2026年6月10日

ふじもと皮フ科クリニック院長の藤本です。
「生まれたときからあざがあるけれど、そのうち消えますか」「小児科で様子を見てと言われたけど、このままでいいのか不安」——こうした声は、診察室でも日常的に聞きます。
あざには、自然に消えるものとそうでないものがあります。そして消えないあざであっても、適切な治療で大きく改善できるケースは多くあります。大切なのは、お子さんのあざがどのタイプなのかを早めに知っておくことです。
この記事では、生まれつきのあざの種類ごとの特徴と見分け方、受診の目安を整理してお伝えします。あざの種類別の詳しい治療については、各コラムや当院のあざ治療ページもあわせてご覧ください。
生まれつきのあざは「消えるもの」と「消えないもの」がある
あざと一口に言っても、その原因や性質はさまざまです。まず大きく2種類に分けて考えると、整理しやすくなります。
自然に消えるあざの代表——蒙古斑
蒙古斑は、日本人を含むアジア系の赤ちゃんのおしりや腰にできる青いあざです。生後まもなく現れますが、皮膚の成熟とともに色素が薄れ、多くの場合10歳ごろまでに自然に目立たなくなります。
サーモンパッチ(正中部母斑)も自然と消えることが多いです。まぶたや額にできる淡い赤みが生後数年のうちに薄くなることがほとんどですが、3歳以降で消えずに残ることもあります。
なお、後頭部からうなじにかけてできる同じタイプの赤あざはウンナ母斑と呼ばれ、約半数は大人になっても残ります。首の後ろの赤みは気になる場合は一度皮膚科で確認しておくことをお勧めします。
自然には消えないあざ——治療が必要な種類
一方、以下のあざは自然には消えないことが多いです。時間の経過とともに色が濃くなったり範囲が広がったりすることもあるため、早めの診断と治療の検討が必要です。
- 赤あざ:単純性血管腫(ポートワイン母斑)
- 青あざ:太田母斑、異所性蒙古斑
- 茶あざ:扁平母斑(カフェオレ斑)、ベッカー母斑
医師が診察でまず確認する3つのポイント
私が診察室であざを見るとき、最初に確認するのは次の3点です。
①色——赤・青・茶のどれか
色によって原因(血管か色素か)が異なり、治療に使うレーザーも変わります。
②境界——ぼんやりしているか、くっきりしているか
境界がぼんやりしているものは消えやすい傾向があります。くっきりしている場合、残りやすいサインです。
③部位と発症時期——いつ、どこにできたか
おしりや腰以外にある青いあざ、顔・手足・背中にあるあざは、要注意です。また、生後まもなく現れたものと思春期以降に現れたものでは、種類が異なります。
色別・種類別|生まれつきあざの特徴
赤あざ
赤あざは、皮膚の血管が異常に集まったり広がったりすることで生じます。
単純性血管腫(ポートワイン母斑)は、生まれつきの赤紫〜ピンク色の平らなあざです。顔や首、体幹に多く、自然には消えません。加齢とともに色が濃くなったり盛り上がりが出たりすることがあるため、早期のレーザー治療が推奨されます。
乳児血管腫(いちご状血管腫)は、生後まもなく現れてイチゴのように赤く盛り上がるあざです。多くは1歳ごろまでに増大した後、自然に縮小しますが、大きさや部位によっては色素脱失や皮膚萎縮が残ることがあります。治療の選択肢としては、Vビームプリマによるレーザー治療のほか、ヘマンジオルシロップ(プロプラノロール)などの内服薬治療があります。重症度や発生部位によって適切な治療法が異なるため、早めにご相談ください。
→ 赤あざの詳しい治療については当院のあざ治療ページをご覧ください。
青あざ
青あざは、皮膚の深い層(真皮)にメラニン色素をつくる細胞が残ってしまうことで生じます。セルフケアや外用薬では届かない深さにあるため、レーザー治療が唯一の有効な治療法です。
太田母斑は、顔の片側(目の周り・頬・こめかみ)に現れる青〜青灰色のあざです。生後まもなく現れるものと、思春期前後に現れるものの2つのピークがあります。自然には消えません。
→ 太田母斑の詳しい解説はこちらのコラムをご覧ください。
異所性蒙古斑は、おしり以外の場所(肩・腕・足など)にできる青いあざです。一般的な蒙古斑と異なり、自然に消えないことが多く、部位によってはコンプレックスになりやすいあざです。
→ 異所性蒙古斑の治療タイミングについてはこちらのコラムをご覧ください。
茶あざ
茶あざは、皮膚表面に近い層でメラニン色素が増えることで生じる、境界のはっきりした平らな茶色のあざです。
扁平母斑(カフェオレ斑)は、多くは生まれつき現れます。色はカフェオレのような淡い茶色で、良性ですが自然には消えません。レーザー治療が可能ですが再発しやすい特性があり、治療前に医師との十分な相談が大切です。
→ 茶あざの詳しい治療については当院のあざ治療ページをご覧ください。
「小児科で様子を見てと言われた」——知っておきたい落とし穴
消えやすいあざと消えにくいあざ、何が違うのか
乳児健診や小児科で蒙古斑だから自然に消えますよと言われた経験をお持ちの親御さんは多いと思います。この言葉は基本的に正しいのですが、消えやすいあざと消えにくいあざがあることは、あまり丁寧に説明されないことが多いようです。
一般的に、色が薄く境界がぼんやりしているものは、成長とともに目立たなくなる可能性が高いです。一方で、以下の特徴があるあざは、成人後も残りやすい傾向があります。
- 濃い青色で境界がくっきりしている
- 大きさが広範囲にわたる
- 手足・顔・背中など、おしり以外の露出しやすい部位にある
- 複数か所に広がっている
