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ふじもと皮フ科クリニックの医療コラム

アトピー性皮膚炎でも医療レーザー脱毛は受けられる?皮膚科専門医が判断基準と注意点を解説

2026年7月03日(最終更新日:)

アトピー性皮膚炎でも医療レーザー脱毛は受けられる?皮膚科専門医が判断基準と注意点を解説

アトピーがあるから、色素沈着があるからと脱毛を断られた——そんな経験をお持ちの方は少なくありません。でも実は、その判断はいつも正しいわけではありません。船橋市のふじもと皮フ科クリニックでは、アトピー性皮膚炎の治療と医療レーザー脱毛を同じ院内で行っており、診察室でこうした声を日常的に伺います。

この記事では、皮膚科専門医の立場から、受けられるのか、どんなときに待つべきか、自分で気をつけることを、正確に、そして具体的に解説します。

結論:アトピー性皮膚炎があっても、医療レーザー脱毛は多くの場合受けられます。判断のカギはアトピーの有無ではなく、今の皮膚の状態です。炎症が落ち着いていれば、色素沈着があっても、波長・パルス幅・出力と機種を適切に選ぶことでリスクを抑えて施術できます。

アトピーでも医療レーザー脱毛は受けられる?(結論)

受けられます。アトピー性皮膚炎の既往があること自体は、医療レーザー脱毛の障害にはなりません。可否を分けるのは次の3点です。

  • 照射部位に活動性の炎症(赤み・浸出液・かさぶた)がないか
  • 色素沈着の程度に合わせて波長・出力を調整できるか
  • アトピーの皮膚を診慣れた施術者と、医師がすぐ対応できる環境があるか

このいずれも満たせれば、多くの場合その日のうちに施術を進められます。

アトピー性皮膚炎とはどんな疾患か

アトピー性皮膚炎は、皮膚バリア機能の低下と免疫の過剰反応が組み合わさって起こる、慢性の炎症性皮膚疾患です。

健常な皮膚では、いちばん外側の角層がバリアとして働き、刺激物・アレルゲン・細菌の侵入を防いでいます。アトピーではこのバリアが障害され、わずかな刺激でも炎症が起きやすい状態が続きます。炎症を繰り返すと皮膚が厚くなったり、色が濃く残ったりします。これが色素沈着で、アトピーの方に特に多く見られます。

症状は一定ではなく、炎症の強い増悪期と、落ち着いた寛解期を交互に繰り返すのが特徴です。現在どちらの時期にあるかが、脱毛の判断に直結します。

日本皮膚科学会と日本アレルギー学会のアトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024でも、増悪と寛解を繰り返す、かゆみのある湿疹を主な病変とする疾患と位置づけられています。

アトピー性皮膚炎そのものの診断、重症度、治療についてはアトピー性皮膚炎のページで詳しくご説明しています。

なぜアトピーだと脱毛を断られるのか

断られる主な理由は2つで、いずれもアトピーだからと一律に不可にする医学的根拠はありません。多いのは次のケースです。

  • 色素沈着した部位へのレーザーリスク — 脱毛レーザーは毛の黒い色素(メラニン)に反応して熱を出す仕組みのため、色素沈着した皮膚では皮膚表面のメラニンにも過剰反応し、やけどや炎症悪化につながることがある
  • 炎症が活動している部位への施術リスク — 増悪期の皮膚は免疫が過剰に活性化しており、外部刺激への反応も強く、照射が炎症をさらに悪化させることがある

いずれもアトピーだからではなく、その部位・その状態だからという話です。色素沈着については、波長の長いレーザー(例:1064nm Nd:YAGレーザー)が皮膚表面のメラニンに吸収されにくく、深部の毛根に選択的に作用しやすい特性があります。パルス幅を調整して表面への熱集中を分散させることもできます。つまり、断るのではなく、機種と設定を選べば施術できるというのが正確な理解です。

施術できる状態・できない状態

可否はアトピーの有無ではなく、その日の皮膚の状態で判断します。

施術を進められる状態

  • 皮膚炎が落ち着いていて、照射部位に明らかな炎症がない
  • 色素沈着があっても、炎症を伴っていない
  • ステロイド外用薬などを使用中でも、皮膚が安定している

施術を待っていただく状態

  • 照射予定部位に赤み・腫れ・浸出液・かさぶたなど活動性の炎症がある
  • 掻き壊し(掻き傷)や、皮膚がめくれた状態(びらん)がある
  • 強いかゆみが続いている
  • 直近でアトピーが大きく悪化している

乾燥や皮むけが目立つ場合は、保湿で肌を整えてから照射したほうが反応が出にくくなります。

部位によって状態が違う場合は、落ち着いている部位だけ先に進めることもできます。今日の皮膚がどうかを毎回確認することが、安全な施術の基本です。

診察の際にお伝えいただきたいこと

  • 最近いつ、どの部位が悪化したか
  • 使っている塗り薬・飲み薬・注射薬の名前と使い方(お薬手帳をお持ちください)
  • 以前の脱毛や日焼けで、赤みや色素沈着が長引いたことがあるか

