Q1. 脂漏性角化症は放置してもいいですか?
放置して命にかかわることはありません。良性のできもので、悪性に変わることはまれです。ただし出血を繰り返す、衣類やアクセサリーに引っかかる、大きさや色が変わってきたという場合は、早めに診察を受けてください。悪性のできものとの見分けが必要になります。見た目が気になるという理由で治療を受けていただくこともできます。
脂漏性角化症(老人性イボ)
脂漏性角化症は、加齢と紫外線によって表皮の細胞が増えてできる良性のできものです。老人性イボ、老人性疣贅、年寄りイボとも呼ばれます。人にうつることはなく、そのままにしていて命にかかわるものでもありません。
40代から現れはじめ、60代ではほとんどの方に見られます。顔、頭皮、体幹、手の甲、前腕という、日光の当たる場所に多く出ます。
見た目には次の特徴があります。
平らなシミである老人性色素斑と地続きの病変で、同じ方の顔に両方が混ざっていることがほとんどです。シミ全体の見取り図はシミ取り治療のページにまとめています。
脂漏性角化症は、加齢と長年の紫外線の蓄積でできます。生活習慣が悪かったからでも、手入れを怠ったからでもありません。
20代や30代でできることもあります。日焼けをする機会が多かった方に見られ、年齢だけで決まるものではありません。若いうちに出たからといって、悪いものである可能性が高いわけでもありません。
数が増えるのは、その方が長く陽の下で過ごしてきたということで、それ以上の意味はありません。
脂漏性角化症の治療で分かれ道になるのは、取るか取らないかではありません。盛り上がりを落とすところまでで良いのか、色味まで整えたいのか、このどちらを望まれるかです。
この違いが生まれるのは、脂漏性角化症がもともと色素を多く含んだできものだからです。盛り上がりを液体窒素で落としても、色味までは取れないことが多くあります。さらに、脂漏性角化症の下地として老人性色素斑、つまり平らなシミが出てくることもあります。この場合、盛り上がりが取れたあとにシミが残ります。
この2つは見た目が似ていますが、経過が違います。診察のときには、どちらがどれくらい関わっているかをお伝えしたうえで、進め方を決めます。炎症のあとに出てくる色についてはシミ取り治療のページでも扱っています。
盛り上がりが取れれば十分という方には、保険診療の液体窒素が適しています。色味まで整えたいという方には、自費診療で2種類のレーザーを組み合わせる方法があります。削るレーザーで盛り上がりを取り、色に反応するレーザーで残った色素に対応するという進め方です。どちらが正しいということではなく、望まれる仕上がりで分かれます。診察のうえで、どちらになるかを事前にお伝えします。
脂漏性角化症と診断がつけば、液体窒素による凍結凝固術は保険診療で受けられます。
綿棒や噴霧器でマイナス196℃の液体窒素を当て、病変を凍らせて脱落させる方法です。2〜3週間おきに複数回行います。薄いものは1回で取れることもありますが、厚みのあるものは回数がかかります。
施術のあとの経過は次のとおりです。
液体窒素は、当てている数秒間にしみるような痛みがあり、そのあと数分は熱を持ったような感覚が残ります。多くの方は麻酔なしで受けられますが、数が多い場合や痛みに弱い場合は、麻酔のテープをあらかじめ貼っておく方法もあります。ご希望があれば診察でお申し出ください。
数が多い場合は、部位を分けて何回かに分けて進めるのが一般的です。一度に広い範囲を行うと、どこがどう反応したかが見えにくくなり、次の判断がしづらくなるためです。目立つところ、引っかかるところから順に進めます。
大きいもの、形が整っていないもの、診断を確定させる必要があるものには、切除を行うことがあります。切除した組織は病理検査に提出できるため、悪性のできものが混じっていないかを確かめられることが利点です。
保険診療になるかどうかは、脂漏性角化症という診断がつくかどうかで分かれます。当院では、診察で脂漏性角化症と判断できる場合は保険診療で対応し、色味まで整えたいというご希望がある場合は自費診療をご案内しています。診察のうえで、どちらになるかを事前にお伝えします。
色味まで整えたい場合は、自費診療で2種類のレーザーを組み合わせます。
2種類を使い分けるのは、役割が違うためです。
削るだけでは色が残ることがあり、色だけを狙っても厚みが残ります。両方を組み合わせることで、盛り上がりと色味の両方に対応できます。
