Q1. 扁平母斑は自然に消えますか?
自然に消えることはありません。生まれつきの青あざである蒙古斑は成長とともに薄くなりますが、扁平母斑は表皮に色素が増えた状態が続くため、放っておいて薄くなることは期待できません。ただし体の成長にともなって面積は相対的に小さく見えるようになり、日焼けを避けていれば周りの肌との差が縮まって目立ちにくくなることはあります。
扁平母斑
扁平母斑は、皮膚の浅い層である表皮でメラニン色素が増えることでできる、平らな茶色のあざです。触れても盛り上がりがなく、日本人のおよそ10人に1人に見られるという報告があります。自然に消えることはありません。
扁平という名前は、その平らな形から来ています。色はカフェオレのような淡い茶色から、やや濃い褐色まで幅があります。大きさは数ミリのものから、手のひらを超えるものまでさまざまです。
海外の医学文献ではカフェオレ斑と呼ばれており、日本語の扁平母斑とほぼ同じものを指しています。色や形や大きさで、この2つを区別することはできません。意味が変わるのは個数が多いときだけで、この点は行4で説明します。
境目ははっきりしていることが多く、輪郭が地図のように入り組んだものと、円や楕円に近いものがあります。この形の違いは、レーザーの効きやすさと関係することが報告されています。
あざの中に、ごく小さな濃い点が混ざって見えることがあります。点があってもなくても、扁平母斑としての扱いは変わりません。
良性のあざで、健康を損なうものではありません。それでも治療を希望される方が多いのは、顔や腕など人目に触れる場所にあると、本人にとって気になり続けるためです。当院では、治すべきかどうかではなく、ご本人が気にしているかどうかを出発点にしています。
扁平母斑は、現れる時期で2つに分かれます。生まれつきから学童期までに現れるものと、思春期以降に現れるものです。
遅発型とベッカー母斑のあいだに、はっきりした線を引くことはできません。遅発性扁平母斑という日本語の呼び方には、広く合意された定義がまだ定められていないためです。当院では、思春期以降に出てきて毛が濃くなっているものを、ベッカー母斑として説明しています。
この区別が大切なのは、治療の考え方が変わるためです。毛が濃くなっているタイプでは、色素を目標にしたレーザーが毛の色にも反応します。色と毛のどちらを目標にするかで進め方が変わるので、初診で必ず確認します。
なお、生まれつきのあざのうち、青みや灰色みを帯びたものは扁平母斑ではありません。顔の片側の青あざは太田母斑、おしりや背中以外の青あざは異所性蒙古斑で、色素のある深さも治療の見通しも違います。
扁平母斑は、皮膚の浅い層である表皮で、メラニン色素が局所的に増えることでできます。妊娠中の過ごし方や、生活習慣が原因ではありません。
表皮の基底層という部分に、メラニン色素を多くつくる細胞がまとまって存在しています。色素が浅い場所にあるという点が、青あざである太田母斑との決定的な違いです。太田母斑や異所性蒙古斑は、真皮という深い層に色素があります。
この深さの違いは、そのまま治療の見通しにつながります。
扁平母斑がレーザーで再発しやすいのは、この構造によるものです。治療の腕や機器の性能の問題ではありません。
遺伝することは、ふつうはありません。ご家族に同じあざがあっても、それだけで心配は要りません。ただし、カフェオレ色の斑が6個以上ある場合だけは、別の考え方が必要になります。次の行で説明します。
妊娠中に何かをした、しなかったということが原因になることもありません。予防できるものではなく、防げなかったから起きたものでもありません。
カフェオレ色の斑が6個以上ある場合は、神経線維腫症1型という別の病気の可能性を考えて診察します。1個や2個であれば、まず心配は要りません。
健常な方でも、カフェオレ斑が1個から2個あることはめずらしくなく、およそ15%に見られます。3個以上になると約1%まで減り、6個以上はさらにまれです。個数そのものが意味を持つのは、このためです。
神経線維腫症1型はレックリングハウゼン病とも呼ばれ、日本皮膚科学会が診療ガイドラインを出しています。診断の項目のひとつが、6個以上のカフェ・オ・レ斑です。ガイドラインでは、小児では径0.5センチ以上あれば数に入れてよいとされています。
ただし、数だけで診断がつくものではありません。わきの下や股のそばかす様の色素斑、神経線維腫、目の虹彩の小さな結節、骨の変化、血のつながったご家族に同じ病気の方がいるかどうかなど、複数の項目を合わせて判断します。
