Q1. アトピー性皮膚炎は治りますか
体質が関わるため完治という言い方はしませんが、かゆみと湿疹のない状態を長く保つことはできます。治療薬の進歩により、症状のない状態を年単位で維持できる方が増えています。目標は、治療を続けながら日常生活に支障が出ない状態にすることです。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は、かゆみのある湿疹が良くなったり悪くなったりを繰り返す、慢性の皮膚疾患です。皮膚のバリア機能の低下と、アレルギーを起こしやすい体質が重なって起こります。塗り薬とスキンケアで炎症を抑えるのが治療の基本で、それでも足りない場合には注射薬や飲み薬という選択肢があります。
日本皮膚科学会と日本アレルギー学会のアトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024は、次の3つがそろうことで診断するとしています。
かゆみのある赤いふくらみが突然出て、24時間以内に跡を残さず消える場合は、アトピー性皮膚炎ではなくじんましんを考えます。アトピー性皮膚炎の湿疹は、良くなったり悪くなったりをくり返しながら数か月にわたって続くのが特徴で、この経過の違いが見分けの手がかりになります。
診療ガイドライン2024は、日本国内の有病率を年齢ごとに示しています。4か月児が12.8パーセント、1歳6か月児が9.8パーセント、3歳児が13.2パーセント、小学1年生が11.8パーセント、小学6年生が10.6パーセント、大学生が8.2パーセントです。成人では20歳代が10.2パーセント、30歳代が8.3パーセント、40歳代が4.1パーセント、50歳代から60歳代が2.5パーセントと報告されています。
20歳代の10.2パーセントは、小学6年生の10.6パーセントとほとんど変わりません。子どものころの症状が続いている方も、大人になってから症状が出た方も、決して少数ではありません。
アトピー性皮膚炎がつらいのは、かゆみが皮膚をさらに壊すためです。かくことでバリア機能がいっそう低下し、外からの刺激が入りやすくなり、炎症が強まって、またかゆくなります。この輪をどこかで断ち切ることが、治療の目的です。かゆみが続くと眠れない、集中できないなど、皮膚の外にも影響が出ます。
治療は、炎症を薬でしっかり抑え、そのあとを保湿で保つという流れが基本になります。塗り薬をどれくらいの強さで、どれくらいの量、どれくらいの期間使うのかには目安があります。このページでは、その目安を具体的な数値でお示しします。
アトピー性皮膚炎の湿疹は、年齢によって出る場所が変わります。乳児期は顔と頭、幼児期から学童期は肘の内側や膝の裏、思春期から成人期は顔と首を含む上半身に出やすくなります。同じ病気でも、年齢が違えば見た目も治療の組み立ても変わります。
| 時期 | 出やすい場所 | 皮疹の特徴 |
|---|---|---|
| 乳児期 | 顔、頭 | 赤くじくじくと湿った湿疹になりやすい |
| 幼児期・学童期 | 肘の内側、膝の裏、首、手首、足首 | 乾いてごわごわした湿疹になりやすい |
| 思春期・成人期 | 顔、首、胸、背中、上半身が中心 | 皮膚が厚く硬くなり、色素沈着を伴うことがある |

思春期以降は、顔と首に症状が残りやすくなります。顔と首の皮膚は薄く、外から見えるため、同じ面積でも生活への影響が大きくなります。顔と首の皮疹は、塗り薬の強さを選ぶうえでも重要です。皮膚の薄い部位に強いステロイドを長く使うことは避けるため、ステロイド以外の薬を組み合わせることが多くなります。詳しくは、このページの塗り薬のセクションでご説明します。
顔と首に症状がある方から、医療レーザー脱毛を受けられるかというご質問をよくいただきます。皮膚の状態が落ち着いていれば受けられる場合が多く、当院での判断の基準はアトピー性皮膚炎でも医療レーザー脱毛は受けられるかのコラムにまとめています。アトピー性皮膚炎以外の肌トラブルも含めた全体の考え方は、肌トラブルがあると医療脱毛は断られるかのコラムをご覧ください。