【皮膚科専門医の視点】観察しながら施術する意味

アトピーのある方の医療脱毛で最も重要なのは、施術前の観察と、施術中のリアルタイムの判断です。

施術前に照射部位の炎症の有無と色素沈着の程度を確認し、機種・波長・パルス幅・出力の組み合わせを決めます。さらにテスト照射で反応を確かめてから本照射に進み、施術中も皮膚反応を見ながら必要に応じて設定を修正します。これはマニュアル通りにはできません。アトピーの病態を理解し、レーザー機器の特性と複数症例の経験を持つ施術者が必要です。

当院では、施術を担当する看護師が皮膚科専門医の指導のもとでアトピーを含む皮膚疾患の病態を学んでおり、何かあれば医師がすぐ診られる体制を整えています。皮膚疾患をお持ちの方に安心して受けていただくうえで、この環境こそが重要だと考えています。

アトピーの方が脱毛の前後に気をつけること

施術の可否と同じくらい大切なのが、患者さん自身の準備とケアです。次のポイントを守ると、トラブルを避けながら効果を得やすくなります。

  • 保湿を朝晩続ける — 照射予定部位は少なくとも1週間前から朝晩2回。バリア機能を整えることが炎症予防の土台で、乾燥した状態での施術は避ける
  • 増悪期は照射を避ける — 赤み・かゆみが強い時期は寛解期まで待つ。落ち着いている部位から進めるのも選択肢
  • 施術2週間前から日焼けを避ける — 日焼けした肌はやけどのリスクが上がる。外出時はSPF30・PA+++以上の日焼け止めを
  • 剃毛は前日までに、カミソリか電気シェーバーでやさしく — 毛抜き・ワックス・除毛クリームは使わない。深剃りや毎日の剃毛もアトピーの増悪因子になる。剃り残しは院内で剃毛できます(1部位1,100円)
  • 使用中の薬を必ず申告する — 外用薬・内服薬・生物学的製剤の種類・部位・期間を伝える。設定調整の根拠になる
  • 施術後は冷やして保湿し、こすらない — 当日は湯船を避けてぬるめのシャワーで済ませ、運動・飲酒も控えめに。熱がこもると赤みが長引きやすい

照射後に起こりうる反応

医療レーザー脱毛では、照射後に次のような反応が起こることがあります。多くは一時的なものですが、アトピーのある方は皮膚が反応しやすいため、あらかじめ知っておいてください。

  • 赤み・熱感・ヒリヒリ感 — 照射直後に最も多い反応です。多くは数時間〜1日で落ち着きます
  • 毛嚢炎(もうのうえん) — 毛穴に軽い炎症が起こる状態です。照射後1〜3日以内に出ることが多く、清潔を保つことで治まるケースがほとんどです
  • かゆみ・湿疹の悪化 — 照射の刺激や乾燥をきっかけに、照射部位のアトピーが一時的に悪化することがあります
  • 色素沈着 — 炎症のあとや日焼けした肌で起こりやすくなります。照射後も紫外線対策を続けてください
  • 硬毛化 — 産毛の多い部位で、まれに毛が一時的に太く濃くなることがあります

赤みや痛みが治まらない場合は、お渡しする炎症止めを塗布してください。当院は皮膚科専門医が常駐しているため、湿疹が悪化した場合も同じ院内で診察と処方まで行えます。気になる変化があれば、掻かずに、次回予約を待たずにご連絡ください。

使用中の薬(外用・内服・生物学的製剤)がある方へ

治療薬を使っていても、多くの場合施術は可能です。ただし、施術前に薬剤・部位・期間を必ず申告してください。使用状況によって皮膚の状態が変わるため、それをもとに出力や照射設定を個別に調整します。

デュピルマブ(デュピクセント)などの生物学的製剤を使用中の方も、基本的に施術可能と考えていますが、個別に相談しながら進めます。疑問があればカウンセリングでお伝えください。治療中だから断られるのではなく、治療中だからこそ皮膚科で相談してほしい——定期的に皮膚を診ている医師が関わることで、タイミングの判断がより適切になります。

自己処理の刺激とレーザー脱毛の関係

剃毛による物理的刺激は、アトピーの増悪因子の一つです。毎日あるいは数日おきにカミソリを当てることは、バリア機能が低下したアトピー皮膚にとって繰り返しの刺激になります。医療レーザー脱毛で毛量が減れば、この自己処理の頻度と範囲が減り、皮膚への物理的負担が軽くなることが期待できます。ただし、アトピーそのものの治療は皮膚科での継続的な診療が必要です。

