とびひ(伝染性膿痂疹)
とびひ(伝染性膿痂疹)
とびひは、傷ついた皮膚に細菌が入り込んで広がる感染症です。抗菌薬による治療を始めれば、およそ4日から5日で改善します。

とびひは、医学的には伝染性膿痂疹といいます。虫刺されやあせも、湿疹をかき壊してできた小さな傷に細菌がつき、そこで増えて広がっていきます。
はじめは赤みや水ぶくれとして出ます。水ぶくれが破れるとじゅくじゅくし、やがて黄色っぽいかさぶたになります。かゆみを伴うことがあり、かいた手で触れた場所へ次々に移っていきます。火事の飛び火のように広がることから、とびひと呼ばれています。
菌が皮膚についてから症状が出るまでは、2日から10日ほどです。もっと長くかかることもあります。夏に多い病気ですが、ほかの季節にも起こります。
お子さんに多い病気ですが、大人にも起こります。原因となる菌の種類によって出方が変わり、大人に多いタイプもあります。
とびひには、原因となる菌の違いで2つのタイプがあります。どちらのタイプかで、出やすい年齢と季節が変わります。
| タイプ | 主な原因菌 | 皮膚に出るもの | 多い年齢と季節 |
|---|---|---|---|
| 水疱性膿痂疹 | 黄色ブドウ球菌 | 水ぶくれが破れてじゅくじゅくします | 乳幼児から小学生・夏に多い |
| 痂皮性膿痂疹 | 溶血性レンサ球菌 | 厚いかさぶたがつき赤みが強く出ます | 大人にも多い・季節を選ばない |
大人のとびひは、ひげそりでできた小さな傷や、アトピー性皮膚炎のかき壊し、糖尿病などが背景にあると起こりやすくなります。当院でも大人の方を診ています。お子さんの病気だと思って市販薬で様子を見ているうちに広がってしまうことがありますので、じゅくじゅくが増えてきたらお越しください。
痂皮性膿痂疹では、リンパのはれや発熱を伴うことがあります。熱が出ているときは、その日のうちにご相談ください。
とびひは、皮膚にできた小さな傷から細菌が入って起こります。清潔にしていなかったから起こるものではありません。
お子さんに多いのは、皮膚が薄くやわらかいうえ、かゆいところをかくのを我慢できないためです。爪の中に菌が入り込み、かいた先へ広がっていきます。
とびひになったのは、ご家庭のお世話が足りなかったからではありません。虫に刺される、汗をかく、転ぶという、ふつうの生活のなかで起こります。
とびひは、傷から出る汁に触れることでうつります。空気を介してうつることはありません。
水ぶくれやじゅくじゅくした部分、かさぶたから出る汁には、原因となる菌が含まれています。ここを手でかき、その手で別の場所を触ると、そこに新しい病変ができます。かいてから数日から10日ほどたって離れた場所に出てくることがあり、治ったと思ったころに次が出ることも珍しくありません。
保育園や幼稚園では、集団で広がることがあります。ごきょうだいのあいだでうつることも多く、大人にもうつります。ご家族に湿疹や傷がある方がいるときは、とくに気をつけてください。
汁が出ているあいだはうつります。薬で治療を始め、患部が乾いて汁が出なくなれば、うつる心配はほとんどなくなります。まだ乾いていない時期でも、ガーゼなどで覆って汁が外にしみ出さないようにしておけば、人にうつす心配はぐんと減ります。
プールの水そのものを介してうつることはありません。それでも治るまで水遊びと水泳を控えていただくのは、肌が触れ合うことと、水に入って患部をかいてしまうことがあるためです。
かさぶたが乾いて汁が出ていなければ、うつる心配はほとんどありません。乾いているかどうかが見分けるところです。
薬をしみこませようとして、かさぶたをはがす方がいらっしゃいます。はがすと下から汁が出て、うつりやすい状態に戻ります。治りも遅くなります。薬はかさぶたの上から塗って構いません。自然に取れるまで待ってください。
いったん乾いた場所から、またじゅくじゅくが出てきた、赤みが広がってきたというときは、治りかけとは言えません。もう一度ご相談ください。
何度も繰り返すとびひでは、鼻の中に菌が残っていることがあります。当院では、そうした場合に鼻の中にも薬を塗っていただくようご説明しています。
鼻の入り口は、黄色ブドウ球菌がすみつきやすい場所です。治療で皮膚のとびひが治っても、鼻に菌が残っていると、鼻を触った手でまた体に広げてしまいます。お子さんは鼻をいじる癖があることが多く、これが繰り返しの原因になっていることがあります。皮膚だけを診ていると見落とすところです。