乳児期に湿った湿疹だったものが、成長とともに乾いた湿疹に変わることはよくあります。症状が変わったからといって、別の病気になったわけではありません。一方で、湿疹に見えても別の病気であることもあります。左右非対称であったり、決まった形をしていたり、かゆみがまったくない場合は、診察で見極める必要があります。
アトピー性皮膚炎の重症度は、強い炎症を伴う皮疹が体表面積の何パーセントを占めるかで決まります。診療ガイドライン2024は、軽症・中等症・重症・最重症の4段階を定めています。この区分は感覚の問題ではなく、面積という測れるものさしです。
| 重症度 | 強い炎症を伴う皮疹が占める体表面積 | 主に用いる治療 |
|---|---|---|
| 軽症 | 面積にかかわらず、軽度の皮疹のみ | 保湿剤と、部位に合わせた抗炎症外用薬 |
| 中等症 | 10%未満 | 抗炎症外用薬による治療 |
| 重症 | 10%以上30%未満 | 抗炎症外用薬。効果が不十分であれば全身療法を検討 |
| 最重症 | 30%以上 | 抗炎症外用薬に加えて、全身療法を検討 |
ご自身の手のひら1枚分が、体表面積のおよそ1パーセントにあたります。強い炎症のある部分が手のひら10枚分に相当すれば10パーセント、30枚分であれば30パーセントです。正確な計測ではありませんが、ご自身の症状がどのあたりにあるかの見当をつけるには十分です。
この数字は、あとで出てくる注射薬や飲み薬の話につながります。保険で全身療法を始められるかどうかの条件のひとつが、この体表面積10パーセントだからです。診察では、面積に加えて、赤み、厚み、かき壊しの程度、かゆみの強さもあわせて判断します。
アトピー性皮膚炎は、ひとつの原因では起こりません。体質、皮膚のバリア機能、環境という3つの要因が重なって発症します。どれか1つを取り除けば治るという構造ではないため、治療も複数の柱を組み合わせます。
ダニやハウスダストはアトピー性皮膚炎を悪化させる要因のひとつですが、原因のすべてではありません。掃除を徹底しても症状が消えないのは、体質とバリア機能というもう2つの要因が残っているからです。環境を整えることには意味がありますが、それだけで治そうとすると、労力に見合う結果が出ないことが多くなります。
アトピー性皮膚炎は、育て方や生活習慣が悪かったから起こる病気ではありません。診察室で、ご自身やご家族を責めておられる方に数多くお会いします。もともとの体質とバリア機能という、選べない条件が土台にあります。できることは、原因を探し当てることではなく、炎症を抑えて悪循環を止めることです。
なお、清潔にしすぎることが悪いわけでもありません。皮膚を洗うこと自体は必要です。問題になるのは、こすることと、洗ったあとに何も塗らないことです。洗い方については、ご自身でできることのセクションでご説明します。
ステロイド外用薬を怖がって弱いものを長く塗り続けると、結果としてステロイドを使う総量は増えます。診察室でいちばん多くお伝えしているのが、この話です。
炎症が強い皮疹に弱い薬を塗ると、炎症は消えきりません。少し良くなっては、また戻ります。塗る期間は延び、面積は広がり、そのあいだもかゆみは続くのでかき続けます。かくことで皮膚はさらに壊れ、次はもっと広い範囲に塗ることになります。
一方、炎症の強さに見合った薬を選べば、多くの場合は数日から2週間ほどで炎症が引きます。引いたあとは保湿剤に切り替え、必要に応じて間隔を空けた外用に移ります。ステロイドを使った日数も、塗った面積も、こちらのほうが少なくて済みます。
ステロイドという言葉から、内服薬や注射で全身に使う場合の副作用を思い浮かべる方がおられます。皮膚に塗るステロイドと、全身に入るステロイドは、量も届く範囲も別物です。診療ガイドライン2024は、ステロイド外用薬を推奨度1・エビデンスレベルAとしています。これは、最も強い推奨の段階です。
