多汗症

多汗症

タウン誌(アミーカ)に院長のインタビュー記事が掲載されました。

多汗症記事(アミーカ)

 

多汗症とは

 全身の汗が増加するもの(全身性といいます)と、手足やわきなど局所的に汗が増加するもの(局所性といいます)があり、それぞれ原因が不明のもの(原発性といいます)と、感染症や内分泌代謝異常や神経の腫瘍などがベースにあるものとがあります。いずれも過剰な発汗で日常生活に支障をきたすことが問題となります。

原因

 原発性のものは正確にはまだ明らかになっていないですが、自律神経のうちの交感神経が興奮しやすい体質があるのではないかと推測されています。中には遺伝的に家族内で同じように症状がでるかたもいます。

治療法

・塩化アルミニウム液外用・・塩化アルミニウム液を単純に塗布する方法や、外用後ラップする方法があります。

・ソフプロニウム臭化物(エクロックゲル)・・神経線維からでてくるアセチルコリンを抑える外用薬です。日本初の保険診療で処方可能な外用薬です。現状では脇の多汗症のみの適応です。効果発現にやや時間がかかるので焦らずに継続するのが重要です。

・グリコピロニウムトシル酸塩水和物(ラピフォートワイプ)・・汗を作る汗腺細胞のムスカリン受容体という部分に結合し、アセチルコリンの作用をブロックします。ソフプロニウム臭化物と同様、脇の多汗症のみの適応です。

・オキシブチニン塩酸塩(アポハイドローション)・・ムスカリン受容体にオキシブチニン塩酸塩が結合することで抗コリン作用を発揮します。手掌(手のひら)に適応のある外用薬です。

・イオントフォレーシス・・手足を水道水の入った容器の中にいれて、微量の電気を流す治療です。(当院では行なっていません)

・ボツリヌス毒素(ボトックス)局注療法・・自律神経のうちの交感神経からアセチルコリンが分泌されるのを抑制します。脇であれば保険診療で行えることもありますが手足は自費診療となります。(当院では現在新規の方は行っていません)

・プロパンテリン臭化物(プロ・バンサイン)・・抗コリン剤とよばれるもので保険適応がある内服薬ですが、喉の乾きや眠気がでることもあります。

・内視鏡的胸部神経節遮断術・・全身麻酔下に交感神経を切除したり焼灼したりする外科的な治療です。有効性は高いですが代償性に胸や背中などの発汗が多くなることがあります(当院ではおこなっていません)

・ミラドライ・・マイクロ波という電磁波を脇に照射することで、アポクリン腺、エクリン腺という汗や匂いを出す組織を破壊することで匂いや汗を抑制します。自費診療です。(当院では現在おこなっていません)

注意点

 上記のように様々な治療法があり、それぞれ一長一短あります。かつては保険診療で利用できる治療法で十分な効果がでるものが少なかったですが、エクロック、ラピフォート、アポハイドローションといった外用薬を利用できるようになったのは朗報です。全員が利用できるわけではありませんが、日常生活に支障をきたすような多汗がある場合はご相談ください。