こうした特徴が複数当てはまる場合は、様子を見るだけでなく、一度皮膚科専門医に相談することをお勧めします。
【臨床の現実】2歳を超えると治療が難しくなる理由
これは多くの親御さんにあまり知られていないことですが、あざのレーザー治療は、お子さんが小さいうちに始めるほど、いくつかの点で大きなメリットがあります。
乳幼児期は皮膚が薄く、レーザーが色素細胞に届きやすいため、少ない照射回数で効果が得やすい。
もうひとつ、私が診察を通じて実感していることがあります。2歳を超えてくると、お子さん自身が怖がったり、治療中に動いてしまったりすることが多くなります。レーザー照射は正確に当てることが大切で、動いてしまうと照射精度が下がります。0〜1歳のころであれば比較的おとなしく治療を受けてもらえることが多いのですが、自我が芽生え始めると状況が変わります。
「様子を見ていたら、いつの間にか治療が難しい年齢になっていた」——こうした声を、診察室で何度も聞いてきました。
「まだ小さいし、もう少し待ってから」と思っている親御さんに伝えたいのは、迷っているならまず相談だけでも早めに来てくださいということです。治療するかどうかはその後で一緒に考えられます。
早めに皮膚科に相談すべきあざのチェックリスト
以下に1つでも当てはまれば、早めの受診をお勧めします。
- おしり・腰以外の場所にある青いあざ
- 顔にある赤・青・茶のあざ
- 生まれたときから色が濃く、境界がはっきりしている
- 月齢・年齢を重ねても色が薄くなる気配がない
- 蒙古斑と言われたけど本当にそうなのか確認したい
生まれつきあざの治療法と保険適用
レーザー治療——あざの色によって機器が異なる
生まれつきのあざの多くは、レーザー治療で改善が期待できます。あざの色(赤・青・茶)によって、反応させるべき対象(血管かメラニンか)が異なるため、使用するレーザーも変わります。
当院では以下の機器を導入しています。
- 赤あざ:Vビームプリマ(595nm色素レーザー)
- 青あざ・茶あざ:ディスカバリーピコプラス(ピコ秒レーザー・Qスイッチルビーレーザー)、トライビームプレミアム(Qスイッチ Nd:YAGレーザー)
治療は複数回必要で、保険診療では3か月に1回の間隔で照射を行います。
保険が使えるあざ
| あざの種類 | 保険適用 |
|---|---|
| 単純性血管腫(ポートワイン母斑) | ○ |
| 乳児血管腫(いちご状血管腫) | ○ |
| 毛細血管拡張症 | ○ |
| 太田母斑 | ○ |
| 異所性蒙古斑 | ○ |
| 扁平母斑 | ○ |
※扁平母斑(カフェオレ斑)の保険診療でのレーザー照射は、原則として2回までとなります。3回目以降は自費診療となりますので、治療開始前にご確認ください。
子ども医療費助成制度が使えます
船橋市・習志野市・八千代市の子ども医療費受給券が使えます。窓口負担が0円〜300円程度になりますので、受診の際はマイナンバー保険証と一緒にお持ちください。
費用・保険適用・治療回数の詳細については異所性蒙古斑のレーザー治療費用コラムもあわせてご覧ください。
よくある質問
まず相談だけでもいいですか?
もちろんです。「治療するかどうかまだ決めていない」「話だけ聞いてみたい」という段階でも、お気軽にご来院ください。現在の状態を確認して、今後の見通しをわかりやすくお伝えします。
大人になってからでも治療できますか?
はい、できます。乳幼児期に比べると治療効果が出るまでの回数が増えることはありますが、成人後でも十分な改善が期待できるケースは多くあります。もう遅いかもと思っている方も、一度ご相談ください。
何歳から治療できますか?
年齢の制限はありません。ただし、お子さんの協力が得られるかどうかが治療の精度に影響するため、状態や月齢を確認しながら治療時期を一緒に考えます。
治療は痛いですか?
麻酔クリームや麻酔テープを使用して痛みをできる限り軽減します。照射時間は数分〜15分程度です。
まとめ
生まれつきのあざは、種類によって「自然に消えるもの」と「消えないもの」があります。消えないあざでも、適切なレーザー治療で大きく改善が期待できます。
最も大切なのは、早めに種類を正確に診断しておくことです。「これは様子を見ていい?」「治療が必要?」の判断は、皮膚科専門医に診てもらってはじめてできます。
迷っているなら、まず相談だけでも早めにいらしてください。
あざについて、もっと詳しく知りたい方はこちら
- 顔の青いあざ(太田母斑)——消えない原因とレーザー治療
- 子どもの青いあざ(異所性蒙古斑)——何歳までに治療すべき?
- 異所性蒙古斑のレーザー治療——費用・保険適用・回数の目安
- あざが消えないのは病気のサイン?原因と治療法
- あざを早く治す方法は?セルフケアも紹介
- 当院のあざ治療ページ(保険診療対応)
記事監修者

ふじもと皮フ科クリニック 院長
藤本 栄大(ふじもと えいた)
医学博士
防衛医科大学校卒業後、自衛隊病院・防衛医科大学校附属病院での勤務を経て日本皮膚科学会認定専門医を取得。同大学院在籍中に米国UC Davis(皮膚科学教室)へ留学し医学博士を取得。海上幕僚監部衛生企画室勤務、南極観測船「しらせ」医務長(第54次)、Pacific Partnership参加等を経て、2015年にふじもと皮フ科クリニックを開院。日本医科大学千葉北総病院との共同研究を継続的に実施。
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