ただし、部位を選ばずに強い薬を長期に使ってよいという意味ではありません。顔にステロイドを自己判断で使い続けたり、逆に自己判断で急にやめたりすることは避けてください。顔の赤みが引かなくなる別の病気につながることがあります。この点は酒さのページで詳しくご説明しています。
重症度が高い方の場合、塗り薬だけで長く粘るより、早い段階で注射薬や飲み薬を検討したほうが結果が良いことがあります。当院でも勤務している萩野医師は、こうした薬の切り替えについて全国に先駆けて研究を行い、その成果を医学論文として発表しています。効果が思うように出ないまま同じ治療を続けている方は、一度ご相談ください。
アトピー性皮膚炎の塗り薬は、炎症を抑える抗炎症外用薬と、バリア機能を保つ保湿剤の2種類に分かれます。抗炎症外用薬には、ステロイド外用薬と、ステロイド以外の3つの薬があります。いずれも保険診療で使えます。
ここでは薬を一般名で示します。同じ成分でも商品名は複数あり、先発品の販売が終わって後発品に切り替わることもあるためです。お手元の薬がどの成分かは、薬局でお渡しする説明書で確認できます。分からないときは診察でお尋ねください。
ステロイド外用薬は、強さによって5つのランクに分けられています。診療ガイドライン2024が用いている呼び方は、強いほうからストロンゲスト、ベリーストロング、ストロング、ミディアム、ウィークです。4番目をマイルドと呼ぶ資料もありますが、ガイドラインの表記はミディアムです。
| ランク | 代表的な一般名 | 主に使う部位 |
|---|---|---|
| ストロンゲスト I群 | クロベタゾールプロピオン酸エステル、ジフロラゾン酢酸エステル | 手のひらや足の裏など、皮膚が厚い部位に短期間 |
| ベリーストロング II群 | モメタゾンフランカルボン酸エステル、ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル、ジフルプレドナート | 体幹や手足の、強い炎症を伴う皮疹 |
| ストロング III群 | ベタメタゾン吉草酸エステル、デプロドンプロピオン酸エステル、フルオシノロンアセトニド | 体幹や手足 |
| ミディアム IV群 | ヒドロコルチゾン酪酸エステル、クロベタゾン酪酸エステル、アルクロメタゾンプロピオン酸エステル | 顔、首、わきの下など、皮膚が薄い部位 |
| ウィーク V群 | プレドニゾロン | ごく軽い炎症 |
同じ人でも、部位によって使う薬は変わります。顔と体に同じ薬を塗ることは、原則としてありません。処方が複数になるのはそのためです。どの薬をどこに塗るのかは、お渡しする際に必ずお伝えします。
ステロイド以外の抗炎症外用薬が3つあり、いずれも保険診療で使えます。顔や首など皮膚の薄い部位や、症状が落ち着いたあとの維持に向いています。
| 一般名 | 作用のしくみ | 使える年齢と濃度 | 1回あたりの上限 | 効果を見る期間 |
|---|---|---|---|---|
| タクロリムス軟膏 | 免疫の過剰な反応を抑えるカルシニューリン阻害薬 | 0.1%は成人。小児には0.03%小児用 | 成人は5gまで。2歳から5歳は1g、6歳から12歳は2gから4g、13歳以上は5g | 2週以内に改善がなければ中止 |
| デルゴシチニブ軟膏 | 炎症の信号を伝える経路を抑えるJAK阻害薬 | 0.5%は成人。小児には0.25% | 1回5gまで。塗る面積は体表面積の30%まで | 0.5%製剤で4週以内に改善がなければ中止 |
| ジファミラスト軟膏 | 細胞内のcAMPを高めて炎症を抑えるPDE4阻害薬 | 1%は成人。小児には0.3% | 皮疹の面積0.1平方メートルあたり1gが目安 | 1%製剤で4週以内に改善がなければ中止 |
