生まれつき、あるいは成長とともに出てくる「あざ」には、赤あざ・青あざ・茶あざなど、いくつかの種類があります。
自然に消えると思っている方も多いですが、実は早く治療を始めたほうがよいあざもあります。
あざの種類によって合うレーザーは違うため、さまざまなタイプのレーザーを使い分けることが大切です。
当院では、皮膚科専門医がしっかりと診断し、豊富な種類のレーザー機器の中から、その方に合った治療を選んでご提案しています。あざの治療は基本的に保険診療で受けることが可能ですので、安心してご相談ください。
赤あざについて

疾患のイメージ図(AI生成)
赤いあざは、皮膚の血管に異常があることで生じるもので、赤みや盛り上がりとして現れます。代表的な疾患には、「単純性血管腫」「乳児血管腫(いちご状血管腫)」「毛細血管拡張症」があります。
単純性血管腫は、生まれつき見られる赤紫~ピンク色の平らなあざで、「ポートワイン血管腫」とも呼ばれます。顔や首、体幹にできやすく、自然に消えることはありません。加齢とともに色が濃くなったり、厚みが出て盛り上がることもあるため、できるだけ早い段階でのレーザー治療が推奨されます。
乳児血管腫は、生後まもなく赤く盛り上がるあざで、「いちご状血管腫」とも呼ばれます。多くは成長とともに自然に縮小しますが、大きさや深さ、できた部位によっては赤みやしこりが長期間残ることがあります。レーザー治療も有効ですが、近年ではβ遮断薬(プロプラノロール)による内服治療も有効であることがわかってきました。特に増殖が速いタイプの血管腫に効果があり、保険適用の治療として承認されています。ただし、副作用のリスクがあるため導入時には入院が必要です。内服による治療が必要と判断される場合には、高次医療機関をご紹介しています。
毛細血管拡張症は、顔や鼻の周り、脚などに細い血管が浮き出て赤く見える状態で、いわゆる「赤ら顔」の原因のひとつです。成人になってから加齢、紫外線、寒暖差、体質、長期の外用薬使用などをきっかけに発症することが多く、進行性ではありませんが、徐々に赤みが広がることがあります。レーザー治療を用いて赤みの改善が可能です。
青あざについて

疾患のイメージ図(AI生成)
青あざは、皮膚の深い層(真皮)にメラニン色素をつくる細胞が存在することで、青~灰色~紫色に見えるあざです。とくに顔に出現した場合は見た目への影響が大きく、長年にわたって悩まれる方も少なくありません。ここでは代表的な「太田母斑」と「異所性蒙古斑」についてご紹介します。
太田母斑は、額・こめかみ・まぶた・鼻の横・頬など、顔の片側に現れる青みがかったあざです。多くは生後半年以内に出現しますが、思春期や成人後に目立ち始めることもあり、乳児期に現れたあざが思春期に再び濃くなるケースもあります。白目(強膜)が青く見えることもあります。
太田母斑と似た疾患に、「ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)」があります。ADMは思春期以降に発症し、両頬などに左右対称に現れることが多く、特に女性に多く見られます。
これらのあざには、メラニンに反応するレーザー治療が有効です。症状や部位に応じて複数回の治療を行います。
蒙古斑は、新生児のおしりや腰のあたりにできる青あざで、日本人を含むアジア人に多く見られます。通常は10歳ごろまでに自然に消えていきますが、肩・背中・腕・顔など、おしり以外の場所にできたものを「異所性蒙古斑」と呼びます。
異所性蒙古斑も、皮膚の真皮にメラニンをつくる細胞が残ってしまうことで発生します。青~灰色~茶褐色と色調に幅があり、濃くて広範囲なものは成人後も残ることがあります。治療の効果が得られにくくなる前に、目立つ部位については小児期からのレーザー治療を検討することが望ましいとされています。
茶あざについて

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扁平母斑(へんぺいぼはん)は、皮膚にできる平らな茶色のあざで、多くは生まれつき見られます。色はカフェオレのような淡い茶色で、海外では「カフェオレ斑(café-au-lait spot)」とも呼ばれています。あざの中にごく小さな黒い点が混ざることもあります。
通常は皮膚の浅い部分でメラニン色素が局所的に増えることが原因で、皮膚が盛り上がることはありません。「扁平」という名称はその平らな形状から来ています。
思春期以降に新たに出現する遅発性の扁平母斑もあり、このタイプではあざの部分に毛が生えることがあります。特に肩などにできて毛が目立つ場合、「ベッカー母斑」と呼ばれる別のタイプに分類されます。
いずれのタイプも良性で、健康上の問題はありませんが、見た目の印象から治療を希望される方も少なくありません。
レーザー機器で治療を行いますが、扁平母斑は再発しやすいあざとして知られており、時間が経つと再び色が戻ることもあります。また、年齢が上がると治療効果が出にくくなる傾向があるため、早期の治療開始が理想的です。