診察室では、まず数えます。気にされているあざが1個だけなのか、服で隠れる場所を含めて6個以上あるのかで、その日の話がまったく変わるためです。
背中、おしり、太もも、わきの下を含めて数えてください。ご自身では見えない場所があるので、ご家族に見てもらうのが確実です。お子さんの場合は、お風呂上がりが数えやすい時間帯です。
6個以上ある場合、当院ではレーザーの話を先に進めません。まず全身の評価を優先し、必要に応じて小児科、眼科、遺伝の専門外来のある医療機関にご紹介します。あざを消すことより、背景を確かめることが先だからです。
逆に、1個だけで6個には遠く及ばない場合、この心配は不要です。ここをはっきりさせるだけで、受診の目的の半分は達成されます。
扁平母斑は、子どものころから同じ場所にあって、季節でも年齢でも色が変わらないことが見分けの決め手です。
| 出はじめる時期 | 大きさと数 | 盛り上がり | 色の変化 | |
|---|---|---|---|---|
| 扁平母斑 | 生まれつきから学童期。遅発型は思春期以降 | 数ミリから手のひら大。多くは1個 | なし | 変わらない |
| そばかす | 5歳から6歳ごろ | 1から2ミリが多発 | なし | 夏に濃く、冬に薄い |
| 老人性色素斑 | 40代以降 | 数ミリから1センチ。日光の当たる場所 | なし | ゆっくり濃くなる |
| ベッカー母斑 | 思春期前後 | 手のひら大。肩や胸に多い | なし。毛が濃くなる | 変わらない |
| 脂漏性角化症 | 40代以降 | 数ミリから2センチ | あり。触れて分かる | 厚みが増していく |
迷いやすいのは、大人になってから茶色い斑に気づいた場合です。子どものころの写真を見ていただくのが、最も確実です。写っていれば扁平母斑、写っていなければ老人性色素斑やベッカー母斑を考えます。母子手帳や健診の記録に記載が残っていることもあります。
盛り上がりの有無も大切です。触れて厚みがあるものは、扁平母斑ではありません。
短期間に大きくなった、色がまだらになった、出血したといった変化があるときは、レーザーより先に診断をつけることを優先します。皮膚を拡大して見るダーモスコピーで観察し、判断が難しい場合は組織を調べます。
顔のシミとの見分けや、自費での治療についてはシミ取り治療のページもあわせてご覧ください。
扁平母斑の治療は、Qスイッチ付ルビーレーザーによる照射です。保険診療の対象になります。
当院ではディスカバリーピコプラスの694nmのQスイッチで照射します。694nmという波長は、茶色の色素であるメラニンによく吸収されます。ごく短い時間に強い光を当て、色素を壊して体に吸収させる仕組みです。
照射の感覚は、輪ゴムで軽くはじかれる程度です。範囲が広い場合や、お子さんの場合は、事前に麻酔のクリームやテープを使います。
炎症後色素沈着は、治療の失敗ではありません。多くは数か月かけて薄くなります。ただしこの期間に日焼けをすると長引くため、日焼け止めが欠かせません。
照射のあとは、軟膏とテープで保護します。かさぶたが取れるまでは、こすらないでください。
大きさや部位によっては、レーザー以外に切除という方法もあります。傷あとが残るため、当院では範囲が小さく形が良い場合に限ってご提案しています。
扁平母斑のレーザー治療は、同じ部位について初回を含めて2回までが保険で算定できる上限です。太田母斑の5回とは、規定そのものが違います。
診療報酬の通知に、機種ごとの対象疾患と回数が定められています。
つまり、扁平母斑を保険で治療できるのはルビーの波長だけで、回数は2回までです。太田母斑と異所性蒙古斑には、一連の治療が終わったあとに再度行う場合に5回までという規定がありますが、扁平母斑はその対象に入っていません。同じあざの治療でも、疾患によって扱いがはっきり分かれています。
1回と数えるのは1ショットではなく、一連の治療です。通知では、おおむね3か月にわたって行われる一連の治療過程を1回と数えます。範囲が広くて数回に分けて照射する場合も、まとめて1回です。
費用は照射する面積で決まります。3割負担の場合の目安です。
| 照射面積 | 点数 | 3割負担の目安 |
|---|---|---|
| 4平方センチメートル未満 | 2,000点 | 約6,000円 |
| 4以上16平方センチメートル未満 | 2,370点 | 約7,110円 |
| 16以上64平方センチメートル未満 | 2,900点 | 約8,700円 |