タクロリムス軟膏は、大人には0.1%製剤、お子さまには0.03%の小児用製剤を使い分けます。診療ガイドライン2024はタクロリムス軟膏を推奨度1・エビデンスレベルAとし、皮膚がんやリンパ腫の発症リスクを高めないというエビデンスが集積されているとしています。当院でも、顔や首の症状に対してよく使う薬のひとつです。
塗り始めにほてりやひりつきを感じることがありますが、多くは使い続けるうちに軽くなります。使用中は日焼けを避け、日焼けサロンや紫外線ランプの使用は控えてください。
保湿剤は、症状が出ていない部分にも毎日塗ります。バリア機能を保つことが、次の炎症を起こしにくくするからです。抗炎症外用薬が炎症を消すための薬であるのに対し、保湿剤は炎症を起こさせないための薬です。役割が違うため、どちらか一方では成り立ちません。
塗り薬が効かないというご相談の多くは、量が足りていないことが原因です。診療ガイドライン2024は、塗る量の目安をフィンガーティップユニット、略してFTUという単位で示しています。
診療ガイドライン2024の記載によれば、口径5ミリのチューブから人差し指の先端から第1関節まで押し出した量が1FTUで、これは次の3つに相当します。
体表面積の2パーセントで0.5グラムということは、全身に1回塗るには25グラム前後が必要になります。5グラムのチューブ1本では、全身の5分の1にしか足りません。処方の本数が多いと感じられるかもしれませんが、面積から逆算した量です。
お子さまに毎日塗り続けることの難しさについては、院長が自身の経験を子どものアトピーとスキンケアのコラムに書いています。
炎症が引いたら、抗炎症外用薬をすぐに完全にやめるのではなく、間隔を空けて続ける方法があります。プロアクティブ療法と呼ばれます。診療ガイドライン2024は、炎症の再燃をくり返しやすい場合には、間隔を空けつつ定期的に抗炎症外用薬を使用することで再燃を抑制するプロアクティブ療法も有効であるとしています。
症状が出てから治すのではなく、出る前に抑えるという考え方です。当院では、再燃しやすい部位に週2回から3回塗ることから始めます。日本アレルギー学会と厚生労働省が運営するアレルギーポータルも、ステロイド外用薬やタクロリムス外用薬を週2回から3回定期的に塗る方法として紹介しています。症状が安定してくれば、間隔を空けていきます。
皮膚がつるつるに戻ったように見えても、その下ではまだ炎症が残っていることがあります。見た目だけで自己判断せず、次の診察までは指示どおりに続けてください。逆に、指示された期間を超えて漫然と塗り続けることも避けます。どちらの判断も、診察で調整します。
抗炎症外用薬を適切に使っても症状が抑えきれない場合、注射薬と飲み薬という選択肢があります。いずれも保険診療で、免疫の働きに直接はたらきかける薬です。従来のシクロスポリンなどの免疫抑制薬とは、作用のしかたも副作用の出方も異なります。
注射薬は、炎症やかゆみを起こす特定の物質だけをねらって抑えます。国内で承認されている4剤は、ねらう物質も、使える年齢も、打つ間隔も異なります。
| 商品名 | 一般名 | 抑えるもの | 使える年齢 | 投与の間隔 | 国内承認 |
|---|---|---|---|---|---|
| デュピクセント® | デュピルマブ | IL-4とIL-13 | 生後6か月以上、体重5kg以上 | 2週ごと | 2018年1月。小児は2023年9月 |
| ミチーガ® | ネモリズマブ | IL-31受容体A | 6歳以上 | 4週ごと | 2022年3月 |
| アドトラーザ® | トラロキヌマブ | IL-13 | 成人 | 2週ごと | 2023年2月 |
| イブグリース® | レブリキズマブ | IL-13 | 12歳以上、体重40kg以上 | 2週ごと。維持期は4週ごとも可 | 2024年1月 |
ミチーガ®はかゆみに対する薬で、効能はアトピー性皮膚炎に伴うそう痒です。湿疹そのものを治す薬ではないため、抗炎症外用薬と併用します。ほかの3剤も、投与中は抗炎症外用薬と保湿剤を続けます。
