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アトピー性皮膚炎でも医療レーザー脱毛は受けられる?皮膚科専門医が判断基準と注意点を解説

アトピー性皮膚炎でも医療レーザー脱毛は受けられる?皮膚科専門医が判断基準と注意点を解説|船橋・習志野・八千代エリアで皮膚科をお探しなら|ふじもと皮フ科クリニック

2026年7月03日

アトピー性皮膚炎でも医療レーザー脱毛は受けられる?皮膚科専門医が判断基準と注意点を解説

千葉県船橋市のふじもと皮フ科クリニック(2015年開院)では、2015年の開院以来10年以上にわたり医療レーザー脱毛の診療を行っています。その中で、アトピー性皮膚炎の患者さんから色素沈着があるから脱毛を断られたという話を診察室でしばしば耳にします。また、当院でアトピーの治療を受けている患者さんから私も脱毛できますか、と聞かれることも少なくありません。

結論からお伝えすると、アトピー性皮膚炎があっても医療レーザー脱毛を受けることは多くの場合可能です。ただし、そうした経験には医学的な理由があり、また受けられる場合にも条件があります。

この記事では、アトピー性皮膚炎と医療レーザー脱毛の関係を、皮膚科専門医の立場から正確にお伝えします。

アトピー性皮膚炎とはどのような疾患か

アトピー性皮膚炎は、皮膚バリア機能の低下と免疫の過剰反応が組み合わさって起こる、慢性の炎症性皮膚疾患です。

健常な皮膚では、外側の角層がバリアとして機能し、刺激物・アレルゲン・細菌の侵入を防いでいます。アトピー性皮膚炎ではこのバリア機能が障害されており、わずかな刺激にも炎症が生じやすい状態が続きます。

炎症が繰り返されると皮膚が分厚くなったり色が沈着したりします。これが色素沈着と呼ばれる状態で、アトピー患者さんに特に多く見られます。

症状は一定ではなく、炎症が強い増悪期と比較的落ち着いた寛解期を交互に繰り返すのが特徴です。

なぜ脱毛を断られるのか

色素沈着があるから脱毛できないと断られた経験をお持ちの方が、当院の診察でも少なからずいらっしゃいます。

この判断は、必ずしも誤りではありません。ただ、アトピーがあるというだけで一律に断る対応には医学的な根拠がありません。断られる理由として多いのは以下の2つです。

色素沈着した部位へのレーザーリスク

医療脱毛レーザーは、毛の黒い色素(メラニン)に反応して熱を発生させ、毛根や幹細胞にダメージを与える仕組みです。アトピーの掻き壊しや慢性炎症によって色素沈着が生じた皮膚では、本来の毛のメラニンとは別に皮膚自体にもメラニンが多く存在しています。この状態で適切な設定をせずにレーザーを照射すると、毛根だけでなく皮膚表面にも過剰に反応し、やけどや炎症の悪化につながるリスクがあります。

ただし、対応できるパラメータは出力(エネルギー量)だけではありません。レーザーの波長・パルス幅・使用機種を適切に選択することで、色素沈着のある肌に対しても安全に施術できる場合があります。

波長が長いレーザー(例:1064nm Nd:YAGレーザー)は皮膚表面のメラニンに吸収されにくく、より深部の毛根に選択的に作用しやすい特性があります。パルス幅の調整によって、皮膚表面への熱集中を分散させることも可能です。どの波長・パルス幅・出力が最適かは皮膚の色・色素沈着の程度・毛質によって異なり、画一的なプロトコルではなく個別の判断が求められます。

つまり断るのではなく、適切な機種と設定を選択すれば施術できるというのが正確な理解です。

皮膚炎が活動している部位への施術

炎症が強く出ている部位にレーザーを照射することは、炎症をさらに悪化させる可能性があります。増悪期の皮膚は免疫が過剰に活性化した状態にあり、外部刺激への反応も通常以上に強くなっています。

この場合、症状が落ち着いた時期(寛解期)まで待ってから施術するという判断をすることもあります。

アトピー性皮膚炎と脱毛、施術できる状態・できない状態

施術の可否は、アトピーの有無ではなく現在の状態で判断します。

施術を進められる状態

  • 皮膚炎が落ち着いており、照射部位に明らかな炎症がない
  • 色素沈着があっても、炎症を伴っていない
  • ステロイド外用薬のような薬を使用中でも、皮膚が安定している

