2026年2月19日


あざは「ぶつけた後にできる内出血」を思い浮かべる方が多い一方で、実際には生まれつき、あるいは成長とともに目立ってくる「治療できるあざ」も少なくありません。特に、顔や腕・脚など目につきやすい部位のあざは、日常生活の中でふとしたタイミングに気になりやすく、「できるだけ早く薄くしたい」「目立ちにくくしたい」と感じる方も多いでしょう。
この記事では、あざの基本知識やセルフケアに加えて、皮膚科・美容皮膚科で行える「生まれつきのあざの治療(レーザー治療など)」について詳しく解説します。「これは自然に治るあざ?それとも治療の対象?」と迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
あざとは?

あざは皮膚の色が部分的に変化して見える状態の総称で、原因によって大きく2つに分けられます。ひとつは『打撲などによる一時的な内出血』、もうひとつは血管や色素細胞の特徴によって生じる『生まれつき、あるいは体質的なあざ(母斑症)』です。後者は、セルフケアで消えるものではなく、レーザー治療など医療的アプローチで改善を目指せるタイプが含まれます。
あざができる仕組み
あざができる仕組みは原因により異なります。
- 打撲によるあざ(内出血)
- 毛細血管が損傷して内出血を起こし、血液が皮下に広がって透けて見える
- 生まれつきのあざ(母斑症)
- 皮膚の色素や血管の異常によるもので、自然に消えることは少なく、皮膚科での治療が必要
打撲によるあざの場合、徐々に色が変化し、自然に吸収されて消えていきます。一方、生まれつきのあざは「血液が漏れたもの」ではないため、時間経過だけで薄くならないケースが多い点が特徴です。
あざの色の変化
放置して治るか、皮膚科を受診した方がいいか迷う場合は、あざの色の変化が一つの判断材料になるでしょう。
- 打撲の内出血
- 赤紫→青紫→緑→黄色→肌色へ、段階的に変化することが多い
- 生まれつきの赤あざ・青あざ・茶あざ
- 色の変化は少なく、同じ色味が続く傾向
「色が変化しながら薄くなっている」よりも、「同じ色がずっと続く」場合は、皮膚科での治療対象となるあざの可能性があります。
あざが治るまでの期間の目安
あざが残る期間も、受診の目安にできます。
- 打撲の内出血
- 1〜2週間程度
- 生まれつきのあざ
- 放置して自然に消えることはない
どこかにぶつけてできた内出血の場合、個人差もありますが、2週間もすれば消えることがほとんどです。一方、生まれつきのあざや成長とともに目立ってくるあざは、基本的に自然に消えることがないため、気になる場合は皮膚科・美容皮膚科での治療を検討しましょう。
あざの治りが遅いのはなぜ?
打撲の内出血が長引く原因としては、衝撃の強さ・部位・体質などが影響します。一方、そもそも内出血ではなく、生まれつきのあざ(赤あざ・青あざ・茶あざ)だったというケースもあります。
- 色がほとんど変わらない
- 何週間〜何か月経っても残る
- きっかけ(ぶつけた覚え)がはっきりしない
このような場合は「治りが遅い」ではなく、別タイプのあざかもしれません。例えば、茶色~淡褐色のシミのような扁平母斑(カフェオレ斑)というあざは、生まれつきのものもあれば、幼児期から発症し、少しずつ目立つようになることもあります。
あざの種類