当院に勤務する萩野医師は、これらの薬について実際の診療データにもとづく研究を行い、医学論文として発表しています。レブリキズマブの16週間の実臨床データ、トラロキヌマブの48週間の成績について、患者さま向けの解説をご用意しています。
飲み薬のJAK阻害薬は、炎症の信号を細胞の中で止める薬です。効果が出るのが早い一方で、感染症などのリスクがあるため、投与の前に検査が必要です。
| 商品名 | 一般名 | 使える年齢 | 国内承認 |
|---|---|---|---|
| オルミエント® | バリシチニブ | 2歳以上 | 2020年12月 |
| リンヴォック® | ウパダシチニブ | 12歳以上、体重30kg以上 | 2021年8月。小児は2024年9月 |
| サイバインコ® | アブロシチニブ | 12歳以上 | 2021年9月 |
3剤とも、添付文書の警告欄に重篤な感染症と悪性腫瘍に関する記載があります。投与に先立って、結核についての問診と胸部エックス線検査に加え、インターフェロンγ遊離試験またはツベルクリン反応検査を行い、B型肝炎ウイルス感染の有無も確認します。投与中も定期的に血液検査を行います。
飲み薬の長期成績については、ウパダシチニブの3年間の実臨床データと、バリシチニブからウパダシチニブへ切り替えた場合の144週の成績を解説しています。
最初に選んだ薬が合わない場合、別の薬に切り替えることができます。デュピルマブについて厚生労働省が定めた最適使用推進ガイドラインは、投与開始から16週後までに治療反応が得られない場合は投与を中止することとしています。漫然と続けない仕組みが、あらかじめ決められています。
飲み薬で効果が不十分だった方が注射薬に切り替えた場合の成績についても、当院が関わった研究があります。飲み薬から注射薬への切り替えの解説をご覧ください。
アトピー性皮膚炎の注射薬と飲み薬には、厚生労働省の最適使用推進ガイドラインがあり、投与する医療機関と医師に要件が定められています。皮膚科であればどこでも始められる、という薬ではありません。
次のいずれかを満たす医師が投与を行います。
保険で全身療法を始めるには、診断と重症度と、これまでの治療について条件があります。デュピルマブの最適使用推進ガイドラインは、次のように定めています。ほかの薬にも同様の要件があります。
この最後の条件が、最も見落とされます。注射薬を希望されて受診されても、外用薬による治療の記録が6か月に満たなければ、その日から始めることはできません。だからこそ、いま塗り薬で悩んでおられる方は、早めに通院を始めておくことに意味があります。治療の記録そのものが、次の選択肢への入り口になるためです。
当院では、デュピクセント®とイブグリース®を導入しています。外用薬で症状を抑えきれない方には、条件を満たしていれば当院での導入をご提案できます。通院の負担を増やさずに始められることが、当院で導入する最大の利点です。
アドトラーザ®とミチーガ®は、今後の導入を予定しています。現時点でご希望がある場合は、日本医科大学千葉北総病院をご紹介します。
飲み薬のJAK阻害薬は、当院では導入していません。投与の前に結核とB型肝炎ウイルス感染の確認が必要で、投与中も定期的な血液検査が欠かせないためです。ご希望の場合は、日本医科大学千葉北総病院をご紹介します。
すべての治療法のなかから選びたいという方も、日本医科大学千葉北総病院をご紹介します。当院は同院皮膚科と連携しています。どちらになるかは、診察のうえで事前にお伝えします。
アトピー性皮膚炎の治療は、塗り薬も注射薬も飲み薬も、すべて保険診療です。注射薬と飲み薬は塗り薬より費用がかかりますが、公的な負担軽減の仕組みがあります。
1か月の窓口負担が上限額を超えた場合、超えた分が払い戻される高額療養費制度が使えます。上限額は年齢と所得によって決まります。あらかじめ限度額適用認定証の交付を受けておくと、窓口での支払いを上限額までに抑えられます。
