Q1. 日光角化症は治りますか?
治ります。当院では液体窒素による凍結療法、塗り薬、切除を行っています。中心になるのは液体窒素による凍結療法で、目で見て分からなくなるまで続けます。悪性化がまだ見られないと考えられ、範囲が小さいものについては切除することもあります。いずれも保険診療です。ただし治療した場所の周りにも同じだけ紫外線が当たっているため、少し離れた場所に新しく出てくることがあります。治療のあとも年に1回ほど確認しています。
日光角化症
日光角化症は、長年浴びてきた紫外線によって、皮膚の表面の細胞に起きた変化です。前がん病変と位置づけられていますが、急に悪くなるものではありません。顔や手の甲に、赤みを帯びた、ざらつく部分として現れます。当院では液体窒素による治療、塗り薬、切除を保険診療で行っています。
光線角化症、老人性角化症とも呼ばれます。名前のよく似た別の病気があり、混同されやすいため、次の項で整理します。
日光を浴びてきた場所と一致します。
60歳以上の方に多く見られます。若いころに浴びた紫外線が、何十年か経ってから形になって出てくるためです。
塗り薬を使うといったん薄くなり、やめるとまた同じ場所に出てくる。この経過をたどることが多いため、治りにくい湿疹だと思って過ごしている方がいらっしゃいます。同じ場所のかさぶたやざらつきが1か月以上続いているときは、一度診察を受けてください。
見つかっても、その日のうちに何かが起きるものではありません。ご都合のよいときにお越しいただければ十分です。
老人性角化症は、日光角化症の別名です。皮膚科で老人性角化症といえば、この日光角化症を指します。
名前のよく似た脂漏性角化症、いわゆる老人性イボとは別のものです。こちらは良性で、日光角化症は前がん病変です。診察でもよく混同されるところなので、違いをまとめます。
| 日光角化症 | 脂漏性角化症 | |
|---|---|---|
| 別の呼び名 | 光線角化症、老人性角化症 | 老人性イボ |
| 性質 | 前がん病変 | 良性 |
| 色 | 赤みを帯びる | 肌色から黒褐色 |
| 表面 | ざらつき、白っぽい鱗屑やかさぶた | 皮膚に貼り付けたように見える |
| 出る場所 | 顔、頭、手の甲、前腕、耳など日光の当たる場所 | 日光の当たる場所のほか、体幹にも出る |
| 経過 | 治りにくく、同じ場所に残る | ゆっくり大きくなり、数が増える |
| 治療 | したほうがよい | ご希望に応じて |
日光角化症は平らなことが多いのですが、厚みを持って少し盛り上がることもあります。そのため、盛り上がりの有無だけで脂漏性角化症と分けることはできません。色と表面の様子、出ている場所、これまでの経過をあわせて判断します。見分けは診察でしか確認できません。
日本人を対象とした調査で、日光の当たる場所に脂漏性角化症が6個より多くある方は、日光角化症も見つかりやすいと報告されています。別の病気ですが、どちらも長年の紫外線を映しているためです。
当院では、盛り上がったシミがたくさんある方には、あわせて赤みを帯びてざらつく部分がないかを確認しています。
脂漏性角化症については脂漏性角化症のページで詳しく説明しています。どちらも保険診療で対応できます。
日光角化症は、何十年分もの紫外線が積み重なってできます。一度に強く日焼けしたからではなく、生涯の合計の量で決まります。
日本人を対象とした調査で、次の条件にあてはまる方に多いと報告されています。
1990年代に行われた住民健診の調査では、北緯25度の沖縄県伊江島にお住まいの方は、北緯35度の兵庫県加西市にお住まいの方より、年齢の差を調整したうえで約2.4倍から2.8倍多いという結果でした。浴びてきた紫外線の量が、そのまま数に表れています。
どのくらいの方にあるのかについては、兵庫県加西市で住民健診を受けた4,736人のうち36人、10万人あたりに直すと413.4人という報告があります。1990年代のひとつの地域での調査で、日本全体の数字ではありません。出典はページの最後に記しています。
