2026年4月08日

ふじもと皮フ科クリニック院長藤本です。 今回ご紹介するのは、私(藤本栄大)が共著者として参加した研究です。 ※本記事は、2025年に Dermatitis 誌に掲載された研究をもとに解説しています。
アトピー性皮膚炎の基本的な特徴・症状・治療の全体像については、こちらのアトピー性皮膚炎診療ページをご覧ください。
この研究は何を調べたのか
レブリキズマブは、体の中で炎症を引き起こすたんぱく質「IL-13(インターロイキン13)」を選択的にブロックする注射薬です。2023年から日本でも使用できるようになりました。
本研究は、複数の医療機関が協力し(多施設研究)、日本人の中等症から重症のアトピー性皮膚炎患者さんを対象に、レブリキズマブを16週間使用したときの実際の臨床現場での効果と安全性を調べました。国際的な臨床試験ではなく、日本の日常診療データを集めた初めての報告です。
なぜこの研究が重要なのか
レブリキズマブは海外の大規模臨床試験で優れた効果が示されていましたが、日本人患者さんの実臨床でどうなのかは、まだ十分にわかっていませんでした。
日本人のアトピー性皮膚炎は、遺伝的背景や生活環境が欧米とは異なる場合があります。そのため海外で効いたから日本人にも同じように効くとは限らないという疑問が医療現場にはありました。本研究はその疑問に、実際の診療データで答えた点に大きな意義があります。
研究でわかったこと
1. 16週間で顕著な改善
皮疹(ひしん:皮膚の湿疹・かゆみの症状)の面積と重症度を評価する指標EASIが、治療開始前から50%以上改善した患者さんが全体の70%以上に達しました。これは、すでに広く使われているデュピルマブなど既存の生物学的製剤と同等かそれ以上の結果です。
2. 結膜炎が少ない傾向
アトピー性皮膚炎の生物学的製剤では、結膜炎(目の充血・かゆみ)が出やすいことが知られています。レブリキズマブでは、他のIL-13・IL-4を標的とする薬と比べて、この副作用が少ない傾向が見られました。目の症状が気になる患者さんにとっては、選択肢として注目されます。
3. 安全性は良好
16週間の観察期間中、重篤な副作用の報告はありませんでした。注射部位の軽度な赤みや腫れ、軽い感冒様症状は一部の患者さんで見られたものの、ほとんどの方が治療を中断せず継続できました。
皮膚科診療にどう活かされるのか
本研究により、レブリキズマブは日本人の中等症〜重症アトピー性皮膚炎に対して、実臨床でも確かな効果と良好な安全性を持つことが確認されました。
特に次のような患者さんに有力な選択肢となります。
ステロイドや従来の治療で十分な効果が得られていない方
他の生物学的製剤で結膜炎が出てしまった方
長期的に安定した治療を希望される方
当院では、必要な方にはレブリキズマブの処方を行います。 まずは一般皮膚科外来でご相談ください。
当院からのメッセージ
本研究は、主著者の萩野医師(日本医科大学千葉北総病院)をはじめ、複数の医療機関が力を合わせて取り組んだ成果です。日本人の患者さんに何が最も効くかを、実際の診療データから積み上げていくこの姿勢は、私が研究に参加し続ける理由でもあります。
アトピー性皮膚炎の治療に悩まれている方は、ぜひ当院にご相談ください。一人ひとりの症状・生活スタイル・ご希望に合わせて、最適な治療をご提案します。
記事監修者
ふじもと皮フ科クリニック 院長
藤本 栄大(ふじもと えいた)
医学博士
防衛医科大学校卒業後、自衛隊病院・防衛医科大学校附属病院での勤務を経て日本皮膚科学会認定専門医を取得。同大学院在籍中に米国UC Davis(皮膚科学教室)へ留学し医学博士を取得。海上幕僚監部衛生企画室勤務、南極観測船「しらせ」医務長(第54次)、Pacific Partnership参加等を経て、2015年にふじもと皮フ科クリニックを開院。日本医科大学千葉北総病院との共同研究を継続的に実施。
院長プロフィール・研究業績はこちら →【原著論文】
著者: Hagino T, Uchiyama A, Onda M, Kosaka K, Araki T, Motegi S-I, Saeki H, Fujimoto E, Kanda N
タイトル: Real-world effectiveness and safety of lebrikizumab for moderate-to-severe atopic dermatitis: A 16-week study in Japan
掲載誌: Dermatitis
年: 2025 DOI: https://doi.org/10.1089/derm.2025.0004