もうひとつ多いのが、アトピー性皮膚炎に併発して起こるとびひです。かゆいところをかき壊すため広がりやすく、また繰り返します。この場合はとびひの治療だけでは足りません。もとのアトピー性皮膚炎や湿疹を一緒に治さないと、同じことが繰り返されます。かき壊しを止めることが、とびひを止めることになります。
三つめが、抗菌薬が効きにくい菌、いわゆる耐性菌が関わっている場合です。とびひを起こす黄色ブドウ球菌のなかには、よく使われる抗菌薬が効きにくいものがあります。決められた期間の途中で薬をやめたり、以前に処方されて残っていた薬を自己判断でお使いになったりすると、効きにくい菌が残りやすくなります。
塗り薬を数日続けても、じゅくじゅくが減らない、赤みがかえって広がるというときは、そのまま様子を見ないでください。もう一度お越しいただければ、薬が合っているかを見直します。効かない薬を長く続けることが、いちばん治りを遅くします。
治りが悪い、何度も出るというときは、皮膚だけでなく、鼻とかゆみと薬の3つを一緒に見直します。
とびひの治療は保険診療です。抗菌薬の塗り薬が基本で、広がっているときは飲み薬を使います。
当院では、抗菌薬の塗り薬と飲み薬を処方しています。数が少なく範囲がせまいときは塗り薬から始めます。広い範囲に出ているとき、数が多いときは、飲み薬を使います。
とびひに湿疹を伴っているときは、抗菌薬の塗り薬にステロイドを混ぜてお出しすることがあります。かき壊しのもとになっている湿疹を一緒に治さないと、とびひを繰り返すためです。一方で、市販のステロイドの塗り薬だけをお使いになると、とびひは悪化することがあります。薬局で買ったステロイドを数日お使いになってから、広がった状態で受診されるお子さんがいらっしゃいます。細菌をおさえる成分が入っていないためです。とびひかもしれないと思ったときは、ご自身で塗り薬を選ばずにお越しください。
適切な治療を始めれば、およそ4日から5日で改善します。範囲が広いときや飲み薬が必要なときは、もう少しかかります。
見た目がよくなっても、指示された期間は薬を続けてください。途中でやめると、残っていた菌がまた増えて、同じところやその近くに出てきます。いつまで塗るか、いつまで飲むかは、診察のときにお伝えします。
とびひのケアの柱は、皮膚を清潔に保つことです。1日1回以上、シャワーで全身を洗ってください。
とびひで登園や登校を止める法律の決まりはありません。ただし当院の診療圏の3市では、市ごとに求められる書類が違います。
国のガイドラインは、とびひについて医師の意見書も保護者の登園届も求めていません。それでも船橋市・習志野市・八千代市は、それぞれ独自の様式を用意しています。船橋市だけが、医師が記入する登園許可証明書を求めています。
| 市 | とびひで必要な様式 | 記入する人 | 登園のめやす |
|---|---|---|---|
| 船橋市 | 登園許可証明書 | 医師 | 皮疹が乾燥していること。医師の指示に従う |
| 習志野市 | 登所・登園届 | 保護者 | 病変部を外用薬で処置し、浸出液がしみ出ないようにガーゼ等で覆う |
| 八千代市 | 登園届 | 保護者 | 患部を覆うことができれば登園可能。覆えない場合はカサブタが脱落するまで |
船橋市が医師の証明書を求めている感染症は7つだけで、そのうち皮膚の病気はとびひだけです。麻しんや結核と同じ扱いで、証明書がないと再登園できません。医療機関を受診していただく必要があります。
登園許可証・意見書もお書きします。園や学校が指定している書式をお持ちください。文書料を申し受けます。金額は受付にてご確認ください。
様式は市ごとに改訂されます。八千代市の様式には暫定版と書かれています。園から配布された最新の様式をご確認のうえ、お持ちください。
治るまでは控えてください。プールの水を介してうつることはありませんが、肌が触れ合うことと、水に入って患部をかいてしまうことがあるためです。すっかり治れば、また入れます。
学校保健安全法での扱いや、ほかの感染症の登園登校のめやすは、小児皮膚科のページにまとめています。
とびひは、水ぶくれやじゅくじゅくを起こすほかの病気と間違えられます。見分けがつかないときは、そのままお越しください。
お子さんに多いみずいぼは、表面がつるりとして中心がくぼんだ、かたいふくらみです。じゅくじゅくせず、黄色いかさぶたもつきません。原因はウイルスで、抗菌薬は効きません。
みずぼうそうは、全身に水ぶくれが出て、熱を伴うことが多い病気です。とびひのように一か所から広がるのではなく、はじめから離れた場所に散らばって出ます。
単純ヘルペスは、口のまわりに小さな水ぶくれが集まって出ます。ぴりぴりした痛みが先に出ることが多く、こちらもウイルスによるものです。