手入れを怠ったからでも、生活習慣が悪かったからでもありません。何十年か前に浴びた紫外線が、いま形になって出てきたものです。
シミのご相談で来られた方の中に、日光角化症が混ざっていることがあります。当院ではその場で診断がつき、そのまま保険診療に切り替えられます。
当院にはシミのご相談が数多く寄せられます。そのなかに、平らでも茶色でもない、赤みを帯びてざらつくものが混ざります。ご本人はシミだと思っていらっしゃることがほとんどです。
シミの治療そのものは自費診療です。ただし、診察で日光角化症と診断がついた場合、そこから先の治療は保険診療になります。美容のご相談でお越しになった方が、保険診療につながる場面です。
シミ全体の見取り図はシミ取り治療のページにまとめています。
日光角化症は、赤みを帯びてざらつくという点で、平らな茶色いシミとも、盛り上がるイボとも違います。
| 色 | 手ざわり | 変化のしかた | 診療区分 | |
|---|---|---|---|---|
| 日光角化症 | 赤みを帯びる | ざらつく、かさぶたがつく。わずかに盛り上がることもある | 治りにくい | 保険 |
| 脂漏性角化症 | 肌色から黒褐色 | 盛り上がる、表面がザラザラ | 数が増える | 診断により保険 |
| 老人性色素斑 | 薄い茶色 | 平ら | 色が濃くなる | 自費 |
| 湿疹 | 赤い | かさつく | 塗り薬で数日から2週間で治る | 保険 |
| 悪性黒色腫 | 色にむらがある | ものにより異なります | 形と大きさが変わる | 保険 |
表にしていますが、ひとつの特徴だけで決められるものではありません。色、表面の様子、場所、これまでの経過をあわせて判断します。
いちばん間違われやすいのが湿疹です。湿疹は塗り薬で数日から2週間ほどで治りますが、日光角化症は薄くなってもまた同じ場所に出てきます。塗り薬で2週間たっても同じ場所に残るものは、湿疹ではないことがあります。
ボーエン病は、皮膚の表面の層にとどまっているものです。日光角化症とは、見た目の所見だけでは区別がつかないことがあります。その場合は病理検査が必要になりますので、必要と考えられるときは高度医療機関へご紹介しています。
硬くなってきた、盛り上がってきた、出血するようになった。このような変化があるときは、早めに診察を受けてください。
平らな褐色のシミについては老人性色素斑のページ、ほくろについてはほくろのページで扱っています。
日光角化症が短い期間で皮膚がんに変わることは、まれです。あわてる必要はありません。ただ、いつ変わるかを予測する方法がないため、見つかったときに治しておくのがいちばん確実です。
これまでの研究をまとめた報告では、1つの日光角化症が1年のうちに有棘細胞癌に変わる割合は、およそ0.075%とされています。1つの病変を1年見ていて、千個に1つ変わるかどうか、という水準です。
ただし、数が多い方ほど、また年月が長くなるほど、そのうちのどれかが変わる可能性は少しずつ積み上がっていきます。数がまとまってある場合に治療をおすすめしているのは、このためです。
自然に消えることがあるとされています。ただし、どのくらいの頻度で消えるのかは分かっていません。消えるのを待つより、治しておくほうが確実です。
日光角化症が1つ見つかったとき、その周りの皮膚も、同じだけの紫外線を浴びてきています。治療のあとに、少し離れた場所へ新しく出てくることがあるのはこのためです。治したあとも、年に1回ほど見せていただいています。
治すのは、いまあるものを取るためだけではありません。同じ範囲を、これから一緒に見ていくためです。
当院では、液体窒素による凍結療法、塗り薬、切除を行っています。いずれも保険診療です。
中心になるのは液体窒素による凍結療法です。悪性化がまだ見られないと考えられ、範囲が小さいものについては、切除することもあります。
マイナス196度の液体窒素を当てて病変を凍らせ、皮膚の入れ替わりとともに脱落させる方法です。
塗り薬による治療もあり、当院では処方しています。ただし保険で使える場所が決まっているため、次の項で説明します。