あざは見た目の色で大まかに分類されますが、同じ色に見えても原因はさまざまです。ここでは特に、皮膚科・美容皮膚科で治療対象となる『生まれつきのあざ』を中心に解説します。
赤あざ
赤あざは、皮膚の表面近くにある毛細血管が密集していたり、拡張したりすることで生じる赤い斑点です。生まれつきの赤あざは成長とともに薄くなることもありますが、種類によっては長期的に残る場合もあります。赤あざのなかで保険診療で治療可能なのは、以下の3つです。
- 乳児血管腫(いちご状血管腫)
- 単純性血管腫(ポートワイン母斑)
- 毛細血管拡張症
また、上記以外で赤あざに分類されるものとしては以下があります。
- 動静脈奇形
- くも状血管腫
- 老人性血管腫(加齢による発症) など
青あざ
青あざは、皮膚の深い層にメラニン色素や色素細胞が存在することで、青~灰色に見える斑点のことです。生まれつきのものや思春期に濃くなるものがあり、色の変化が少ない点が特徴です。痛みはないことがほとんどで、境界がはっきりしている傾向があります。代表的な青あざは以下の通りです。
- 太田母斑
- 異所性蒙古斑
- 後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)
- 青色母斑
- 外傷性色素沈着症
- 蒙古斑(自然に消えるタイプのあざ)
生まれつきの青あざは皮膚の深い部分にメラニン色素があることが特徴です。セルフケアで薄くするのは難しい一方、適した波長のレーザーを使用することで、段階的に薄くしていくことができます。(一般的な蒙古斑は自然に消えていきます)
特に顔の青あざはコンプレックスになってしまうこともあるため、早めに診断して治療計画を立てることが大切です。
茶あざ
茶あざは、皮膚にメラニンが濃く沈着して茶色~淡褐色に見えるタイプです。境界が明確で平らなものが多く、生まれつき存在する場合や、成長とともに濃くなる場合があります。紫外線の影響やホルモンの変化で色が変化するケースもあり、体質との関係が深い種類のあざです。
- 扁平母斑(カフェオレ斑)
- ベッカー母斑 など
自己判断で強い刺激を与えると色が濃くなることもあるため、まずは皮膚科での評価が重要です。
特に、先天性のあざでは、子どもの頃から医師の診断を受けていると、治療の選択肢が広がる可能性があります。
その他
その他、打撲による内出血や、炎症後色素沈着(ニキビや虫刺され、火傷などの炎症後、肌にメラニンが残り茶色っぽく見える状態)があります。
- 内出血
- 炎症後色素沈着
内出血や炎症後色素沈着は一過性で、時間の経過によって薄くなり消えていきます。
あざを早く治すためのセルフケア

ここで紹介するセルフケアは、主に打撲などによる内出血の回復を助ける目的で役立ちます。
一方で、生まれつきのあざ(赤あざ・青あざ・茶あざ)はセルフケアは消えないため、早く改善したい場合は皮膚科で治療を検討しましょう。
- 直後の冷却ケア
- あざができて間もない(最初の24~48時間)段階では、冷却ケアが基本。血管を収縮させて内出血の広がりを抑える
- 睡眠と休養
- 就寝中は組織の修復や代謝が進む。質の良い睡眠を意識し、皮膚や血管の回復を助ける
また、「生まれつき以外のあざがなかなか消えない」「打撲ではないのにあざが増える」といった場合は、血管や血液の病気の可能性も考えられるため、内科を受診しましょう。
あざを悪化させないために

あざを悪化させないために、いくつかの対策を取り入れてみましょう。打撲による内出血を悪化させたくない場合は、「揉んだり刺激したりしない」「飲酒・喫煙を控える」といった対策が有効です。揉むと内出血の範囲が広がる可能性があり、アルコールも血行促進により内出血を悪化させる恐れがあります。
また、紫外線は肌にダメージを与える原因です。
生まれつきのあざの一つである扁平母斑は、紫外線によって悪化し、色が濃くなることがあります。あざの治療中・治療後のいずれも、しっかり紫外線対策を行いましょう。
なぜ「あざ治療」は子どものうちが良いのか?3つの理由

生まれつきのあざ(赤あざ・青あざ・茶あざ)は、医療機関でレーザー治療などにより改善を目指せます。そして実は、こうした生まれつきのあざ治療は、大人になってからよりも、子どものうちに始めたほうが、多くのメリットがあることがわかっています。ここでは、その理由を医学的・心理的・経済的な観点から解説します。
1. 医学的メリット:レーザーの反応が良く、完治しやすい
子どもの皮膚は大人に比べて治療反応が良く、レーザー治療の効果が得られやすい傾向があります。主に、以下の3つのメリットがあります。
- 皮膚の薄さ
- 赤ちゃんや小児の皮膚は薄いため、レーザーが標的(血管やメラニン)に届きやすく、少ない出力で高い効果が期待できます。
- 代謝の速さ
- 子どものうちは細胞の入れ替わりが活発なため、レーザーで破壊された血管や色素が排出されるスピードが早く、治療回数の短縮につながる場合があります。
- 面積の小ささ
- 体の成長とともにあざも広がることがあります。小さい時期に治療を始めることで、照射範囲を少なく抑えられます。
子どものうちのほうが少ない回数で治療できる傾向にあるため、その分、色素沈着ややけどのリスクを抑えることにもつながります。
2. 心理的メリット:コンプレックスを未然に防ぐ
健康上の問題がなくても、あざが目立つ部分にある場合、成長するにつれて見た目の悩みにつながることがあります。幼稚園や小学校などで周囲との違いを意識し始める前に目立たなくしてあげることで、コンプレックスを未然に防ぐことにつながるでしょう。また、物心がつく前に治療をしておけば、治療の痛みや不安が記憶に残りにくく、心理的な負担を減らせることもメリットです。
3. 経済的メリット:公的助成を活用できる
子どものうちにあざを治療しておくことで、医療費の費用負担を抑えられることもメリットです。
成長しても残り、コンプレックスになってしまいがちな太田母斑、異所性蒙古斑、単純性血管腫といったあざは、健康保険が適用されます。さらに、保険診療の子どものあざの治療には、自治体の「子ども医療費助成制度」が利用可能です。
子ども医療費助成制度を利用することで、医療費の負担を大きく軽減できます。助成内容は自治体によって異なりますが、例えば千葉県の場合、手続きを行うことで各市町村が設定している自己負担金(0円、200円、300円、500円のいずれか)で治療できます。
(参照:千葉県『子ども医療費助成制度について』)
皮膚科・美容皮膚科でのあざ治療法