施術を待っていただく状態

  • 照射予定部位に赤み・浸出液・かさぶたなど活動性の炎症がある
  • 直近でアトピーが大きく悪化している

今日の皮膚の状態がどうかを毎回確認することが、安全な施術のための基本です。アトピーの患者さんを診慣れた施術者であれば、この判断は難しくありません。逆に、皮膚疾患に不慣れな施術者が一律にルールを当てはめようとすると、安全に施術できる状態でも断ってしまう、あるいは施術すべきでない状態で進めてしまう、どちらかの誤りが生じます。

皮膚科専門医の視点:施術者の経験と教育が重要な理由

観察しながら施術することの意味

アトピー性皮膚炎のある方への医療脱毛で最も重要なのは、施術前の観察と、施術中のリアルタイムの判断です。

施術前には、照射部位の炎症の有無・色素沈着の程度を確認します。そのうえで、使用する機種・波長・パルス幅・出力の組み合わせを決めます。施術中は照射後の皮膚反応を継続して観察しながら、必要に応じてリアルタイムに設定を修正します。テスト照射を丁寧に行い、反応を確認してから本照射に進むことも大切です。

こうした判断は、マニュアル通りにはできません。アトピー性皮膚炎の病態を理解したうえで、レーザー機器の特性と複数症例の経験を持つ施術者でなければ難しいのが実情です。

当院では、施術を担当する看護師が皮膚科専門医の指導のもとで、アトピーを含む皮膚疾患の病態について教育を受けています。何かあれば医師がすぐ診られる環境であることも、皮膚疾患を持つ患者さんに安心して受けていただくうえで重要だと考えています。

通院中の患者さんからの質問について

当院でアトピー性皮膚炎の治療を受けている患者さんから、脱毛もできますかと聞かれることがあります。

この質問への答えは、今の皮膚の状態によりますが基本的に可能です、です。治療中であることは必ずしも施術の障害にはなりません。むしろ、定期的に皮膚の状態を診ている皮膚科医が施術に関わることで、タイミングの判断がより適切にできるというメリットがあります。

治療中だから断られるのではなく、治療中だからこそ皮膚科で相談してほしい、とお伝えしています。

アトピーにおける自己処理の刺激とレーザー脱毛の関係

アトピー性皮膚炎は、さまざまな外的刺激が増悪因子になることが知られています。剃毛による物理的刺激もその一つです。

毎日あるいは数日おきにカミソリを当てることは、バリア機能が低下したアトピー皮膚にとって繰り返しの刺激となります。医療レーザー脱毛によって毛量が減れば、この自己処理の頻度と範囲が減り、皮膚への物理的負担が軽くなることが期待できます。

ただし、医療脱毛でアトピーが治るという意味ではありません。自己処理という刺激のひとつが減ることで皮膚への負担が下がる可能性がある、という段階の話であり、アトピーそのものの治療は皮膚科での継続的な診療が必要です。

アトピー性皮膚炎とレーザーに関する英語論文の知見

アトピー性皮膚炎とレーザー治療の関係については、近年注目すべき知見が報告されています。脱毛レーザーがアトピーを直接治療するという段階の研究ではありませんが、背景として参考になるスコーピングレビューを紹介します。

レーザー療法全般とアトピー:スコーピングレビュー

2023年9月時点の文献を対象とした系統的スコーピングレビューでは、アトピー性皮膚炎に対するレーザー療法の有効性がまとめられています(Demory M et al., Cureus, 2026, DOI: 10.7759/cureus.105694)。308nmエキシマレーザーが炎症マウスモデルの掻破行動を抑制したこと、1064nm Nd:YAGレーザーが難治性アトピー症例で炎症と皮膚肥厚を軽減した報告があることが紹介されています。一方でレビューは、ヒトを対象とした大規模な比較試験はまだ少なく、さらなる研究が必要とも述べています。

