2026年6月19日
ふじもと皮フ科クリニック院長の藤本です。
アトピーがあるから一生脱毛は無理だとあきらめていた、ニキビが酷いから断られた、ケロイド体質で受け入れてもらえるクリニックが見つからない——当院には毎月こうしたご相談が届きます。
本稿では、皮膚疾患や基礎疾患を有する患者への医療脱毛を有病者脱毛と定義し、その安全な実施条件について解説します。有病者脱毛は、すべての医療脱毛クリニックで対応できるわけではありません。しかし、適切な条件が整えば、多くの方が安全に施術を受けることができます。
本記事では、有病者脱毛の定義・対象となる疾患・安全な実施に必要な条件・当院の体制について、皮膚科専門医の立場から包括的に解説します。
当院の医療レーザー脱毛についてはこちらの診療ページをご覧ください。
有病者脱毛とは何か
有病者脱毛とは、何らかの皮膚疾患・全身疾患・服薬状況を有する患者に対して行う医療レーザー脱毛のことです。
一般的な医療脱毛クリニックや脱毛サロンでは、以下のような状態の方を施術不可としているケースが多くあります。
- アトピー性皮膚炎・敏感肌
- ニキビ(ざ瘡)・ニキビ跡
- 糖尿病などの全身疾患
- ケロイド体質・肥厚性瘢痕
- 光線過敏症
- ステロイド・抗がん剤・光感受性薬など特定薬剤の服用中
- 免疫抑制状態
これらの方が断られたからといって、脱毛を完全にあきらめる必要はありません。問題は、できるかどうかではなく、どの環境で行うかです。
なぜ有病者脱毛には皮膚科専門医が必要か
有病者脱毛が一般クリニックや脱毛サロンで断られる理由は、主に次の3点です。
1. 皮膚状態の評価が複雑
アトピー性皮膚炎は症状の波があり、その日その部位に照射できるかを判断するには皮膚科的な診察眼が必要です。炎症の程度・ステロイド使用状況・バリア機能の状態を総合的に評価できるのは、皮膚科専門医だけです。
ニキビも同様です。症状には波があり、外用薬(レチノイド・抗菌薬・過酸化ベンゾイルなど)で治療中の方も多くいます。他院では脱毛中はニキビ治療薬をやめるよう指示されるケースもあるようですが、ニキビで悩んでいる方にとって治療の中断は大きな負担です。ムダ毛とニキビ、両方の悩みを同時に抱えている方こそ、皮膚科専門医のもとで治療を継続しながら脱毛できる環境が必要だと考えています。
2. レーザーと薬剤の相互作用リスク
光線過敏を引き起こす薬剤は多数あり、服用中に照射を行うと炎症・水疱・色素沈着のリスクが高まります。代表的な原因薬剤は以下のとおりです。
| 薬剤カテゴリ | 代表的な薬剤名 |
|---|---|
| 抗菌薬(ニューキノロン系) | レボフロキサシン、シプロフロキサシンなど |
| 抗菌薬(テトラサイクリン系) | ミノサイクリン、ドキシサイクリンなど |
| 抗菌薬(サルファ剤) | ST合剤(スルファメトキサゾール・トリメトプリム)など |
| 降圧薬・利尿薬 | ヒドロクロロチアジド(サイアザイド系)、ニフェジピン・アムロジピン(Ca拮抗薬)など |
| NSAIDs(鎮痛・解熱薬) | ピロキシカム、セレコキシブ、ナプロキセンなど |
| 向精神薬 | クロルプロマジン(フェノチアジン系)、三環系抗うつ薬など |
| 抗悪性腫瘍薬 | フルオロウラシル(5-FU)、EGFR阻害薬など |
| 糖尿病治療薬 | スルホニル尿素薬(SU薬)など |
| 高尿酸血症治療薬 | アロプリノールなど |
また、ステロイドは免疫を抑制するため、照射後の感染リスクが高まります。こうした薬とレーザーの相互作用を正確に判断するには、処方権を持つ医師による問診と判断が不可欠です。
3. トラブル発生時の医療的対応
万一、施術後に炎症・水疱・色素沈着が起きた場合、外用薬の処方や経過観察ができる体制が必要です。これは医療機関でしか対応できません。
有病者脱毛は、断る理由がある施術ではなく、医師が管理する医療行為として捉えるべきものです。
有病者脱毛の対象となる主な状態
アトピー性皮膚炎・敏感肌
当院で最も多くご相談いただく状態です。炎症がコントロールされている時期には施術が可能なケースがほとんどです。詳しくはアトピー性皮膚炎・敏感肌の方の医療脱毛についてのコラムをご覧ください。
ニキビ(ざ瘡)・ニキビ跡
アトピーと並んで多いご相談です。ニキビがあることを理由に他のクリニックやサロンに断られてご来院される方が多くいます。ニキビがある部位への照射は慎重な判断が必要ですが、炎症の程度・分布・使用中の薬剤(イソトレチノイン等)を評価した上で、多くのケースで対応が可能です。むしろ脱毛によって自己処理の摩擦刺激が減り、ニキビの改善につながるケースもあります。
糖尿病・全身疾患
