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アトピー性皮膚炎|バリシチニブからウパダシチニブへの切り替え——144週の長期成績【最新研究】

アトピー性皮膚炎|バリシチニブからウパダシチニブへの切り替え——144週の長期成績【最新研究】|船橋・習志野・八千代エリアで皮膚科をお探しなら|ふじもと皮フ科クリニック

2026年5月23日

アトピー性皮膚炎|バリシチニブからウパダシチニブへの切り替え——144週の長期成績【最新研究】
ふじもと皮フ科クリニック院長藤本です。 今回ご紹介するのは、私(藤本栄大)が共著者として参加した研究です。 ※本記事は、2026年にJournal of the American Academy of Dermatology(JAAD)に掲載された研究をもとに解説しています。 アトピー性皮膚炎の治療については、こちらのアトピー性皮膚炎診療ページもあわせてご覧ください。

この研究は何を調べたのか

中等症〜重症のアトピー性皮膚炎(皮膚に強いかゆみや炎症が繰り返す病気)の治療には、「JAK阻害薬」と呼ばれる飲み薬が使われることがあります。現在よく使われるJAK阻害薬には、バリシチニブ(商品名:オルミエント)4mgウパダシチニブ(商品名:リンヴォック)30mgの2種類があります。 バリシチニブで治療をはじめたものの、十分な効果が得られなかったり、治療を続けるうちに効果が落ちてきたりした場合、「ウパダシチニブに切り替える」という選択肢があります。 しかし、この「切り替え療法」が長期的にどれくらい効くのか、また安全に使い続けられるのかについては、十分なデータがありませんでした。 そこで本研究では、バリシチニブ4mgからウパダシチニブ30mgに切り替えた患者さんを対象に、切り替え後144週間(約3年間)にわたる治療成績を後ろ向きに調査しました。

なぜこの研究が重要なのか

アトピー性皮膚炎は、治療を「一定期間だけ続ける病気」ではなく、長期にわたってコントロールし続ける必要がある慢性疾患です。 切り替え直後の短期的な効果については、これまでにもいくつか報告がありました。しかし、3年近くにわたる実臨床のデータは世界的にもほとんど存在しませんでした。 本研究は日本人患者さんのリアルワールドデータ(実際の診療の場のデータ)を用いており、日常診療に直接役立つエビデンスを提供するという点で意義があります。

研究でわかったこと

1. 皮膚症状・かゆみの改善が長期にわたって続く

切り替え後、皮膚の炎症(湿疹の範囲や重症度を示すスコア)やかゆみの数値は改善し、その効果は144週を通じて概ね維持されました。バリシチニブで思うような効果が得られなかった患者さんでも、ウパダシチニブへの切り替えによって長期的な安定が期待できることが示されました。

2. 安全性についても長期データが確認された

144週という長い観察期間を通じて、重篤な副作用の発生は限られており、安全性プロフィールは既存のデータと大きく異なるものではありませんでした。治療の継続率も高く維持されており、切り替え後も多くの患者さんが治療を続けられていることが確認されました。

3. 切り替えのタイミングや背景因子との関連

バリシチニブの効果が不十分だった理由(効果不足か、効果が薄れてきたかなど)によって、切り替え後の成績に差がみられる傾向も示されました。どのような患者さんがより恩恵を受けやすいかを理解するうえで、重要な知見です。

皮膚科診療にどう活かされるのか

この研究の結果は、「バリシチニブで十分な効果が得られない場合、ウパダシチニブに切り替えることで3年近くにわたって安定した治療効果を維持できる可能性がある」ことを、実臨床のデータで示しています。 アトピー性皮膚炎の治療は、症状が落ち着いた後も長期的に管理を続けることが大切です。どの薬剤を、どのタイミングで、どう切り替えるかは、患者さんごとの状況によって異なります。 当院では、バリシチニブ・ウパダシチニブをはじめとするJAK阻害薬の処方に対応しています。現在の治療で十分な効果が得られていない方、治療方針について相談したい方は、ぜひ一般皮膚科外来でご相談ください。

当院からのメッセージ

本研究は、萩野医師(日本医科大学千葉北総病院)をはじめとする共同研究者と当院が力を合わせて取り組んだ成果です。 「今の薬が効いているのかわからない」「もっと効く治療があるのでは」——そのような疑問や不安を感じたとき、ひとりで抱え込まずにご相談いただければと思います。最新の研究知見をもとに、あなたに合った治療の選択肢を一緒に考えます。

記事監修者

藤本栄大 院長

ふじもと皮フ科クリニック 院長

藤本 栄大(ふじもと えいた)

医学博士

日本皮膚科学会認定専門医・医学博士

防衛医科大学校卒業後、自衛隊病院・防衛医科大学校附属病院での勤務を経て日本皮膚科学会認定専門医を取得。同大学院在籍中に米国UC Davis(皮膚科学教室)へ留学し医学博士を取得。海上幕僚監部衛生企画室勤務、南極観測船「しらせ」医務長(第54次)、Pacific Partnership参加等を経て、2015年にふじもと皮フ科クリニックを開院。日本医科大学千葉北総病院との共同研究を継続的に実施。

院長プロフィール・研究業績はこちら →

原著論文

著者: Hagino T, Saeki H, Fujimoto E, Kanda N タイトル: Long-term outcomes after switching from baricitinib 4 mg to upadacitinib 30 mg in atopic dermatitis: a 144-week retrospective study 掲載誌: Journal of the American Academy of Dermatology 年: 2026 DOI: https://doi.org/10.1016/j.jaad.2026.05.013

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