このレビューはアトピー治療としてのレーザー照射を直接検討した研究であり、脱毛目的のレーザーとは文脈が異なります。ただし1064nm Nd:YAGレーザーの抗炎症的特性に関する知見は、アトピー性皮膚炎のある方が医療レーザー脱毛を受ける際の医学的背景を理解するうえで参考になります。

外用薬・内服薬を使用中の患者さんへ

アトピー性皮膚炎の治療で外用薬を使用中の方も、多くの場合施術は可能です。

ただし、施術前に使用している薬剤・部位・期間を必ず申告してください。使用している薬剤や部位によって皮膚の状態が異なるため、申告内容をもとに出力や照射設定を個別に調整します。

デュピルマブ(デュピクセント)などの生物学的製剤を使用中の患者さんについても、基本的に施術可能と考えていますが、個別に相談しながらすすめます。疑問がある場合はカウンセリングでお伝えください。

よくある質問

アトピーで色素沈着がある場合、脱毛できますか?

色素沈着があっても、炎症が落ち着いていれば多くの場合施術できます。ただし、色素が濃い部位はレーザーが強く反応しやすいため、出力の調整が必要です。一律に断られた経験がある方も、皮膚科専門医のいるクリニックで改めてご相談ください。

ステロイドを塗っている部位は脱毛できますか?

ステロイド外用薬を使用中でも施術は可能です。ただし、薬剤の種類・使用部位・使用期間によって皮膚の状態が異なるため、カウンセリング時に必ず申告してください。施術者が皮膚の状態を確認したうえで対応します。

アトピーが悪化している時期でも施術できますか?

炎症が強い増悪期は、照射部位の施術を一時的に控えていただくことがあります。症状が落ち着いた寛解期に改めて施術するのが安全です。部位によって状態が異なる場合は、落ち着いている部位だけ先に進めることも可能です。

脱毛することでアトピーが改善しますか?

脱毛でアトピーが治るという意味ではありません。自己処理による繰り返しの物理的刺激が減ることで、皮膚への負担が軽くなる可能性があります。アトピーの治療は皮膚科での継続的な診療が必要です。

子どものアトピーが治ったら脱毛できますか?

成人年齢以上であれば、症状が落ち着いた状態で施術可能です。アトピーの既往があること自体は施術の障害になりません。現在の皮膚の状態を診察で確認したうえで判断します。

ふじもと皮フ科クリニックの医療脱毛について

ふじもと皮フ科クリニックは2015年の開院以来、10年以上にわたり医療レーザー脱毛の診療を継続しています。院長は日本皮膚科学会認定専門医・医学博士であり、アトピー性皮膚炎を含む皮膚疾患の診療と脱毛施術を同じ院内で一体的に行っています。

アトピー性皮膚炎のある方の脱毛については、皮膚の状態を診察で確認したうえで施術の可否・タイミングを判断しており、他院で断られた経験をお持ちの方からのご相談も継続的にお受けしています。

まとめ

アトピー性皮膚炎があっても、医療レーザー脱毛は多くの場合受けることができます。重要なのはアトピーの有無ではなく、今の皮膚の状態がどうかという判断です。

色素沈着があっても炎症が落ち着いていれば施術可能であり、波長・パルス幅・出力といったレーザーの設定と機種を適切に選択することで安全に行えます。施術の前後・最中を通じて皮膚の状態を丁寧に観察できる施術者と、万一のトラブルに対応できる医療環境が、アトピーの方の脱毛においては特に重要です。

他のクリニックで断られた経験がある方、アトピーがあるので相談しにくいと感じている方も、まずはご相談ください。

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記事監修者

藤本栄大 院長

ふじもと皮フ科クリニック 院長

藤本 栄大(ふじもと えいた)

医学博士

日本皮膚科学会認定専門医・医学博士

防衛医科大学校卒業後、自衛隊病院・防衛医科大学校附属病院での勤務を経て日本皮膚科学会認定専門医を取得。同大学院在籍中に米国UC Davis(皮膚科学教室)へ留学し医学博士を取得。海上幕僚監部衛生企画室勤務、南極観測船「しらせ」医務長(第54次)、Pacific Partnership参加等を経て、2015年にふじもと皮フ科クリニックを開院。日本医科大学千葉北総病院との共同研究を継続的に実施。

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