研究でわかっていること(レーザーとアトピー)

脱毛用のレーザーでアトピーが良くなるという根拠はありません。アトピー性皮膚炎そのものに対するレーザー治療の研究はありますが、まだ初期段階です。2013〜2023年に発表された27本の研究を整理したスコーピングレビュー(Persson C, et al. Cureus. 2026. DOI: 10.7759/cureus.105694)では、308nmエキシマレーザーがマウスの皮膚炎モデルで掻く行動を減らしたこと、Nd:YAGレーザーが外用ペプチドの浸透を高め、皮膚バリアの回復を早めたことが報告されています。一方で、Nd:YAGレーザーの効果をアトピーの患者さんや動物モデルで直接調べた研究はなく、長期的な効果の検証が必要だと結論づけています。

医療脱毛はあくまで毛を減らすための施術で、アトピーの治療ではありません。アトピーの治療は、塗り薬・飲み薬・注射薬などを用いて皮膚科で継続して行います。

よくある質問

アトピーで色素沈着がある場合、脱毛できますか?

炎症が落ち着いていれば、多くの場合できます。色が濃い部位はレーザーが強く反応しやすいため出力の調整が必要です。一律に断られた経験がある方も、皮膚科専門医のいるクリニックで改めてご相談ください。

ステロイドを塗っている部位は脱毛できますか?

使用中でも施術は可能です。ただし薬剤の種類・部位・期間で皮膚の状態が変わるため、カウンセリング時に必ず申告してください。施術者が状態を確認したうえで対応します。

アトピーが悪化している時期でも施術できますか?

増悪期は照射を控えるのが安全です。落ち着いた寛解期に施術します。部位によって状態が違えば、落ち着いた部位だけ先に進めることもできます。

脱毛することでアトピーが改善しますか?

脱毛でアトピーが治るわけではありません。自己処理による繰り返しの刺激が減ることで皮膚への負担が軽くなる可能性はあります。治療は皮膚科での継続診療が必要です。

子どものアトピーが治ったら脱毛できますか?

年齢だけで一律にお断りすることはありません。未成年の方は保護者の同意が必要です。アトピーの既往自体は障害にならず、現在の皮膚の状態を診察で確認して判断します。成長期は毛が再び生えやすいため、無理のないスケジュールをご提案します。

照射後に湿疹が悪化したら、どうすればいいですか?

掻かずに、次回予約を待たずにご連絡ください。照射の刺激や乾燥でアトピーが一時的に悪化することがあります。当院では皮膚科専門医が診察し、必要な外用薬を処方します。落ち着くまで、その部位の照射は見合わせます。

まとめ

アトピー性皮膚炎があっても、医療レーザー脱毛は多くの場合受けられます。重要なのはアトピーの有無ではなく、今の皮膚の状態です。色素沈着があっても炎症が落ち着いていれば、波長・パルス幅・出力と機種を適切に選ぶことでリスクを抑えて施術できます。そして、施術の前後・最中を通じて皮膚を丁寧に観察できる施術者と、万一のトラブルに対応できる医療環境が、アトピーの方の脱毛では特に大切です。

他院で断られた経験がある方、アトピーがあるので相談しにくいと感じている方も、まずはご相談ください。

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当院院長は日本医科大学千葉北総病院の研究者とともに、アトピー性皮膚炎に対する生物学的製剤・JAK阻害薬のリアルワールド研究に共著者として参加し、JAAD・JEADVなど国際査読誌に論文を発表しています。研究業績・共著論文一覧もご覧いただけます。

施術内容や費用については、当院の医療レーザー脱毛(機器・施術の流れ・料金)はこちらをご覧ください。

参考文献

  • 日本皮膚科学会・日本アレルギー学会 アトピー性皮膚炎診療ガイドライン作成委員会. アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024.
  • Persson C, Niu L, Oualid C, Azeem A, Kawouk J, Demory M. Efficacy of Laser Therapy in Patients With Atopic Dermatitis: A Scoping Review. Cureus. 2026. doi:10.7759/cureus.105694

記事監修者

藤本栄大 院長

ふじもと皮フ科クリニック 院長

藤本 栄大(ふじもと えいた)

医学博士

日本皮膚科学会皮膚科専門医・医学博士

防衛医科大学校卒業後、自衛隊病院・防衛医科大学校附属病院での勤務を経て日本皮膚科学会皮膚科専門医を取得。同大学院在籍中に米国UC Davis(皮膚科学教室)へ留学し医学博士を取得。海上幕僚監部衛生企画室勤務、南極観測船しらせ医務長(第54次)、Pacific Partnership参加等を経て、2015年にふじもと皮フ科クリニックを開院。日本医科大学千葉北総病院との共同研究を継続的に実施。

院長プロフィール・研究業績はこちら →

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