| 64平方センチメートル以上 | 3,950点 | 約11,850円 |
3歳未満のお子さんには、乳幼児加算として2,200点が加わります。初診料や再診料、外用薬の費用は別にかかります。お子さんの場合は、次に述べる子ども医療費助成の対象になれば、窓口でのご負担はさらに軽くなります。
算定は体の部位ごとに分かれていて、頭頸部、右上肢、左上肢、右下肢、左下肢、胸腹部、背部という区分です。腕と背中の両方にある場合は、それぞれで数えます。
2回で色が十分に薄くならなかった場合は、自費で続けるかどうかをご相談します。ただし次の行のとおり、扁平母斑は回数を重ねれば必ず薄くなるというものではありません。当院では、続ける価値があるかどうかも含めて正直にお伝えします。
扁平母斑は、あざの中で最もレーザーが効きにくく、再発の多いものです。顔は効きやすく、手足は効きにくいことが報告されています。
国内で37例を検討した報告では、Qスイッチルビーレーザーによる治療の有効率は全体で54%でした。部位別では顔面が82%、頚部が20%、躯幹が25%、四肢が36%と、はっきり差がついています。
形も関係します。輪郭が地図のように入り組んだものや、目の周りとほおにあるものは効きやすく、円形で手足にあるものは効きにくいという報告があります。
一度薄くなっても、半年から数年のうちに戻ることがあります。色をつくる仕組みそのものが表皮に残っているためで、この構造から避けられません。
それでも治療をお勧めできる場合があります。顔にあって、輪郭が入り組んだ形をしていて、ご本人が色の濃さを気にしているときです。
逆に、手足の円形のもので、ご本人がさほど気にしていない場合は、経過を見るという選択も十分に妥当です。良性で、健康に影響しないあざだからです。治療を受けないという判断も、ここでは間違いではありません。
効くかどうかを事前に確実に予測する方法は、まだありません。だからこそ、保険で2回という上限がある以上、1回目の結果を3か月しっかり見てから2回目を判断します。当院が回数を急がないのは、このためです。
お子さんの扁平母斑の治療は、子ども医療費助成の対象年齢のうちに始めると、窓口でのご負担を抑えられます。船橋市、習志野市、八千代市は、いずれも18歳到達後最初の3月31日までが対象です。
ただし扁平母斑については、早く始めるほど良い、とは言い切れません。治療開始年齢と効果に関係がなかったとする国内の報告がある一方、低い月齢のほうが効いたとする報告もあり、見解が一致していないためです。この点をあいまいにしたまま急がせることはしません。
当院では、次のように考えています。
照射のあいだ動いてしまうと、安全に当てられません。乳児期は眠っているあいだに済むことが多く、2歳から3歳を過ぎると難しくなります。範囲が広い場合や、じっとしていられない年齢の場合は、全身麻酔ができる医療機関にご紹介することがあります。
受診の際は母子手帳と、これまでに撮った写真があればお持ちください。いつからあるかがはっきりすると、診断が早くつきます。
扁平母斑でご自身にできることの中心は、日焼け止めと記録の2つです。どちらも治療の結果を左右します。
治療を受けない期間にも、できることがあります。日焼けを避けると、あざの色と周りの肌の色の差が小さくなり、目立ちにくくなります。実際に、夏を過ぎると気にならなくなったとおっしゃる方がいます。
やってはいけないことも挙げておきます。市販のピーリング剤や、あざを削る目的の器具は使わないでください。炎症を起こすと、かえって色が濃くなります。
茶色いあざで受診をお勧めするのは、6個以上ある場合、短期間に変化した場合、そして治療を検討したい場合です。
扁平母斑の診察と治療は保険診療です。通常の保険診療でご予約ください。診断がついていない段階でも、保険診療で構いません。
初診の日に照射することは、ふつうはありません。2回しか使えない治療なので、納得いただいてから日を改めます。
自然に消えることはありません。生まれつきの青あざである蒙古斑は成長とともに薄くなりますが、扁平母斑は表皮に色素が増えた状態が続くため、放っておいて薄くなることは期待できません。ただし体の成長にともなって面積は相対的に小さく見えるようになり、日焼けを避けていれば周りの肌との差が縮まって目立ちにくくなることはあります。