あせもは、汗をかいたあとに小さな赤いブツブツが出るもので、人にはうつりません。ただし、あせもをかき壊してとびひになることはよくあります。
アトピー性皮膚炎のかき壊しも、じゅくじゅくして見えます。とびひが重なっていることも多く、その場合は両方の治療が要ります。
とびひは皮膚科で治せる病気です。次のような状態のときは、早めにお越しください。
とびひの診察と治療は保険診療ですので、一般皮膚科の枠でご予約ください。保険証と、お持ちの方は医療証をお持ちください。園や学校の書類が必要な方は、書式をお持ちのうえ、受診のときにお申し出ください。当院が初めての方は初めての方へもあわせてご覧ください。
治ることもありますが、時間がかかり、そのあいだに広がります。汁に菌が含まれているため、かいた手でほかの場所やほかの人へ移っていきます。抗菌薬で治療を始めれば、およそ4日から5日で改善します。園や学校に通っているお子さんは、早めにお越しください。
適切な治療を始めれば、およそ4日から5日で改善します。範囲が広いときや飲み薬が必要なときは、もう少しかかります。見た目がよくなっても、指示された期間は薬を続けてください。途中でやめると、残っていた菌がまた増えます。
うつります。汁に触れることでうつるため、タオル・衣類・寝具を分け、患部に触れたあとは手を洗ってください。お風呂は湯ぶねを避けてシャワーにし、ごきょうだいがいるご家庭では最後に入っていただくと安心です。大人にもうつります。
虫刺されやあせも、湿疹をかき壊しているお子さんに多く見られます。アトピー性皮膚炎や乾燥肌があると皮膚に傷が絶えないため、繰り返しやすくなります。大人では、ひげそりの傷や糖尿病などが背景にあることがあります。清潔にしていなかったから起こるものではありません。
つぶさないでください。中の汁には菌が多く含まれており、つぶすと周りに広げることになります。破れてしまったときは、薬を塗ってガーゼなどで覆い、汁がしみ出さないようにしてください。
はがさないでください。はがすと下から汁が出て、うつりやすい状態に戻ります。治りも遅くなります。薬はかさぶたの上から塗って構いません。自然に取れるまで待ってください。
シャワーで洗ってください。1日1回以上、患部も含めて全身を洗います。石けんはよく泡立てて、こすらずにそっと洗い、よくすすいでください。治るまでは湯ぶねを避け、ごきょうだいがいるご家庭では最後に入っていただくと安心です。
治るまでは控えてください。プールの水を介してうつることはありませんが、肌が触れ合うことと、水に入って患部をかいてしまうことがあるためです。すっかり治れば、また入れます。
とびひかもしれないと思ったときは、ご自身で塗り薬を選ばずにお越しください。市販のステロイドの塗り薬だけをお使いになると、とびひは悪化することがあります。細菌をおさえる成分が入っていないためです。薬局で買った薬を数日お使いになってから、広がった状態で受診されるお子さんがいらっしゃいます。
なります。当院でも大人の方を診ています。厚いかさぶたがつくタイプは、お子さんより大人に多く見られます。ひげそりでできた小さな傷やアトピー性皮膚炎のかき壊し、糖尿病などが背景にあると起こりやすくなります。
医療機関で発行します。当院でもお書きします。船橋市の保育所等に通っているお子さんは、再登園のときに医師が記入した登園許可証明書が必要です。習志野市と八千代市は保護者が記入する届出です。園から配布された最新の様式をお持ちのうえ、受診のときにお申し出ください。文書料を申し受けます。
鼻の中に菌が残っていることがあります。鼻の入り口は菌がすみつきやすい場所で、鼻を触った手でまた体に広げてしまいます。当院では、繰り返す場合に鼻の中にも薬を塗っていただくようご説明しています。もうひとつは、かゆみのもとになっている湿疹やアトピー性皮膚炎が治っていない場合です。かき壊しを止めることが、繰り返しを止めることになります。
とびひは、かき壊した皮膚に細菌がついて広がる感染症です。抗菌薬の治療を始めれば、およそ4日から5日で改善します。患部が乾いて汁が出なくなれば、うつる心配はほとんどありません。
繰り返すときは、鼻の中に菌が残っていないか、かゆみのもとになっている湿疹が残っていないかを見直します。船橋市の保育所等に通っているお子さんは、再登園に医師が記入した登園許可証明書が必要です。当院でお書きします。
このページの内容は、ふじもと皮フ科クリニック院長で日本皮膚科学会皮膚科専門医・医学博士の藤本栄大が監修しています。院長プロフィール・研究業績はこちら
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