削るレーザーはCO2REを使用しています。色に反応するレーザーは、トライビームPREMIUMとディスカバリーピコプラスを、病変と色味に応じて使い分けています。いずれも国内で承認を受けた機器です。
スポット治療として、1cm以下で1回22,000円です。大きさによって変わりますので、詳しくは料金案内をご覧ください。
保険診療と自費診療のどちらを選ぶかは、盛り上がりを落とすところまでで良いのか、色味まで整えたいのかで分かれます。
| 保険診療 | 自費診療 | |
|---|---|---|
| 主な方法 | 液体窒素凍結凝固術、外科的切除 | 削るレーザーと色に反応するレーザーの併用 |
| 目的 | 盛り上がりを落とす | 盛り上がりと色味の両方を整える |
| 回数 | 2〜3週間おきに複数回 | 大きさと色味によって変わります |
| 色の残りかた | もともとの色素と下地のシミは残ることが多い | 色味まで含めて対応します |
| 費用 | 保険の自己負担分 | 1cm以下で1回22,000円 |
| 病理検査 | 切除の場合は提出できます | 行いません |
どちらを選んでも、途中で方針を変えることはできます。まず保険診療の液体窒素で様子を見てから、残った色味に自費の治療を足すという進め方もあります。
脂漏性角化症でいちばん大切なのは、悪性のできものと見分けることです。当院では診察のときにダーモスコピーで拡大して確認します。
ダーモスコピーは、皮膚に光を当てて表面の反射を抑え、内部の色素の並びかたを見る器具です。脂漏性角化症には面皰様開大、稗粒腫様嚢腫、脳回状の構造といった特徴的な所見があり、平らなシミや悪性黒色腫と分けるときの手がかりになります。
| 色 | 手ざわり | 変化のしかた | 見分けの手がかり | |
|---|---|---|---|---|
| 脂漏性角化症 | 肌色から黒褐色 | 盛り上がる、表面がザラザラ | 数が増える | 境界がはっきりし、皮膚に貼り付けたように見える |
| 老人性色素斑 | 薄い茶色 | 平ら | 色が濃くなる | 盛り上がらない |
| 日光角化症 | 赤みを帯びる | ざらつく、かさぶたがつく | 治りにくい | 前がん病変のため治療が必要です |
| 悪性黒色腫 | 色にむらがある | ものにより異なります | 形と大きさが変わる | 左右が不ぞろい、色が均一でない、境界がぼやける |
| ウイルス性のいぼ | 肌色 | 硬い | 数が増え、広がる | 人にうつる |
このうち日光角化症は、老人性角化症とも呼ばれる前がん病変です。脂漏性角化症と名前が似ていますが別のもので、治療をしたほうがよいものです。日光角化症のページで説明しています。
脂漏性角化症は人にうつりません。ウイルスが原因ではなく、加齢と紫外線による皮膚の変化だからです。タオルや布団を共有しても、家族にうつることはありません。
うつるイボはヒトパピローマウイルスによるもので、こちらはウイルス性のいぼのページで扱っています。手足に多く、年齢を選ばず、削っても再発を繰り返すのが特徴です。
頬に脂漏性角化症と肝斑が同時にある方もいらっしゃいます。肝斑は境界のはっきりしない薄いくすみで、盛り上がりません。重なっている場合は治療の順序が変わるため、診察でどちらがどれくらい関わっているかを確認します。
脂漏性角化症を自分で取ろうとすると、色素沈着と傷あとが残ります。病変は表皮のなかにあり、表面を削っても基部が残るためです。取れたように見えても、同じ場所に再びできます。
よく試される方法について、それぞれ何が起きるかをお伝えします。
衣類や入浴時の摩擦で表面が剥がれ、取れたように見えることがあります。これは病変がなくなったのではなく、盛り上がった部分だけが取れた状態です。基部が残っているため、しばらくすると同じ場所に再びできます。
脂漏性角化症だと思っていたものが日光角化症や悪性黒色腫だった場合、試している期間がそのまま診断の遅れになります。見分けは診察でしか確認できません。
脂漏性角化症を完全に防ぐ方法はありませんが、増えかたを緩やかにし、今あるものを悪化させないためにできることがあります。
次のいずれかに当てはまる場合は、早めに受診してください。
いずれも悪性のできものでみられる変化と重なります。実際には脂漏性角化症であることのほうが多いのですが、見分けは診察でしか確認できません。