ほぼ同じものを指しています。カフェオレ斑は海外の医学文献で使われる呼び方で、日本語の扁平母斑にあたります。色や形や大きさで両者を区別することはできません。呼び方の違いが意味を持つのは個数が多いときで、カフェオレ色の斑が6個以上ある場合は神経線維腫症1型という別の病気の可能性を考えて診察します。健常な方でも1個から2個はおよそ15%に見られ、3個以上は約1%です。
保険診療の対象で、同じ部位について初回を含めて2回までが算定できる上限です。診療報酬の通知で、扁平母斑などに対しては同一部位に初回治療を含め2回を限度とすると定められています。太田母斑や異所性蒙古斑には5回までという規定がありますが、扁平母斑はその対象に入っていません。またQスイッチ付アレキサンドライトレーザーは扁平母斑では算定できず、Qスイッチ付ヤグレーザーの対象にも扁平母斑は含まれていません。保険で使えるのはルビーの波長だけです。
扁平母斑は、あざの中で最も効きにくく再発の多いものです。国内の37例の報告では有効率が全体で54%、部位別では顔面82%に対して四肢は36%でした。カフェオレ斑のレーザー治療をまとめた2023年の解析では、694nmの波長による治療後の再発が60.8%と報告されています。効くかどうかを事前に確実に予測する方法はまだありません。当院では、効きにくい可能性を含めて診察でお伝えしたうえで、受けるかどうかをご相談しています。
扁平母斑については、早く始めるほど良いとは言い切れません。治療開始年齢と効果に関係がなかったとする国内の報告がある一方、低い月齢のほうが効いたとする報告もあり、見解が一致していないためです。一方で、照射中に動いてしまうと安全に当てられないという現実があり、乳児期は眠っているあいだに済むことが多く、2歳から3歳を過ぎると難しくなります。顔にあってご家族が気にしている場合は学校生活が始まる前を目安にし、体や手足で本人が気にしていない場合は本人が望む年齢まで待つことをお勧めしています。
ふつうは遺伝しません。ご家族に同じあざがあっても、それだけで心配は要りません。ただしカフェオレ色の斑が6個以上ある場合は例外で、神経線維腫症1型は血のつながったご家族に同じ病気の方がいるかどうかが診断の項目に含まれます。その場合はあざの治療より先に、全身の評価を優先します。
思春期以降に現れる遅発型の扁平母斑もありますが、大人になってから気づいた茶色い斑は、老人性色素斑やベッカー母斑であることも多くあります。子どものころの写真に写っていれば扁平母斑、写っていなければ別のものを考えます。肩や胸に出て毛が濃くなっている場合はベッカー母斑を疑います。ベッカー母斑は男性に多く、男女比はおよそ5対1とされています。診断によって治療の方法も保険の扱いも変わるため、自己判断の前に一度診察を受けてください。
治療はできますが、顔に比べて効きにくいことが分かっています。国内の37例の報告では、有効率が顔面82%に対し、躯幹25%、四肢36%、頚部20%でした。保険の算定は頭頸部、右上肢、左上肢、右下肢、左下肢、胸腹部、背部という部位ごとに分かれているため、腕と背中の両方にある場合はそれぞれで2回ずつ数えます。効きにくい部位で本人が気にしていない場合は、経過を見るという選択も妥当です。
扁平母斑は、皮膚の浅い層に色素が増えてできる平らな茶あざで、自然には消えません。Qスイッチ付ルビーレーザーによる保険診療の対象ですが、同じ場所に2回までという上限があります。
あざの中では最も効きにくく、再発の多いものです。顔にあって輪郭が入り組んだ形のものは効きやすく、手足の円形のものは効きにくいことが報告されています。効くかどうかを事前に確実に予測する方法はまだないため、当院では1回目の結果を3か月見てから2回目を判断します。受けないという選択も、ここでは間違いではありません。
カフェオレ色の斑が6個以上ある場合だけは、話が変わります。神経線維腫症1型の可能性を考え、あざの治療より先に全身の評価を優先します。受診の前に、背中やおしりを含めて数えてきてください。
ふじもと皮フ科クリニックでは、皮膚科専門医が診断と効きやすさの見立てを行い、保険で2回という上限をどう使うかまで、治療を始める前にご説明します。船橋・習志野・八千代エリアで茶あざにお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
このページの内容は、ふじもと皮フ科クリニック院長で日本皮膚科学会認定専門医・医学博士の藤本栄大が監修しています。院長プロフィール・研究業績はこちら
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