セルフケアで改善が難しい生まれつきの赤あざ・青あざ・茶あざは、皮膚科・美容皮膚科で原因を見極めたうえで、適した治療で改善を目指せます。「できるだけ早く目立たなくしたい」「このあざが治療対象か知りたい」という方は、早めの相談が安心です。
レーザー治療
レーザー治療は、あざの原因(血管・色素)に反応する光を照射し、原因となる部分に選択的に働きかける治療です。「あざを早く治したい」という希望に対して、治療対象となるあざであれば、効果的に改善を狙える選択肢になります。
赤あざ治療
赤あざのような血管性母斑では、血管に反応するVビーム(パルスダイレーザー)が有効です。
血管内のヘモグロビンに反応させ、拡張した血管を収縮して赤みの改善を目指します。血管性母斑は、色の濃さや血管の深さによって反応の出方に個人差があるため、照射回数は人それぞれ異なります。照射後の色調変化(一時的な紫斑や内出血)が起こることもありますが、数日~1週間ほどで落ち着くことが多いです。
複数回の治療の場合も適切な照射間隔を守り、肌状態を整えながら継続していきましょう。当院では、アメリカ・キャンデラ社製の最新型色素レーザー『Vビームプリマ』を導入しています。
青あざ・茶あざ治療
青あざや茶あざなど、メラニン色素が原因となるあざは、特定の波長の光を短時間で照射するQスイッチレーザーやピコレーザーを用いて治療します。
Qスイッチレーザーやピコレーザーは、メラニン色素を選択的に破壊し、色味を改善する治療で、茶あざや青あざの治療実績が多いのが特徴です。レーザー治療後には一時的な赤みや腫れ、かさぶた、色素沈着などが起こる可能性もあり、紫外線対策や摩擦を避けるケアが大切です。
茶あざ(扁平母斑)は、レーザー治療に対する反応に個人差が大きく、一度消えても再発しやすかったり反応が悪かったりする特徴があります。効果の出方や必要回数には個人差があるため、医師と相談しながら治療を進めましょう。
当院では、高性能な医療用レーザー機器『ディスカバリーピコプラス』および『トライビームプレミアム』を導入し、あざの種類や色、深さなどを踏まえ、専門医が丁寧な治療を行っています。
外用薬・内服薬治療
外用薬・内服薬は、あざの種類によって補助的に用いることがありますが、生まれつきのあざに対しては、レーザー治療が中心です。
ただし、乳児血管腫(いちご状血管腫)には、βブロッカーを有効成分とするヘマンジオルシロップが用いられることがあります。治療の要否や組み合わせは、診察で状態を確認したうえで、専門医が判断します。
まとめ
打撲による内出血は、セルフケアと時間経過で薄くなっていく一方、生まれつきの赤あざ・青あざ・茶あざは、自然に消えず、残ることが多いです。「あざを早く目立たなくしたい」「これは治療対象か知りたい」という場合は、早めに皮膚科で診断を受けることが近道になります。特に子どものあざは成長につれてコンプレックスになってしまうこともあり、早期に治療を開始した方が、医学的にも心理的にも大きなメリットがあります。
ふじもと皮フ科クリニックでは、赤あざに適した『Vビームプリマ』、青あざ・茶あざに適した『ディスカバリーピコプラス』『トライビームプレミアム)』を用いたあざ治療に対応しています。皮膚科専門医の院長が丁寧にあざの原因を見極め、患者様一人ひとりに合った治療を行っていますので、あざが気になる方は、お気軽にご相談ください。