診察して悪性化がまだ見られないと考えられ、範囲が小さいものについては、当院で切除することがあります。局所麻酔をして、その日のうちに終わります。保険診療です。
液体窒素と切除のどちらを選ぶかは、できた場所、大きさ、表面の厚み、そしてご希望をうかがったうえで決めています。数がまとまってある場合は液体窒素、1つだけで輪郭がはっきりしている場合は切除、という形になることが多いです。
診察で明らかに悪性が疑われる場合は、当院では治療せず、高度医療機関へご紹介します。また、見た目の所見だけでは区別がつかず、病理検査が必要と考えられる場合もご紹介します。紹介先は受診の目安の項に記しています。
日光角化症の塗り薬は、顔と、頭のうち髪のない部分に限って保険で使えます。手の甲や前腕には使えません。
使われるのはイミキモド(ベセルナクリーム®)という塗り薬です。承認されている範囲が顔面と頭のうち髪のない部分に限られているため、手の甲、前腕、首、耳のふちは対象外です。
液体窒素による凍結療法、または切除で治療します。日光角化症は手の甲にもよくできるため、この区別はよくご質問をいただきます。塗り薬で治せると聞いてお越しになった方に、そのまま当てはまらないことがあります。
同じ日光角化症でも、できた場所によって選べる方法が変わります。診察のときに、どちらになるかをお伝えします。
液体窒素のあとは、数日で水ぶくれかかさぶたになり、1週間から2週間で取れます。
塗り始めてしばらくすると、塗った場所に赤みが出ます。赤くなること自体は効いている過程です。ただし強く出るときや、日常生活に差し支えるときはご相談ください。
かさぶたが取れたあとの皮膚は、色が残りやすい状態です。日焼け止めを毎日お使いください。塗り方は次の項にまとめています。
日焼け止めを毎日使うと、新しい日光角化症が減ることが臨床試験で示されています。
40歳以上の588人を対象とした試験では、日焼け止めを毎日使った群は、新しい病変の発生が約4割少ないという結果でした。すでにあった病変も、消えやすいという結果が出ています。出典はページの最後に記しています。
SPF30・PA+++以上のものを、顔、耳、首、手の甲に塗ります。塗り直しは2時間から3時間おきです。曇りの日も、冬も塗ってください。
つばの広い帽子を選びます。髪が薄くなった頭頂部は日焼け止めが塗りにくいぶん、帽子がよく効きます。
1日のうち紫外線がもっとも強いのは10時から14時ごろです。屋外での作業は、可能であればこの時間を外してください。
洗顔は泡で行い、タオルは押さえて水気を取ります。洗顔の湯温は32度から34度、入浴は38度から40度が目安です。
表面が取れても、もとになっている部分は残ります。試している期間が、そのまま診断の遅れになります。
治療した場所の周りにも、同じだけ紫外線が当たっています。新しく出てきていないかを確認します。
同じ場所のかさぶたやざらつきが1か月以上続いているときは、一度診察を受けてください。
いずれも、その日のうちに何かが起きるものではありません。ご都合のよいときにお越しください。
日光角化症の診断と治療は保険診療で行います。シミのご相談でお越しになり、診察で診断がついた場合も同じです。
診察で明らかに悪性が疑われる場合や、見た目の所見だけでは区別がつかず病理検査が必要と考えられる場合は、連携している高度医療機関へご紹介します。主に千葉北総病院、船橋市立医療センター、順天堂浦安病院です。
日光角化症の診察と治療は保険診療ですので、一般皮膚科の枠でご予約ください。シミのご相談としてお越しになった場合も、診察で日光角化症と診断がついた時点から保険診療に切り替わります。
治ります。当院では液体窒素による凍結療法、塗り薬、切除を行っています。中心になるのは液体窒素による凍結療法で、目で見て分からなくなるまで続けます。悪性化がまだ見られないと考えられ、範囲が小さいものについては切除することもあります。いずれも保険診療です。ただし治療した場所の周りにも同じだけ紫外線が当たっているため、少し離れた場所に新しく出てくることがあります。治療のあとも年に1回ほど確認しています。