高額療養費制度の上限額は、令和8年8月以降に見直しが予定されています。具体的な金額は確定していないため、受診時点の最新の金額を、加入されている健康保険の窓口でご確認ください。
費用が理由で全身療法を検討されない方がおられます。診察では、実際にいくらかかるのか、制度を使うといくらになるのかを、金額でお示しします。そのうえで判断していただければ十分です。お子さまの場合は、お住まいの自治体の子ども医療費助成の対象になることがあります。
治療の効果は、診察室の外での過ごし方で変わります。難しいことは必要ありません。次の6つを続けてください。
保湿剤は、症状のない部分も含めて朝と晩の2回塗ります。日本アレルギー学会と厚生労働省が運営するアレルギーポータルは、保湿剤は入浴後すぐ、5分以内に塗るのがよいとしています。入浴後は皮膚から水分が逃げやすいためです。量の目安は1FTU、およそ0.5グラムで大人の手のひら2枚分です。
石けんやシャンプーは使って構いませんが、こすらないでください。よく泡立てて、手で置くように洗い、しっかりすすぎます。ナイロンタオルやブラシは使いません。洗ったあとは、水分が残っているうちに保湿します。
汗は放置すると刺激になります。運動や外出のあとは、シャワーで流すか、濡らしたタオルで押さえるように拭き取り、そのあと保湿してください。汗をかくこと自体を避ける必要はありません。
肌に直接ふれるものは、綿など刺激の少ない素材にしてください。ウールやチクチクする素材は、それだけでかゆみを誘発します。洗剤のすすぎ残しにも注意します。
かゆみを我慢するのではなく、かいても傷ができにくい状態にしておいてください。爪は短く切り、角をやすりで整えます。眠っているあいだにかいてしまう場合は、診察でお伝えください。かゆみを抑える方法があります。
すべての方に共通する、悪化させる食べ物はありません。一部の方で卵や乳製品などが関わることはありますが、自己判断で制限すると栄養が偏ります。とくに成長期のお子さまでは影響が大きくなります。気になる場合は、検査をしたうえで判断します。
次のいずれかにあてはまる場合は、一度ご相談ください。アトピー性皮膚炎の治療は、すべて保険診療で受けられます。
アトピー性皮膚炎の診断と治療は、塗り薬も注射薬も飲み薬も、すべて保険診療の範囲です。通常の保険診療でご予約ください。お子さまの受診も承っています。
これまでの治療の記録は、そのまま次の選択肢につながります。注射薬や飲み薬を保険で始めるには、外用薬による治療を直近6か月以上行っていることが条件になるためです。いま使っている薬が合っているかどうかのご相談だけでも構いません。
体質が関わるため完治という言い方はしませんが、かゆみと湿疹のない状態を長く保つことはできます。治療薬の進歩により、症状のない状態を年単位で維持できる方が増えています。目標は、治療を続けながら日常生活に支障が出ない状態にすることです。
すべての方に一番効く薬はなく、重症度と部位で変わります。強い炎症を伴う皮疹が体表面積の10パーセント未満であれば抗炎症外用薬が中心になり、10パーセント以上で外用薬の効果が不十分であれば注射薬や飲み薬を検討します。顔と体では使う薬も変わるため、処方が複数になります。
炎症がある場合は使ってください。診療ガイドライン2024は、ステロイド外用薬を推奨度1・エビデンスレベルAとしています。これは最も強い推奨の段階です。症状が軽ければ不要ですが、炎症があるまま放置すると、かくことで皮膚がさらに壊れ、結果として使う量が増えます。
適切な量と期間で使えば、ほとんど問題は起こりません。副作用として、感染しやすくなる、ニキビ、毛細血管の拡張、多毛、副腎の一時的な抑制、皮膚線条いわゆる肉割れなどが知られています。皮膚線条はまれに残ることがありますが、そうならないよう通院のたびに皮膚の状態を確認し、早めに対処しています。