糖尿病をはじめとする全身疾患をお持ちの方については、皮膚状態・使用薬剤・血糖コントロールの状況をお聞きした上で、個別に対応可否を判断します。対応が難しい場合は、主治医へのご相談をお勧めすることもあります。まずはカウンセリングでご状況をお聞かせください。
ケロイド体質・肥厚性瘢痕
ケロイド体質の方への照射には慎重な対応が必要ですが、絶対禁忌ではありません。過去の傷跡の状況や家族歴を確認した上で、個別に判断します。
光線過敏症・光感受性薬の服用
特定の薬剤(フルオロキノロン系抗菌薬、利尿薬、NSAIDsの一部など)を服用中の場合、服薬期間中の照射を避けるか、照射部位・出力を調整します。休薬可能かどうかは処方医に確認します。
免疫抑制状態
生物学的製剤・免疫抑制薬を使用中の方は感染リスクが高まるため、主治医と相談の上で施術可否を判断します。
安全な有病者脱毛に必要な3つの条件
当院が考える安全な有病者脱毛の条件は以下の通りです。
条件1:皮膚科専門医が常駐し、医師の指示のもとで施術が行われること
有病者脱毛において重要なのは、皮膚科専門医が施術環境に常駐し、看護師による施術が医師の管理下で行われることです。看護師が施術中に皮膚状態の変化や懸念点を把握した際には、速やかに医師が確認・判断し、照射の可否・部位・出力を指示できる体制が求められます。これはエステサロンや医師不在のクリニックでは実現できない、医療機関ならではの安全管理です。
条件2:施術スタッフの皮膚疾患に関する知識
照射を担当する看護師が、皮膚疾患の基礎知識・レーザー機器の特性・照射中の肌反応を深く理解していることが不可欠です。異変に気づき、即座に医師へ報告できる体制が安全性を担保します。
条件3:万一のトラブルへの医療的対応体制
外用薬処方・内服対応・経過観察が院内で完結できること。これは皮膚科クリニックだからこそ実現できます。
当院の有病者脱毛への取り組み
当院(ふじもと皮フ科クリニック)は、千葉県船橋市・習志野市・八千代市エリアで、皮膚疾患をお持ちの方の医療レーザー脱毛(有病者脱毛)に対応できる数少ない皮膚科クリニックです。
院長は日本皮膚科学会認定専門医・医学博士であり、日本医学脱毛学会にも所属しています。また、アトピー性皮膚炎の治療・管理を日常的に行っている皮膚科専門医として、皮膚疾患のある方の脱毛に対して医学的根拠に基づいた判断ができる体制を整えています。
他のクリニックや脱毛サロンで断られた方、持病があるけれど脱毛したいという方は、まず無料カウンセリングでご相談ください。断るかどうかは診察をしてから判断します。
よくある質問
ニキビがひどくて他のクリニックに断られましたが、相談できますか?
はい、ご相談いただけます。当院では、ニキビ(ざ瘡)が重症で他院に断られた方が最も多くご来院されています。炎症の程度・分布・使用中の薬剤を皮膚科専門医が評価した上で、対応可能なケースが多くあります。まずはカウンセリングでご相談ください。
持病があっても医療脱毛を受けられますか?
疾患の種類・状態・使用薬剤によって異なります。多くの場合、皮膚科専門医が診察した上で条件を整えれば施術が可能です。まずご相談ください。
他のクリニックで断られましたが、相談できますか?
はい、ご相談いただけます。断られた理由や経緯をお聞きした上で、当院で対応可能かどうか医師が判断します。
アトピーの薬を使いながら脱毛できますか?
薬の種類・使用部位・使用量によって異なります。ステロイド外用薬を使用中の方でも、症状がコントロールされていれば照射可能なケースがほとんどです。
糖尿病がありますが脱毛できますか?
皮膚状態・使用薬剤・血糖コントロールの状況をお聞きした上で、個別に対応可否を判断します。対応が難しい場合は主治医へのご相談をお勧めすることもありますが、まずはカウンセリングでご状況をお聞かせください。
ケロイド体質ですが脱毛できますか?
ケロイド体質の程度・部位によって判断が異なります。過去の傷跡の状況をお聞きした上で、個別に対応方針を決めます。
記事監修者

ふじもと皮フ科クリニック 院長
藤本 栄大(ふじもと えいた)
医学博士
防衛医科大学校卒業後、自衛隊病院・防衛医科大学校附属病院での勤務を経て日本皮膚科学会認定専門医を取得。同大学院在籍中に米国UC Davis(皮膚科学教室)へ留学し医学博士を取得。海上幕僚監部衛生企画室勤務、南極観測船「しらせ」医務長(第54次)、Pacific Partnership参加等を経て、2015年にふじもと皮フ科クリニックを開院。日本医科大学千葉北総病院との共同研究を継続的に実施。
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