保険診療をご希望の場合は一般皮膚科の枠で、自費診療をご希望の場合は美容皮膚科の枠でご予約ください。どちらになるか分からない場合は、一般皮膚科でお取りください。診察のうえで、保険と自費のどちらになるかをお伝えします。
放置して命にかかわることはありません。良性のできもので、悪性に変わることはまれです。ただし出血を繰り返す、衣類やアクセサリーに引っかかる、大きさや色が変わってきたという場合は、早めに診察を受けてください。悪性のできものとの見分けが必要になります。見た目が気になるという理由で治療を受けていただくこともできます。
表面が剥がれて、取れたように見えることはあります。ただし病変がなくなったわけではありません。脂漏性角化症は表皮のなかにあり、摩擦で剥がれるのは盛り上がった部分だけです。基部が残っているため、しばらくすると同じ場所に再びできます。
使えます。診察で脂漏性角化症と診断がつけば、液体窒素による凍結凝固術と外科的切除は保険診療で行えます。一方、色味まで整えたいというご希望がある場合は自費診療になります。診察のうえで、どちらになるかを事前にお伝えします。
2〜3週間おきに複数回が目安です。薄いものは1回で取れることもありますが、厚みのあるものは回数がかかります。1回ごとにかさぶたができて脱落し、その状態を見てから次を判断します。
残ることがあります。残る色には2つの種類があります。一つは脂漏性角化症がもともと持っていた色素と、その下地にある老人性色素斑です。脂漏性角化症は色素の多いできもののため、盛り上がりを取っても色味までは取れないことが多く、時間が経てば薄くなるとは限りません。もう一つは液体窒素による色素沈着で、こちらはいずれ薄くなっていきます。色味まで整えたい場合は、自費診療で2種類のレーザーを組み合わせる方法があります。
うつりません。脂漏性角化症はウイルスが原因ではなく、加齢と紫外線による皮膚の変化だからです。タオルや布団を共有しても、家族にうつることはありません。うつるイボはヒトパピローマウイルスによるもので、手足にできるウイルス性のいぼが該当します。
診察でダーモスコピーを使って見分けます。脂漏性角化症は境界がはっきりし、皮膚に貼り付けたように見えるのが特徴です。一方、左右が不ぞろい、色が均一でない、境界がぼやける、短期間に大きくなるといった変化があるものは悪性黒色腫を考えます。赤みを帯びてざらつき、かさぶたを繰り返すものは日光角化症という前がん病変の可能性があります。ご自身で見分けようとせず、変化があれば受診してください。
20代や30代でできることもあり、珍しいことではありません。日焼けをする機会が多かった方に見られます。若いうちに出たからといって、悪いものである可能性が高いわけではありません。ただし初めてできたものは、一度診察で確認しておくと安心です。
根本的には取れません。イボコロリなどのサリチル酸製剤は角質を柔らかくする薬で、柔らかくなった表面が脱落することはありますが、基部が残るため同じ場所に再びできます。ヨクイニンはウイルス性のいぼに用いられる漢方で、脂漏性角化症には作用しません。いずれも周囲の正常な皮膚をただれさせ、色素沈着を残すことがあります。
数が多い場合は、部位を分けて何回かに分けて進めるのが一般的です。一度に広い範囲を行うと、どこがどう反応したかが見えにくくなり、次の判断がしづらくなるためです。目立つところ、衣類やアクセサリーに引っかかるところから順に進めます。何回くらいかかるかは数と厚みによって変わりますので、診察でお伝えします。
頭皮にできたものも、顔や体幹と同じように治療できます。髪に隠れて気づきにくく、くしやブラシで引っかけて出血して初めて気づく方が多い場所です。出血を繰り返すものは早めにご相談ください。頭皮は日焼け止めが塗りにくいため、屋外では帽子で覆うことが予防になります。
脂漏性角化症は加齢と紫外線でできる良性のできもので、人にうつることはありません。盛り上がりを落とすところまでで良ければ保険診療の液体窒素、色味まで整えたい場合は自費診療で2種類のレーザーを組み合わせます。
自分で取ろうとすると色素沈着と傷あとが残り、基部が残るため再びできます。悪性のできものとの見分けは診察でしか確認できませんので、大きさ、色、形に変化があれば早めにご相談ください。
このページの内容は、ふじもと皮フ科クリニック院長で日本皮膚科学会認定専門医・医学博士の藤本栄大が監修しています。院長プロフィール・研究業績はこちら
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