多くは炎症後色素沈着という自然な反応で、薬の影響ではありません。炎症が落ち着く過程で一時的にメラニンが増え、皮膚が茶色く見えます。時間とともに自然に薄くなります。むしろ炎症を放置するほうが色素沈着は残りやすくなります。
慣れて効かなくなることは、ほとんどありません。症状が続く場合は、薬の強さが炎症に見合っていないか、塗る量が足りていないことが大半です。1回分の量は1FTU、およそ0.5グラムで大人の手のひら2枚分が目安です。漫然と使い続けず、定期的に診察を受けて調整してください。
ダニは悪化させる要因のひとつですが、原因のすべてではありません。アトピー性皮膚炎は、アレルギーを起こしやすい体質、皮膚のバリア機能の低下、環境要因の3つが重なって起こります。掃除を徹底しても症状が消えないのは、残る2つの要因がそのままだからです。
すべての方に共通して悪化させる食べ物はありません。一部の方では卵や乳製品などが関わることがありますが、自己判断で制限すると栄養バランスが崩れます。とくに成長期のお子さまでは影響が大きくなります。気になる場合は、医師と相談のうえで必要に応じてアレルギー検査を行います。
少し多いかなと思うくらいが適量です。1回分の目安は1FTU、口径5ミリのチューブから人差し指の先端から第1関節まで押し出した量で、およそ0.5グラム、大人の手のひら2枚分、体表面積のおよそ2パーセントにあたります。塗ったあとティッシュペーパーが軽く張りつく程度が目安です。
皮膚への刺激をできるだけ減らしてください。石けんやシャンプーは使って構いませんが、こすらずに泡で洗い、しっかりすすぎます。汗をかいたら早めに流し、そのあと保湿します。肌にふれる衣類は綿など刺激の少ない素材を選び、爪は短く整えます。日焼けも悪化の原因になります。
あります。診療ガイドライン2024が示す国内の有病率は、20歳代で10.2パーセント、30歳代で8.3パーセント、40歳代で4.1パーセントです。20歳代の10.2パーセントは小学6年生の10.6パーセントとほとんど変わりません。成人期は顔と首に症状が残りやすく、生活への影響が大きくなります。
注射薬のデュピクセント®とイブグリース®は、当院で導入しています。アドトラーザ®とミチーガ®は今後の導入を予定しており、現時点でご希望の場合は日本医科大学千葉北総病院をご紹介します。飲み薬のJAK阻害薬は、投与前の結核とB型肝炎の確認や投与中の定期的な血液検査が必要なため、同院をご紹介します。いずれも、強い炎症を伴う皮疹が体表面積の10パーセント以上を占めるなどの重症度と、外用薬による治療を直近6か月以上行っていることが条件になります。まず診察でご相談ください。
部位と強さを選んで使えば問題ありません。お子さまには、顔や首など皮膚の薄い部位にはミディアムやウィークのランクを用い、体幹や手足の強い炎症には必要なランクを短期間使います。ステロイド以外の塗り薬も、小児用の濃度が用意されています。タクロリムス軟膏は小児には0.03パーセントの小児用製剤を用います。
まず、いま使っている薬を持って受診してください。順番としては、炎症を抑える薬で強い皮疹を落ち着かせ、そのあと保湿と間隔を空けた外用で維持します。それでも抑えきれない場合に、注射薬や飲み薬を検討します。ご自身で全体像を組み立てる必要はありません。いま何をしていて、何がうまくいっていないかをお聞かせいただければ、次の一手をお示しします。
当院は、大学と共同で医学研究に取り組んでいます。当院でも勤務している萩野医師は、アトピー性皮膚炎の新しい治療薬について全国に先駆けて研究を行い、その成果を医学論文として発表しています。現在も当院と共同で、最新の治療法に関する研究と成果発表を継続しています。
このページの内容は、ふじもと皮フ科クリニック院長で日本皮膚科学会皮膚科専門医・医学博士の藤本栄大が監修しています。院長プロフィール・研究業績はこちら
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