゆみを防ぐことです。脂漏性皮膚炎そのものの治療薬ではありませんので、赤みや皮むけが続く場合は塗り薬を併せて使います。
炎症が落ち着いたらステロイドを減らし、抗真菌薬を続けるのが基本です。ケトコナゾールの塗り薬を1日1回から2回、症状に応じて続けることで再発を抑えられます。ただし、ステロイドを中心に続けたほうが安定する方もいます。良くなったからと全部やめると多くの場合また出てきますので、やめどきは診察で一緒に決めましょう。
医師の指示のもとで期間を決めて使うのであれば問題ありません。顔は皮膚が薄く薬が吸収されやすいため、頭皮より弱いランクを選びます。一方、自己判断で市販のステロイドを顔に塗り続けると、酒さによく似た赤みが出る酒さ様皮膚炎を招くことがあります。心当たりのある方は、急に自分でやめず、やめ方を含めてご相談ください。
食べてはいけない食品はありません。ビタミンB群と皮膚の状態との関わりが指摘されることはありますが、特定の食品を避ける必要はありません。当院では、サプリメントで補うことよりも、食事から幅広く摂っていただくことを大切にしていただくようお伝えしています。飲酒や脂っこい食事で悪化すると感じる方は、ご自身の傾向として診察でお聞かせください。
1日1回の洗髪をおすすめしています。脂漏性皮膚炎で最も多い悪化のきっかけは、洗いすぎと熱いお湯です。かゆいからと1日に何度も洗ったり、爪を立ててこすったりすると、かえって悪くなります。湯温は32℃から34℃を目安に、指の腹で泡を頭皮に置くように動かして洗ってください。
炎症が落ち着いていれば、いずれも可能です。ただし赤みやかゆみが強い時期は、しみたり悪化したりすることがありますので、落ち着くまでお待ちください。整髪料は頭皮につけず、毛の中ほどから毛先に使ってください。使った日は、その日のうちに洗い流してください。
乳児脂漏性皮膚炎で、成人のものとは経過が違います。生後2週ごろから現れ、生後4か月から6か月ごろまでに自然に軽くなることがほとんどです。治療は、やさしく洗って保湿することが中心で、炎症が強い場合に弱いステロイドを短期間だけ使います。油分でふやかしてから洗う方法もありますが、当院では必ずしも必要とはお伝えしていません。かさぶたが厚く広がってきた場合や、体にも湿疹が広がる場合はご相談ください。
診断そのものを見直すところから始めます。はじめのうちは脂漏性皮膚炎と乾癬の区別が難しく、経過を追ううちに乾癬と分かることがあります。頭部白癬や接触皮膚炎、顔にステロイドを長く使ったことによる酒さ様皮膚炎のこともあります。また、まれに神経の病気や免疫の状態が背景にあることが知られています。治りにくいと感じるときは、治療を変える前に診断を見直します。
脂漏性皮膚炎は、皮脂の多い頭皮や顔に出る慢性の皮膚炎で、皮膚にいるマラセチアという常在菌が関わっています。人にうつることはなく、不潔にしているから起こるものでもありません。
治療は、ケトコナゾールという抗真菌薬と、炎症を抑えるステロイドの使い分けです。ケトコナゾールは、脂漏性皮膚炎に対してだけ1日2回と定められています。炎症が落ち着いたらステロイドを減らし、抗真菌薬を1日1回から2回続けて維持します。
そして、はじめのうちは乾癬との区別が難しいことがあります。治らないと感じるときは、薬を強くする前に診断を見直すところから始めます。
このページの内容は、ふじもと皮フ科クリニック院長で日本皮膚科学会認定専門医・医学博士の藤本栄大が監修しています。院長プロフィール・研究業績はこちら
TOP