決まった年数はありません。これまでの研究をまとめた報告では、1つの日光角化症が1年のうちに有棘細胞癌に変わる割合は、およそ0.075%とされています。1つの病変を1年見ていて、千個に1つ変わるかどうかという水準です。ただし数が多い方ほど、また年月が長くなるほど、そのうちのどれかが変わる可能性は積み上がっていきます。
がんではありません。日本皮膚科学会の診療ガイドラインでは、前がん病変として捉えられることが多いと記されています。急に悪くなるものではありませんので、あわてる必要はありません。ただし、いつ変わるかを予測する方法がないため、見つかったときに治しておくのが確実です。
屋外で長く過ごしてきた方、日焼けで赤くなりやすく黒くなりにくい肌質の方、子どものころに水ぶくれができるほど強く日焼けした経験のある方に多く見られます。日光の当たる場所に脂漏性角化症が6個より多くある方にも多いと報告されています。60歳以上の方に多く、髪が薄くなった頭頂部にもよくできます。手入れを怠ったからでも、生活習慣が悪かったからでもありません。
自然に消えることがあるとされています。ただし、どのくらいの頻度で消えるのかは分かっていません。消えるのを待つより、治しておくほうが確実です。また、消えたかどうかで良性か悪性かを判断することはできません。
同じものです。老人性角化症は日光角化症の別名です。名前のよく似た脂漏性角化症は老人性イボとも呼ばれる良性のできもので、こちらとは別のものです。
赤みを帯びて、触るとざらつくことが手がかりです。白っぽい鱗屑やかさぶたがつき、塗り薬でいったん薄くなってもまた同じ場所に出てきます。日光角化症も厚みを持って少し盛り上がることがあるため、盛り上がりの有無だけでは脂漏性角化症と分けられません。見分けは診察でしか確認できません。
使えます。日光角化症の診断と治療は保険診療で行います。シミのご相談でお越しになり、診察で日光角化症と診断がついた場合も、そこから先は保険診療になります。
液体窒素を当てているあいだ、しみるような感じがあります。数十秒で終わり、そのあとはヒリヒリした感じがしばらく残ります。当院では強く当てすぎないようにしていますが、それでも水ぶくれになることがあります。水ぶくれはつぶさずにそのままにしておいてください。自然にしぼんでかさぶたになります。
使えません。日光角化症の塗り薬が保険で使えるのは、顔と、頭のうち髪のない部分に限られています。手の甲や前腕にできたものは、液体窒素による凍結療法で治療します。
出てくることがあります。治療した場所の周りの皮膚も、同じだけの紫外線を浴びてきているためです。少し離れた場所に新しく出てくることがあるので、治療のあとも年に1回ほど見せていただいています。日焼け止めを毎日使うことで、新しくできるものを減らせます。
日光角化症は、長年浴びてきた紫外線によって皮膚の表面に起きた変化で、前がん病変と位置づけられています。赤みを帯びてざらつくのが特徴で、平らな茶色いシミとも、盛り上がるイボとも違います。
老人性角化症は、この日光角化症の別名です。名前のよく似た脂漏性角化症、いわゆる老人性イボは良性のできもので、別のものです。盛り上がりの有無だけでは分けられないため、見分けは診察で確認します。
当院では液体窒素による凍結療法を中心に、塗り薬と切除もあわせて行っています。いずれも保険診療です。悪性化がまだ見られないと考えられ、範囲が小さいものについては切除することもあります。塗り薬が保険で使えるのは、顔と、頭のうち髪のない部分に限られています。
短い期間で悪くなるものではありませんので、あわてる必要はありません。ご都合のよいときに、一度ご相談ください。
このページの内容は、ふじもと皮フ科クリニック院長で日本皮膚科学会認定専門医・医学博士の藤本栄大が監修しています。院長プロフィール・研究業績はこちら
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